Endless・Magic〜終焉に近づく魔法はやがて永遠に終わらない悲劇の幕開けなのかもしれない

水定ユウ

FirstMagic2

新幹線は飛ばし数時間。新たに整備されかつての面影もなくなったと言われる新日本国有鉄道を突き進み、やっとの事で日本の首都「東京」にまで辿りついた頃には既に日は暮れていた。

 そこからさらに車で三十分ようやくこれから僕らが暮らす家のある住宅街「第二東京地区街」にやって来ていた。ここは国の保有する国有地の中でもかなり広く家々の間はかなり広く取られたゆったりとした場所だ。

 「あれが新しい我が家だぞ」

 父さんの目線の先を見ると、そこには周りと離れポツンとそびえ立つ新たな我が家。遠くから見てもそれなりの大きさを取っているであろうこの家は、父さんと母さんの積み立てて来た功績をたたえているのだろうか。

 この家は僕の父さんが国より譲り受けた研究施設である。僕の父さんと母さんは国から何らかの特別な支援を受けるほどの研究者であり、その功績は一部の者ではあるが知らない者はいないというほどだ。と言っても僕はあまりその全貌を聞かされていないので何とも言えないのが実際だ。

 「凄く広いね。何だか落ち着かないな」
 「そうだな。だからあまりここには来たくないんだが。目眩がする」

 普段から住んでいた家はそこまで広くはなかった。理由は父さんが家に対してのこだわりの薄さが原因となった結果であり、その影響か僕も広い家に対する免疫がない。

 「もう。いつまでもそんなこと言って。貴方、黒ちゃんと疲れてるんだし出前でも取りましょう。お寿司でいいかしら」
 「それもそうだな。よし黒家の中でも見て来なさい」
 「分かった」

 父さんに促される形で僕は家の中を見て回る。予想通りに広く、機械的な扉によって固く閉ざされた部屋や一般的な木造な扉と言ったまばらな家だということが分かった。

 僕はその中の一室、八畳ほどの洋間を選び荷物を運ぶ。この部屋には既に僕の荷物が置かれていたので必然的にこの二階の隅の部屋へと決まる。

 「如何だった?」
 「よかったよ。気に入った」
 「そうか、それはよかった」

 その後この日は出前で撮ったお寿司を家族で食べ、シャワーを浴び着替えを済ませ睡眠をとった。

 
 次の日、初登校となる学校に行くため準備を整える。と言っても、学校は電子教科書を使用するため、タブレットがあれば事足りる。そのため準備は早々に済ませ、僕は朝食を取ると家を出た。父さんと母さんも仕事のため家を出たのであった。

 学校へは「機工車」と呼ばれる、正式名称「機重工化特急」新幹線とは違う高速で移動できる電車に乗って向かう。偶然にも今日は人が少なくあまり混んではいなかったので座って向かうことが容易にできた。とてもありがたい事だった。そして、「機工車」は「国立付属魔工機科学アルタイル高校」の最寄り駅まで到着し、僕はそこで下車した。そしてここからは歩いて向かう。少し緊張して来たが気にしないようにする。終わってしまえば如何ということはないのだから。

 
 「えー転入生、いやお前らと同じ新入生だが分け合って昨日来られなかったやつだ。えー、名前は」
 「はい。藤井黒江と言います。仲良くしてください」
 
 反応はまあ、いまいちと言った所かな。

 「というわけだ。一応お前らと同じ新入生だが、お前らの方が僅かだが早い。いろいろ教えてやってくれ」

 こうして僕の学校最初はこんな感じに終わった。

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