精霊と共に ＃29

王戦2日目を告げる朝が来た。
いつも通りに朝食を食べて、精霊達と一緒にスタジアムに向かった。
昨日と同じように、僕は控え室に精霊達は観客席に。

｢今日も早く来て頂きありがとうございます！
それでは早速2回戦第一試合を始めます。
イデアvsヒムル 試合開始っ！｣

ヒムルは土魔法のダーク-ドリルを放った。
途端に足元が揺らいだ。
その事に放たれる前に気付き、オリジナル盾魔法の

｢シルバーシールド｣を唱えた。
直撃したと思い込んだヒムルには、衝撃的な光景が
目に入ってきた。 そこには全くの無傷のイデアがいた
からだ。

｢ふーん、使ってくる魔法が分かってたのね…
あんなのイデアさんからしたら、お手の物かも知れないですね…｣もはや精霊達は呆れていた。
まぁずっと前からそうだったが…

少し驚いたヒムルだったが2回戦に来ただけある。
すぐに自らに力増強魔法をかけて、
イデアに向かって走った。

ヒムルは力増強を使った上に、目に見えるのがやっと
な位の剣撃を放った。

｢力増強の上にオクタブル-アタックか…賢いな。
だがその組み合わせは、確実に決めないと体力の
消費が早いはず…｣そう考えて、
あえて正面からその攻撃を受けるように流した。

昨日と同じ技の｢ソニック-リープ-アクセラレート｣
を放つ。 当然ヒムルの攻撃は一つも当たらない。
ただ一方的に斬られるだけであった。

｢勝者イデア！｣あまりに一方的だったのか、
観客席からは怒りの視線を感じた気がした。
一部の呆れた視線を除いて…

｢また同じ技じゃない！ 手の抜き方もおかしいわね…｣
精霊達は呆れたと、言わんばかりの視線をイデアに向けた。
｢つ、続きまして第二試合…｣
どうやら第二試合がスタートしたようだ。

｢あ、イデアさんが来ましたよ｣スパークは
僕が上がってきた事を、誰よりも早く察知した。

｢イデア？ どうして同じ技を使ったのかしら？｣
ダークが半ギレして聞いてきた。

｢あぁその事か…それはだな本当はあの技を片手剣
じゃなくて、二刀流でしたかったんだけど、
二刀流だと力の制限が出来なくてね…｣
引きつった笑みを浮かべながら、僕は答えた。

｢確かにあの技を二刀流で放つと、ただでさえ加速が
働いてるのにもっと加速する二刀流を放つとね……｣
フレイヤは淡々と語るが、焦ってる事が丸分かりだ。

｢確かに加速の上に加速…これは力の制限は難しいわ
ごめんイデア、悪く言ってしまって…｣
ダークは目に涙を浮かべていた。

｢まぁまぁ落ち着いて…とりあえず涙を拭こ？｣
僕はそれがダークの、ハニートラップとは気付かずに
紙を渡した。

それを見ていた精霊達は、ふてくされていたが
僕はその理由が分からなかった。