Endless・Magic〜終焉に近づく魔法はやがて永遠に終わらない悲劇の幕開けなのかもしれない

水定ユウ

SecondMagic4

2日が経ち皆が狼上先生の授業にも慣れ始めた頃に突然とその出来事は起きる。それは学校の昼休みに聞いた話だった。何でもあの時僕らが出会った何か、「黒の怪物グリッド」の様な者を見たと言うニュースが小さいながらも端末機器に出ていたのだ。そして、その場所が何とも言えなかった。

 「まさか、また東京かよ」
 「流石にいてほしくないね」

 僕と連太郎はそんなことをぼやいていた。ついこの前出会い、何とか倒せたものの命がいくらあっても足りないと言う程の恐怖を味わったからだ。もう懲り懲りである。しかも厄介な事に・・・

 「相手は「魔法」に対して強い憎しみを抱いていたものの「魔法」を所持する者の前にはなかなか現れない。行動原理が不明なのが妙ですね」

 鞍馬さんが率直な疑問をぶつける。確かに僕も思っていたが、「黒の怪物グリッド」は妙である。動きに駆動音がする混じりまた「魔法」を憎みながらもその「魔法使い」たちの前には決して現そうとしない。それを裏付ける様にこの数日何者かに襲われる、もしくはつけられる事もないのである。

 「それに相手の現れるのが何処かも分かんないんだよなー」

 連太郎の言う通り、場所が特定できないと言うとても面倒で厄介な力を「黒の怪物グリッド」は持っている。そのせいで今現在何処の国も対応できず、この日本の上層部の者達も頭を悩ませているのが現状だ。

 「それに鷲尾理事長が言ってたの覚えてる?「魔法」じゃないと倒せないって言うの」

 僕は追い討ちのごとくにさらなる問いを投げかけた。「黒の怪物グリッド」には如何言うわけかは分からないが、「魔法」でしかダメージを与えられないのだ。それならば自分にとって不利になる物はなるべく削ぎたく「魔法」を襲うのは分かる。しかし「人間」を襲うのはな何故だ?確かに「魔法」を操るのは「人間」だがその全員が使えるわけではないので、あまり知能はないのかとも思う。あまり喋らなかったし・・・。

 先に「魔法」でしか倒せないのでは「魔法使い」である僕らにしか倒せないとも思うが、我々人間もかつては「魔法」を使っていた者なので、「魔法」に対してはかつてよりはかなり薄くはなったがちょっとした「魔法」であれば何かで応用、媒体を使えば付与させた「魔法」を扱えるのだ。それが「魔工師」の真骨頂なのである。

 「魔法」と呼ばれる古の力と「機械」と言う人が作り上げし物とが一つになる事によりこの危機を打破する事が出来るかもしれないと思う者も多いだろう。しかしこれにはこの世界ではとても少ない「一級魔工師」でさえ困難を極めるのではないかと僕は思う。現にそれならば何処かの国が敵を撲滅し葬り去っているはずだが、それが出来ないのは現に出来ていないからでなのである。

 また「魔工」は主に「魔法」と「機械」の併用として知られているもののその実には「科学」の力も必要となる高等技術なのである。よって単なる「魔工師」はいたとしても「一級魔工師」は少ないのだ。審査も厳しいって聞くしね。

 そんな風に一度頭の中で事を整理した僕の意識は再び戻ってくる。一度息をハッと吐くと少しため息にも聞こえたが、自らの意識をしっかりと何かの目的へとシフトする。そして僕は連太郎と鞍馬さんに向かって、

 「僕達が考えていても今は何も出来ない。だったら僕達は少しでも「魔法」に触れ「機械」「科学」に触れてこの戦いを終わらせようよ。誰も傷つかないために」

 と言っていたのであった。何とも言えない適当にしか聞こえないかもしれない言葉ではあったが、本当の事なので仕方がないと流しておくのだった。

 
 その後はいつも通りのしょうもない雑談を交わした後、今度の日曜日に皆んなで出かけないかと言う話になった。なんでも連太郎が買いたい物があるそうなので、一人で行けば良いと思ったが、一人じゃつまらないと言われてしまったのでしかたく付き合う事にした。まっ、僕も暇だしね。

 そんなこんなで今度の日曜日の日程は埋まったのだった。

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