イデアの無双冒険記

ノベルバユーザー110405

全王戦再び #35

控え室に入ると、アルトが武器の調整をしていた。
声をかけるのは、気が引けたのかイデアは無言だった
だがその必要は無くなった。

「お!イデアじゃないか、久しぶりー」
アルトが声をかけてきた。
イデアは無愛想な対応はしなかった。

「久しぶり、アルト…」だがそれは難しかった。
無愛想ではないが、愛想良くもなかった。

アルトも察したのか、それ以上は声をかけなかった。
狙ってたのか、話が終わると同時にアナウンスが

「さぁ今年も全王戦!誰が優勝するのか分かりません
特に初出場が多い年になりました!
初出場の選手は、絶対的な強さを誇るイデアに勝てるのか! 
見所はたくさんあります!それでは選手入場です!」

音楽が流れて、僕らは入場していくのだ。
アルトは少しアガリ気味に見えた。
 その姿が初々しく見えたイデアは微笑んだ。

「それでは1回戦第一試合を行います…
フリューディア代表アルトvsインカディア代表ソーラ
試合開始!」
アルトの相手は準優勝の経験を持つ、強者だった。

「アイスピラー!」ソーラは、アイスの棘を作る事によって動きを止めようとしたが、アルトは対抗魔法を
唱えながら相手に向かって行く。

「対抗魔法を唱えながら、攻撃を仕掛けるのか。
それだと早めに決着つけないと、体力の消耗がな…」
値踏み気味だが、イデアは感心していた。

考えた通りにアルトはソーラ相手に、怯むことなく
勝利を掴み取った。(次は僕か…相手はヒムルだな)
ヒムルとは1度だけ試合をしている。

「1回戦第二試合プラムディア代表イデアvsプリズディア代表ヒムル 試合開始!」
僕は剣を抜いてヒムルの出方を見た。

「マヌーサ-エア!」  (視覚妨害の魔法か…それなら!)
「シルバーシールド!」
イデアは盾魔法を唱えることにより、視覚妨害されている中ハッキリ前が見える。

「ハァッ!」そんな視界の中、ヒムルは攻撃を仕掛けた
イデアが盾魔法を唱えてると知らずに。

「何っ?!盾魔法だと…」少し驚いた様子だったが、
さすが準優勝すぐに体制を整えた。
だが整えようとしたその隙を、逃さなかった。

「ソニック-アクセラレート!」
生まれた隙を、回転しながらヒムルを斬る。
ヒムルはその猛激を一つも躱せず、壁に飛ばされた。

「勝者イデア!」この試合を客観的に見直すと、
ヒムルは何一つ攻撃が出来なかった。 正しく言うと、
当たった攻撃はが一つもなかった。

控え室に戻るとアルトがいきなり話しかけてきて、

「相変わらず質素な試合だよなぁ、でも強いんだよ…」
呆れてるのか褒めてるのか、分からないニュアンスだ

「とりあえず、褒めてると受け取っておくよ…」聞いたアルトはニヤニヤしていたが、触れないでおいた。

その裏でアルトはレインと話していた。

「相変わらず速すぎる動きだぜ…見えないぜ」
アルトは呆れ気味に感嘆を漏らした。

「えぇ意識を『速さ』に集中しても見えませんでした
意識を超える速さ…まさか?!」

それを隣で聞いていたアルトも勘づいた様子で、

「意識の限界を超える速さって、光速を超える速さ…
秒速280mを超える速さなのか…」

「まだ分からないけど、可能性は高いわね」

二人は恐怖ではなく畏怖を抱いていた。



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