Endless・Magic〜終焉に近づく魔法はやがて永遠に終わらない悲劇の幕開けなのかもしれない

水定ユウ

SecondMagic3.5

放課後俺は理事長に報告のため会う事となっていた。そこは普段入る事の出来ない他の部屋よりもはるかに豪華な部屋ではあるが、どこか落ち着きのある部屋だ。しかし俺はやはり和の方が馴染みがあるので如何も落ち着かない。

 しばらく待っていると頭を掻きながらこめかみにしわを寄せ他の生徒の前では普段は見せないような雰囲気で現れた。と言ってもここは彼の部屋なので部外者は俺の方ではある。

 「あぁ、御剣君か、悪かったね待たせて」
 「いえ、待ってなどはいません。にしてもいつも通りですね」
 「この事を知っている者は極少数だがな」

 俺はこの人とは何度か面識があるが、人前ではいつも凛々しい雰囲気を作ってはいるが、実際はこんな風に普通のおじさんだ。しかしこの人はこの「アルタイル」を任されているだけあってとても凄い人ではあるはずだ。

 「にしても、遠征はご苦労であったな。如何だった、何か得られるものはあったか」
 「はい、有意義でした」
 「それは良かった。早速レポートの提出をしてもらうぞ」
 「もう用意はできています」

 俺はそう言って横に置いていた端末を操作し理事長の端末へと送る。ピロロンと音が鳴り響くとすぐさま確認し満足げな顔といつもの驚きを見せる。

 「相変わらず早いな、御剣君は」
 「いえ、家ではこんなものですから」
 
 家は和を基調とした古い人間の家庭なのでこうゆう事は先にやってしまわないと気になってしまうように幼少の頃より親に教わってきたので別に苦にはならない。しかし、今ではそんな考えの家はあまりないのかもしれないのでこのように意外がられるので慣れている。

 「理事長少しよろしいでしょうか?」
 「何かな」
 「はい、遠征の際奇妙な光景を見たのですが…」

 俺はそれから遠征先の「ロシア」で起きた不可解な現象について話した。もちろんその間には向こうでの事や学んだ事よろしくと言われた事なども交えてはいたが、やはり話はこちらへと傾いて行く。

 「つまり何か、向こうでよく分からない敵との遭遇、および「魔法」に触れたと言うのかい?」
 「はい、大まかに言ってしまうとそのような事になります」
 
 俺は遺跡の事は少し省かせてはもらったが、未知の「魔法」に触れた事は話した。そもそもが「魔法」とは今や未知の存在として研究されているがその事に触れる機会などめったにない事なのだ。その貴重な体験を話したが、一つの謎が浮上した。

 「実はその「魔法」は武装系でして全身が鎧に纒わられるのですが、その際に戦っていた敵が妙だったのです」
 「妙とは何かな?」
 「はあ、どこか駆動音のような音が混じり機械的な反応でしたがどこか違いまるで意思があるかのようでした。そして、個人的に調べたのですが如何やらそれが世界中で確認されている謎の生命体のようなのです」
 
 少し早口にはなってしまったが自分の調べた事を報告した。要約するとその敵は世界中で確認されている何故の生命体であると言う事だ。この事を話しておきたく今回理事長と会ったのだ。

 「実はな御剣君、つい先日起きた事を知っているか?この街の事だ」
 「はい、何かがいたと言う事ですよね」
 「実はなその事で私も君に話をしたかったのだが、如何やらその何かと言うのは君の言う謎の存在でありそれらをおそらくうちの生徒が倒したらしいのだ」
 「えっ!」
 「すなわちうちの学校にも君と同じ「魔法」に触れた者がいると言う事だ」
 
 いつもは冷静であるはずの俺の頭がパンクしかけた。情報量の多さではなく、意外性が勝り驚きによりショートしかけたのだ。この学校に自分と同じ人間がいる事に驚きを隠せなかった。この小さな街に「魔法」を操る者がいるのなら話をしてみたい。如何ゆう経緯で触れたのか、またあの存在はなんなのかを知りたい。知らなくてもきっと何かをつかめるかもしれないと思ったのだ。

 「・・・私の知っている事は以上だ。そろそろ暗くなるから君も帰りなさい」
 「えっ、はっはい」
 
 俺は誘導されるようにしてこの部屋を出る。後半からはもはや聞き取ってはいなかったが、これで俺の目的も見定めたのだと分かったのだった。

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