Endless・Magic〜終焉に近づく魔法はやがて永遠に終わらない悲劇の幕開けなのかもしれない

水定ユウ

SecondMagic5

あっという間に日曜日となった。何処か日が過ぎるのは早いと感じてしまうがそれが世界にとっての普通であるため、一人一人感じる時間の早さが抗う事など出来ないのだ。まあ、僕は時計が好きなので如何と言うわけでもないのだが。

 「ああ、日曜日か」

 僕は寝起きだけあってまだあまり回っていない頭を覚ますように伸びをした。顔に手を当てたりして硬直したりした後、朝食を取るため部屋を出て下へと降りた。

 今日は日曜日だと言うのにも関わらず、両親は共に仕事のため朝食は一人で取る。まあ、いつもは違うのだが「黒の怪物グリッド」の事もあるから仕方ないのかな、と納得した。

 いつも通り、トースターにトーストを二枚入れ、焼けるまでの間に冷蔵庫からレタスやトマトと言った馴染みの野菜を取り出すと手ごろな大きさにまばらに切っていく。あとは牛乳を入れると普通の食卓の朝食の出来上がりである。いつもながらに美味しかった。

 この「東京」は現在かつてと違い23区も存在しない。また都道府県も47も存在しない。そのほとんどが統合され「東京」に至っては六つの区があり、その中にブロックがあるのみだ。として僕らがこれから行くのは商業区の一つかつての「豊島区」の中にあった「池袋」である。

 西暦の頃は「池袋」は商業的なことに関しては発展していたと言う記述も残されているので、商業区の中ではそれなりの賑わいを見せている所なのである。

 「池袋」へは「機工車」もっと短縮で言うのであれば「機車」によって向かう。僕は券売機で「池袋」までの切符を買うと「機車」に揺られながらも目的地である「池袋」の最寄り駅まで着いたのだった。

 
 僕は待ち合わせなど特にしていなかったためこの「池袋」にあるそれなりに大きな広場に来ていた。ここにはかつてと違い東京都内には殆どに時計塔があるので分かりやすいのだ。

 そんなこんなで約15分が経過した頃だろうか、見知った人影が目に入った。そこにいたのはいつもの見慣れた制服姿ではない鞍馬さんだった。いつもよりさらに大人らしい空色のフレアスカートが微かに揺れている。

 そう言えば鞍馬さんも誘われていて特に用事もないとの事なので連太郎の買い物に付き合うと言っていたかな?
正直覚えてはいないのだが。

 「鞍馬さん」
 
 僕は目に入った鞍馬さんに向けて声をかけた。すると鞍馬さんも僕の存在に気づいたらしく何も言わずに近づいてくる。

 「おはようございます、藤井さん。早いですね」
 「鞍馬さんこそ」
 「ですが、陣馬さんの方が早いようですよ」

 なんで分かるのかと聞こうと思ったが、どうやらここに来る前に通りすがったらしい。連太郎も気づかなかったようなので声をかけなかったとの事だ。それはありがたいのか?と思ってしまう。

 「結構待つけど来ないね」
 「はい」

 あれからさらに15分、計30分待ったのになかなか来ない。これは僕らは来る必要なかったのではと思った頃にようやく、待ち人は来たる。

 「おっ、悪いな待ったか?」
 「はい、待ちました。計33分27秒5.7待ちました」
 「いや、細けえよ!」

 確かに細かいなと思ったが、触れない方が良いと思ったので言わない。言っても何かが変わる訳ではないからだ。それより、

 「で、買えたの?」
 「おお買えたぜ、いやーやっぱ予約しねえといけねえな」

 そう言う連太郎の手には少し大きめの袋が握られていた。大事そうにギュッと握って落とさないようにしている。中身を聞くと、

 「おっ、興味あるか」
 「いや別に」
 「何だよそれ、まあいいやこれはな今年発売の「ソニック・レノア」製の新しいスニーカーなんだぜ」
 
 「ソニック・レノア」なら聞いたことがある。確か今の「アメリカ」に本社を構える大手靴メイカーだったはずだ。数年前旋風のごとく現れ第一生産品ソニック1は確か現在プレミアも付いている貴重品だった気がする。日本人は流行に乗りやすいタイプが大勢なので今日発売の「ソニック・レノア」製のスニーカー、ソニックマグナと言う商品も売れ切れ必死ですぐさま売り切れたであろう所をまだ在庫が残っているただ一つの希望にすがりここまでやって来た連太郎の勇姿は凄いと言える。

 「これで任務完了?」
 「おお、任務完了だ!あっそうだお前らこのあと暇か、だったらもう少し回ろうぜ昼飯は俺が奢るからさ」
 
 奢ると言われたので無駄にお金を使いたくもなくまた僕も「池袋」に来たのでせっかくと言うことで、同意する。すると、鞍馬さんも意外にも同意したので、連太郎の掛け声と共に僕らは歩く。

 「よっしゃ、じゃあ行こうぜ!」

 人混みの中を掻き分けながら。

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