俺と魔王の優雅な日常

ノベルバユーザー108708

俺とメイドと説明を

「やべーやつだな」
「おい。人が丁寧に挨拶したら何だそれは!」
おっと口が滑った。
でもこいつはヤバイ。だって魔王に完全に入れ込んでる。いくら相手がロリとはいえこれはあかん。
「おいさっきから私の胸ばかり見るな!!」
「いや、見てないです。」
やめてホント。俺これでも勇者だよ?
さっきの鋭さどこいったんだよ……
「それよりお前も早く名乗れ!常識だぞ!」
礼を欠いたことは俺が悪いので
「失礼しました。俺はカゲヤマ エイト
といいます。勇者です。」
俺なりに丁寧に挨拶をした。
「貴方まさかエリス様を倒しに来たの?」
あ、ヤバイなこれ。
「エリス様に剣を向けようとしたのね!??許さない!殺す!」
あ、あかんなこれ。
じりじりこちらに向かってくる。
「落ち着け!あんたも元スナイパーなんだろう?なら俺と一緒でエリスと契約したんじゃないのかよ?」
「ちがうわ!私はエリス様の姿を一目見てエリス様の美貌に魅され自ら僕になったのよ!」
こいつヤバイな。
これ以上騒ぐのはよそう。
「悪かった!でも俺はもうエリスの忠実な僕だ!契約もした!」
そこで言葉切り、真顔で
「信じてくれ!」
そう言った。
俺が言うとクレアは足を止め、自分の椅子に座った。
「次、調子に乗ったら殺りますよ」
もうやだ。帰りたい。
とりあえず話題を変えよう……。
「そうえば、エリス邸ってのはなんだ?まぁ、名前の通りエリスの屋敷なんだろうけど近くに屋敷なんかあった覚えないんだけど」
俺の質問に落ち着きを取り戻したクレアが優しく応える。
「ご想像の通りここはエリス様の屋敷です。この屋敷は魔王ダンジョンの裏にあるのです。《ステルス》で屋敷自体は見えないようにしているので、気づかなかったのでしょう。」
《ステルス》とは物を透明にする事ができる魔法だ。
ん?でもそれって……。
「あれ?でも《ステルス》は男どもが女風呂に入りこむ事件が多発したから禁止魔法になったんじゃ?」
「あぁ。そんなのエリス様には関係ありませんから。」
それでいいのか。
てか禁止魔王って使おうとするときに何重にも複雑なロック魔法がかけられてるはずなんだが……。
「ところでエイト。貴方はどんな役職をエリス様に与えられていますか?」
役職?はてなんのことだ?
「その顔からするにまだ役職は与えられていないのですね。」
ほんと察しがいいなこいつ。軽く引くわ。
「私が明日エリス様に聞いておくので今日は休んでいいですよ。もう夜も遅いですし。」
「いいのか?」
「ええ、エリス様はもうおやすみになっていますしね。どっちにしろ今日の仕事は終わりです。」
なんかすげーな。
仕事できる女って感じだな。
「なんか悪いな」
「いえ、それではおやすみなさい」
「あぁ。おやすみ」
そう挨拶をかわすとクレアは部屋を後にした。
1人になり部屋を見渡すと、俺のいるベットの隣のタンスの上に水の入った桶が置かれていた。
その桶には濡れたタオルが入っていた。
そのタオルに少し触ると中の水は冷たいのに、タオルはまだ生温かい。
あいつ、ずっと看病してくれてたのか………。
意外にいいやつなのかもな。
俺はちょっとホッコリした思いで再び眠りについた。






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