Endless・Magic〜終焉に近づく魔法はやがて永遠に終わらない悲劇の幕開けなのかもしれない

水定ユウ

SecondMagic8

僕らの目線の先にあるビルに佇む一人の剣士。その剣士は右手に一本の鋭い剣を持ち、その鍔は黄金に輝いていた。

 そしてその剣士の姿は僕らと同じであった。澄み渡る青空に似た爽やかな空色を基調とし、銀の装飾によって全身を包む鎧は遠くから見ても格好良い。

 その姿を見るにその剣士は男性なのか女性なのかは到底分からないが、その立ち姿からは凛々しさに加え武術を心得ているのかピンと直立し相手を見ている。

 「あいつは、一体?」
 「分からないけど僕らと同じ「魔法使い」なのは間違いないよ」

 僕らが話している間にも「黒の怪物グリッド」の動きは止まらない。突然自分の攻撃が止められたためか、その攻撃対象を変え青天の剣士へと向き直っている。

 「「魔法」、敵 、倒す」
 「・・・・・」

 この「黒の怪物グリッド」も喋るのかと思ったが、それに対し青天の剣士は一切の言葉を発しない。その姿は先程と一切変わらない。

 「・・・「法剣の千刃イリュージョン・ブレイド」」

 先程まで黙っていた青天の剣士は突然そう言うとその右手に持つ剣の銀の刀身が光り輝き、するとその刃が突然「黒の怪物グリッド」に突き刺さった。
 
 その刃は複数に空間に展開され次々に突き刺さって行く。どうやらその刃はあの青天の剣士の「魔法」で、見た感じだとその特徴はあの剣を一定の空間に展開し、その空間から直線的に飛ばす事の出来る魔法のようだ。

 何故直線的かと分かるかと言うと、先程から一方の方向にしか飛んでいないからだ。一本が外れると次の刃が放たれる。それも一方方向へ向けて。

 しかしその刃は突然とその姿を空間から消す。見ると、青天の剣士の持つ剣の刀身はその光を失い元の色へと戻っている。これは僕の「星刻の時計エルファスト」と同じで「魔法」の発動限界時間だと分かった。

 おそらくあの「古代魔法具アンティーアーツ」にも僕の「星刻の時計エルファスト」と同じで「魔法」の発動には限界があり、次の再発動までには多少の時間を有するのだと思う。でなければ連続して次の「魔法」が発動されても良いのに発動されないのはそう言う理由なのだろうと理解した。

 「えっと、僕らもやらないと!」
 「おっ、そうだな」

 僕らもついつい見とれてしまっていたが、目の前にいる敵を倒さなくてはならない。僕らは再び敵に視線を戻し攻撃する。

 「くらえっ」

 連太郎は「衝弾の銃クルチャック」の引き金を引く。対する僕は炎を遠距離から放つ。槍の形状とし、次々と突き刺さって行く。

 その間にも、青天の剣士は一向にビルから降りるのとはなく、ただ上から攻撃の隙を伺っている。理由は分からないが、とにかくそう言う事だ。

 この戦いにはやがて終わりが見えてくる。それは唐突すぎた。

 「「魔法」、敵、逃げる」
 「逃げる?」

 僕はついついそう言っていた。すると目の前にいた「黒の怪物グリッド」は腕を地面に突き立てると、破壊的な爆風を放つ。

 「「つっ」」

 僕らは真正面にいたためか、直撃を食らった。しかしそこまでの威力はなく、何ともなかったのだがそれはただ僕らの目を一時的に撹乱するだけであって、既にその場にはいなかった。

 まんまと逃げられてしまったと思い、再び青天の剣士の立つビルを見上げるとその場には既にその姿はなかったのだった。

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