スイーツエンジェルへようこそ♪
なんと言うか・・・・・・最高です!
その後、片付けなどを済まし僕達は開店準備に取り掛かる。
愛優さんはケーキをカットしたりするためにキッチンに残った。
「ところで愛音さん。僕はここからどうしたらいいのでしょう」
開店準備・・・・・・とは言ったものの、僕がクッキーを作っている間に愛音さんと凛菜さんがほとんど終わらせてしまったらしく、これと言って何をすればいいかわからずにいた。
「そうですね・・・・・・ほとんどの作業は終わっているので、ケーキのカットが終ったら愛優さんからケーキを受け取ってそれをショーケースに入れる・・・・・・くらいですかね」
「わかりました」
ケーキのカットが終わるまで適当に時間を潰す。その間、愛音さんにこのお店の事を色々聞いた。
イートインなどをやっているか、呼び込みやチラシなどの配布など・・・・・・話を聞いた限りではどれも一通りやってはいるらしいがイマイチ効果が出なかったらしい。
色々やることが残っている状況ならまだしも、ほとんどやり尽くしてこの状況だ・・・・・・これは思っていた以上に厳しくなりそうだ。
そうこうしてるうちに、ケーキのカットが終わったらしく、愛優さんが僕達を呼びに来た。
キッチンへ向かう途中にて。
「・・・・・・あれ?」
僕はある事に気付く、凛菜さんは付いてきているのに愛音さんは付いてきていないのだ。もしかしたら元々ケーキの量はそんな多くもなく、三人で運ぶ量ではないから残ったという可能性もあるが・・・・・・僕は何故か少し引っかかっていた。
まぁ引っかかるのなら聞けばいい。僕は凛菜さんを呼び止める。
「あの、凛菜さん。いつもケーキって何人で運んでいるんですか?」
「ん~、基本ボクだけかな。たま~に愛優姉も手伝ってくれるけど」
「ふむ・・・・・・ありがとうございます」
「? ボクは先に愛優姉の所に行ってるね、ソラくんも早く行かないと愛優姉が怒っちゃうよ~」
凛菜さんはそう言い残すとそそくさとキッチンへと向かって行った。
気になる事があるが、今はそんなことを気にしている場合じゃないか・・・・・・。
僕も凛菜さんの後を追っていった。
その後、カットされたケーキをショーケースの中に入れ開店前の作業が一通り終わった。
僕は初めてのことだらけのせいか、少し疲れたため、椅子に座っていた。
「お疲れ様です」
背後から声がしたので振り返る。そこには愛音さんがコーヒーを片手に立っていた。
「いつもこんなに大変な作業をしてから開店してるんですね・・・・・・」
「ずっとやっているとこれが日課になって、むしろやらないと調子が出ない感じになりますよ。よかったらコーヒーをどうぞ」
僕の前にコーヒーを置く。コーヒーのいい香りが辺りに漂う。
「ありがとうございます。では早速」
僕はコーヒーを一口飲む。コーヒーが口の中に入り、そしてそのまま喉の奥へ・・・・・・。
「・・・・・・美味しい。こんな美味しいコーヒー初めて飲みました」
「そ、そんなに褒めて貰えるとなんだか少し照れますね・・・・・・」
「このコーヒーもしかしなくても、愛音さんがいれたんですか!?」
「・・・・・・はいっ」
照れくさそうな笑顔を見えた彼女の頬は少し赤い。
それにしても驚いた・・・・・・料理だけではなく、こっちの方もかなりの腕前だったとは。
これはますます色々な人にここのお店を知って欲しくなったぞ。
しかし・・・・・・。
「あの・・・・・・難しい顔をされて、どうかされましたか?」
「い、いえ! 何でもないです!」
そうはいったものの、僕の頭の中はスイーツエンジェルの味をどうやってみんなに知らせるかでいっぱいだった。
──開店五分前。
「うぅ・・・・・・緊張してきました」
「大丈夫ですか?」
「た、多分大丈夫です」
接客業・・・・・・と言うより、バイトすら初めての僕はかなり緊張していた。
あのノートを見た感じでは、そんなに多くのお客様は来ないようだが、それでもそれなりに来てはいる。
相手を不快にさせないように出来るか・・・・・・それが一番の心配だ。
「ほらっ! ソラくんリラックスリラックス~」
「わっ! 凛菜さん!?」
僕を心配してか、凛菜さんが後ろから僕に飛び付いてきた。
くっ・・・・・・朝の感触をまた味わう事になるなんて・・・・・・・・・・・・本当にありがとうございます。
決して大きくはないが、それでも女の子特有の膨らみ・・・・・・なんというか、ふにふにしてて最高です!
「ねーねー? ソラくーん?」
僕を呼ぶ時、その胸が僕の背中に押し付けられる・・・・・・あぁ、エデンはここにあったのか・・・・・・・・・・・・。
「ねぇソラくんっ!」
「はっ!」
危なかった・・・・・・もう少しであちらの扉(ロリコン)を開くところだった。
凛菜さんには少し気をつけないとな・・・・・・多分素でやってきているから。
「それで、凛菜さんなんでしょうか」
「もうすぐで開店時間になるからしっかりねっ!」
「は、はいっ!」
開店時間は十時、そして今は九時五十九分・・・・・・開店時間まで、5、4、3、2、1・・・・・・。
「「いらっしゃいませ、スイーツエンジェルへようこそ♪」」
──開店から二時間後。
「・・・・・・お客さん、全然来ないですね」
「まぁいつも来るのは十五時くらいだからね」
「それまでは基本こんな感じですね」
何故こんな事を話しているかと言うと、開店してから二時間の間、お客さんが誰一人として来ていないのだ。
考えが甘かった・・・・・・まさかここまでとは思わなかった。
しかし、十五時になればお客さんも来るらしいし・・・・・・もしかしたらその時間帯はかなり忙しくなるのかも。
──それから四時間後。現在の時刻十六時。
確かに十五時を過ぎた辺りに、客が来たには来た。五人だけ・・・・・・。
「あの・・・・・・愛音さん」
「この後も少しは来てくれるので、十人前後くらいです・・・・・・」
「愛優姉のケーキもカノちゃんのコーヒーもこんなに美味しいのに・・・・・・本当に残念」
「そうですね・・・・・・」
味はいいのに何故か評判にならない・・・・・・恐らくスフィールと言うお店も関係しているが、それよりも何か大事な事を見落としている、そんな気がした。
・・・・・・それから十五時を過ぎたあたりに、何人かは来たがケーキの売れ行きは微妙なカタチで閉店時間を迎えた。
「みなさんお疲れ様でした」
閉店作業を終わらせた後、一度みんなで集まる。
「「「お疲れ様でした」」」
「今日も、売れ残ってしまいましたが、それでもめげずに明日も頑張りましょう」
こういったところでは、やはりオーナーである愛音さんが進行していた。
しかし、彼女・・・・・・いや愛音さんだけではなく、僕を含めた全員が少し暗い表情になっていた。
「とりあえずあちらの方へ行きませんか? 僕もうお腹ペコペコで・・・・・・」
僕はお腹を抑える。無理やりにでもこの空気を変えたかった。
「ふふっ、ソラさんったら。そうですね・・・・・・では、私は先にお夕飯を作っているのでこれで」
少し微笑みながら愛音さんは家のキッチンへと向かった。
「・・・・・・ソラ君、ありがとう」
愛音さんの姿が見えなくなった所で、凛菜さんがそう呟いた気がした。
「ありがとうね・・・・・・ここまで暗い愛音を見たのは私達も初めてで、どうしたらいいかわからなかったから」
「そうだったんですか・・・・・・」
「うん、と言ってもこれはみんなの前でって意味で自分の部屋では・・・・・・」
これ以上言うのが辛いのか、ここで言葉が止まる。
気持ちはわかる・・・・・・僕はここに来て間もないが彼女達は違う。長い間一緒に居る家族のそんな姿を見るのはもちろん、それを語るのも辛いだろう。
どうにかしたい、その気持ちはかなり強い・・・・・・しかしどうすればいいのか全く浮かばない自分が歯がゆかった。
「・・・・・・ソラくん。君までそんな顔になっちゃダメだよ・・・・・・そんなソラくんを見たらきっとカノちゃんもっと悲しんじゃう」
「すみません・・・・・・」
「ううん、これは本来ならソラが抱え込む事じゃないの・・・・・・こちらこそこんな事に巻き込んでしまってごめんなさい・・・・・・と、あんまり遅くなりすぎると愛音が心配してこっちに来ちゃうかもしれないから早めにリビングへと向かいましょ」
「そうですね」
リビングに着くと、既に夕飯の準備が出来ており、愛音さんも完全とは言わないが元気を取り戻していた。
それを見て僕達も少し明るい気持ちになった。
・・・・・・夕飯も終わり、それぞれが自室へと行ったり、お風呂に入ったりしてる中僕は、愛音さんがいれてくれたコーヒーを飲みながら一息ついていた。
するとそこへ愛優さんがやって来た。
「お隣よろしいですか?」
「大丈夫です」
「愛音のコーヒー、気に入った?」
「えっ?」
「だってソラ食事の時以外、基本愛音がいれたコーヒーばかり飲んでるんだもん」
気付かなかった・・・・・・確かに言われてみれば朝にコーヒーを頂いて以来、食事の時以外に、飲む物といえばずっと愛音さんがいれたコーヒーを飲んでいた。
まさかここまでハマってしまっているとは・・・・・・。
「あの・・・・・・ねっ、私も紅茶なら少しは自信があるんだ。流石に愛音がいれたくらい美味しいわけではないけど・・・・・・どう、かな?」
「それは・・・・・・愛優さんのいれた紅茶も飲んでみたくなりますね」
愛優さんが少し上目遣い気味に言うので、僕はドキリとしてしまった。
「そ、そうっ! じゃあいれてくるから少しそこで待っててねっ」
そう言い残し愛優さんはキッチンへと向かった。
その時、愛優さんの横顔がちらりと見えた。それはかなり嬉しそうな表情をしていた。
「よっぽど紅茶をいれるのが好きなのか・・・・・・これは楽しみだなぁ」
程なくして、僕の前に紅茶が置かれた。僕は紅茶に関しては余り詳しい訳では無い、かと言ってコーヒーなどに詳しい訳でもないが・・・・・・何故かはわからないけれど、香りだけでこの紅茶はかなり美味しいと断言出来る。
「それでは、いただきます」
僕は紅茶を少し口に含む。
「・・・・・・美味しい。かなり美味しいです」
「お世辞でも嬉しい、ありがとうっ」
「お世辞なんかじゃないですよ! 僕の姉さんも時々いれてくれますが、正直姉さんの紅茶より美味しいです!」
僕があまりにも食い気味に言ったのが、可笑しくなったのか愛優さんは手を口に当て微笑んだ。
「あっ、そうだ」
「どうしました?」
「少し待っててくれるかな? 君に渡す物と伝えなきゃいけない事があるの忘れてたから・・・・・・」
言い終わらないうちに愛優さんはどこかへと行ってしまった。
伝えなきゃいけない事と渡す物・・・・・・何だろう、さっぱりわからない。
僕は愛優さんが戻ってくるまで、紅茶を堪能した。
数分後、何かの書類を抱えて愛優さんが戻ってきた。
「・・・・・・これは?」
「えーっとね、ほら私のお母さんって学園長じゃない? 本来なら学校側が新しい寮が完成するまで、寮に住む予定だった生徒の住む場所の確保とかをするつもりだったらしいの」
そうだったのか・・・・・・ということは、僕の住む場所の確保もしてあったとすると、折角愛優さんのお母様が用意してくださったのを無下にしてしまったわけか。
僕は少し罪悪感を感じた。
「でも君はその時見つからなかったらしくて、渡せなかったんだって。それで一応君の住む予定の場所の事が書いてある紙がこれになるんだけど・・・・・・」
そう言って一枚の紙を僕に手渡される。
「なになに・・・・・・」
──今回はこのような事態になってしまい、誠に本当に申し訳ございません。
つきましては、新しい学生寮が完成するまでの間、ここに書かれている場所での住み込みになる事をご了承ください。 富山高校学園長 白崎 静香
潮乃 夜空の住み込み先は──
「スイーツエンジェル・・・・・・」
「そう、お母さん・・・・・・学園長は最初からここに君を住まわせるつもりだったみたい」
「そうだったんですね・・・・・・それにしても凄い偶然です」
僕はあの日、たまたま愛音さんに連れられてここに来た。・・・・・・あれ?
「愛優さん、しかしそう言ったのは愛優さん達にも伝わるんですよね? それなら何故・・・・・・」
「あ~・・・・・・それはね、お母さんああ見えて結構抜けてる所があって、他の所を優先していたせいでこっちに連絡が来たのは今日の朝だったの」
僕の言いたい事を理解してくれたのか、愛優さんは知りたい事を説明してくれた。しかし、白崎学園長が抜けている所があるのは意外だった、写真とかを見た限りかなりしっかりしていそうなイメージだったのに。
「他にも一つ伝言があるんだけど、いいかな?」
「はい」
「かなり身勝手な事で本当に申し訳ないけれど、愛優達・・・・・・つまり私達とお店のことをよろしくお願いします。って」
「・・・・・・随分と信頼されてますね」
僕が何故学園長からこんなに信頼されているのか・・・・・・謎だ。
「私のお母さんたまにそういった所あるから・・・・・・って大変! もうこんな時間に・・・・・・」
時計を見ると時刻は二十時を指していた。
「ごめんね、まさかここまで遅くなるとは思ってなくて・・・・・・」
「いえ、こちらこそお手数おかけしました。では、僕はお風呂に行ってきますね」
そう言って僕は風呂場へと向かった。
「────はぁ~」
お湯に浸かると、自然とこんな声が出てしまった。
今日は新しい発見と今の問題を直視出来た・・・・・・それはいいのだが、これは本当に思っていたより深刻だ。
試食などをしてみた感じ、味の方は問題ないと言うよりみんなに広めたいくらいだ。しかし何故か人気が出ない。
「スフィール・・・・・・か」
隣町に新しく出来たショッピングモールの中にある大手お菓子メーカーの店。
隣町だから気軽に行ける上に、ショッピングモール内にあるため買い物ついでにも行ける。
そして何よりも大手お菓子メーカーなだけあって知名度が圧倒的に高い。
「まずは名前を売り込む所から始めるのが得策かな・・・・・・」
しかしどうやって?
チラシを配る。確かに長い目で見れば良い手とも言えるが、スイーツエンジェルはそんな時間はない、そしてチラシ配りは受け取ってくれる確率がそこまで高くないので効率が悪い上に、チラシを刷る分の代金もばかにならない。
では、試食をする?
これはアイツらがやっていたゲームで見たが、あの中ではかなり成功していた。これは試しにやってみる価値がありそうだ。後で愛優さんに相談をしてみよう。
他は? 何かイベント開催する。
これはまだ早い。開催するにもお金がかかるし、それに今の状況でお客さんが来てくれる保証がない。
「・・・・・・どうしたものかね」
風呂場の天上を見つめた。
──トントン。すると、誰かがやって来た・・・・・・多分シルエット的に愛優さんだろうけど。
「はい?」
「湯加減はどうですか?」
「丁度いいですよ。もしかして愛優さんまだ入っていなったですか?」
「はい、まだです」
これは不覚。お風呂は一番最後に入るつもりだったのに。
あ、いや別に女子中学生三人が入った後のお風呂のお湯で何かしようってわけじゃないよ? くれぐれもそこの所勘違いしないでよねっ!
・・・・・・と、それよりもまだ愛優さんが入っていないなら早めに出るか。
「僕もうすぐ出るので少し待っていてください」
「ううん、大丈夫」
僕の言葉に対して意外な返事が返ってきた。
大丈夫? 何が大丈夫なのだろう・・・・・・。
その疑問はすぐに解決した。何故なら・・・・・・。
「──って愛優さん!!?」
「ん~? どうしたの?」
「いや、どうしたのではなくてですね・・・・・・何をしているんですか? 僕から見たら服を脱いでるようにしか見えないんですが、と言うより脱いでますよね? 脱いでますね!!?」
そう、大丈夫とはそういう事だったのだ。つまり・・・・・・。
「うんっ、だって私も一緒に入るから♪」
こういう事だ。一緒に入るから大丈夫って・・・・・・社会的に見たら大問題ですよ。
誰だかわからないけどそこのはあなた、110番押すのやめてください社会的に死んでしまいます。
止めようと思ってもね、僕全裸。この状態で彼女の前に出て、脱ぐのを止めさせたら本当に捕まっちゃう。
かと言ってこのまま彼女が入るのも不味い・・・・・・。こうなったら。
「あ、あの愛優さん」
「はぁい?」
「僕何も巻くものとかも無いですし・・・・・・」
「ちゃんとタオル二枚持ってきたから大丈夫♪」
「なんてこったい・・・・・・」
全ては愛優さんの計画通りってか・・・・・・。昨日は愛音さん、今日は愛優さん。これ本当に大丈夫なの? こんな事で捕まるのは嫌だよ? 
しかし僕のそんな思いとは裏腹に事態はどんどん進行していく。
「じゃあ入るね~」
「愛優さん待って! まだ入るのは待ってください!」
「はいっちゃった」
彼女がはいってきたと同時に壁を見る。何だろう昨日と同じ事を繰り返している気が・・・・・・。
「って、あれ?」
その時、電気が消えた。
「ちょっと恥ずかしくなってきちゃったから消しちゃった・・・・・・」
停電かな? そう思ったがどうやら愛優さんが消したらしい。と言うか恥ずかしいと思うなら最初からやらなければ・・・・・・既に遅いけど。
しかし電気を消すとほとんど何も見えないな。
「あの、愛優さん。愛優さんがなんとなくそこにいるのはわかりますが、ほとんど何も見えないんですが・・・・・・」
「そんなに私の裸が見たいの? ・・・・・・ソラのエッチ」
「いやいやいや! だってタオル巻いてるって言ってたじゃないです・・・・・・か」
そこで嫌な予感がした。まさか巻いてない・・・・・・なんてことは無いよね? 流石の愛優さんでもそこまではしないよね? うんうん。
しかし、現実は非情だ。
「何も巻いてないよ・・・・・・だから電気付けたら全部見えちゃうの・・・・・・」
「み、美優さん!!?」
「それより今日は私が君の背中を流したいんだけど、いいかな?」
「それどころじゃないですよね? それに暗くてよく見えないから上手く椅子に座れないですし」
「そこは大丈夫、私がちゃんと移動させてあげるから♪」
「いやしかしですね・・・・・・」
流石にこれは不味いんじゃないか? でも愛優さんの事だからやるまで出る事は出来なさそうだし・・・・・・それにこのままだと愛優さんが風邪をひいてしまうかもしれない。えぇーい仕方ないこれなったらやるしかない。
みんなには重ね重ね言っておくが、僕はロリコンでは無いからな? これは本心からしたいってわけ・・・・・・では、ないぞ? 確かに嬉しいけど! でも僕はロリコンじゃないからね!!?
「・・・・・・わかりました。では、お願いします」
「素直でよろしいっ♪」
心なしか愛優さんは楽しそうだった。
僕が椅子に座ると愛優さんは手馴れた手付きで泡を立てる。
と言うか、愛優さんはちゃんと見えてるのね・・・・・・あ、言い忘れたけど出る前にちゃんと僕はタオル付けたからね?
「それじゃあいくよ・・・・・・えいっ」
「えいって・・・・・・うおおおお」
な、なんだこれは! 昨日の愛音さんとは違う・・・・・・これは次元が違う気持ち良さ! 昨日のアレが天国では無かったのか!?
「どう・・・・・・かな?」
「とても、気持ちいいです・・・・・・」
「そう? そう言ってもらえると嬉しいなっ♪」
会話をしながらも手を休めない愛優さん。これは癖になりそうだ・・・・・・。
至福の時間だった・・・・・・こんな時間がずっと続けばいいのに、そう思わずにはいられないほど。
「それじゃあ、ちょっと立つね・・・・・・っきゃぁ!」
その時、後ろから愛優さんの悲鳴が聞こえ僕は後ろを振り返る。
今思うと何故そこで振り返ってしまったのだろうと、後悔した。
ただでさえ暗い視界が急に更に暗くなった、顔に柔らかい感触と共に。
その状況を理解するのに時間など必要無かった。もしかしなくてもこれは恐らく愛優さんのおっぱいの感触だろう。そして僕は愛優さんのおっぱいに、顔を埋めている。
なんと言うか・・・・・・最高です!!!!
ずっと包まれていたいですはい!
「・・・・・・まっふぁく、ふゅうひゃふせいふぁふぁいほぉうふぁぜ(まったく、中学生は最高だぜ)」
「んんっ」
思わず思っていた事を口に出してしまった、しかしそれと同時に甘い声が聞こえた気がした。
「ふぁの、ふぃふゅふぁん? (あの、愛優さん?)」
「あっ・・・・・・そ、そこっ・・・・・・まって」
「ふぁい? (はい?)」
「だ、から・・・・・・そこで喋られる・・・・・・とっ!」
「ふぃふゅふぁん!? (愛優さんれ!?)」
突然僕は抱きしめられた。いや、正確に言おう、僕の頭が抱きしめられた。
つまりそういう事だ・・・・・・察してくれ。
「ふごごご! ふごごご! ふごごごごごっ!! (みゆさん! 苦しい! 苦しいですっ!!)」
「だからそこで喋っちゃ・・・・・・あぁっ!」
愛優さんの身体が一種ビクンと跳ねた気がした。
ってそんな事を気にしている場合じゃない! 死んじゃう! このままだと愛優さんのに包まれて死んじゃう!
「ふごごご! ふごごごごごご! ふごご! ふごごごご!!  (愛優さん! 早く離して! 死んじゃう! 死んじゃうから!)」
「まっ・・・・・・てぇ~~・・・・・・っ!!」
愛優さんの体が何回かビクビクッと跳ねた後、僕は解放された。
解放される直前に強く抱きしめられたのか、何かしらの衝撃があったのかはわからないが、その時の事ははっきりと覚えていない。
ただなんとなく、その時に僕の昔の色々な記憶が頭をよぎった気がした。
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