部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

今年も


今日はメリークリスマスですね!!
……まぁ作中ではもう新年ですが笑





なんていう新年早々下らない話をしながら人の流れに
乗っていると賽銭箱が見えてきた。
「おっ、やっと着いたみたいだね」
「うぇ……人混み気持ち悪い……」
「センパイ、大丈夫ですか? なんか顔が悪いですけど……」
七海が心配そうに聞いてくる。
僕は人混みが苦手な人間だ。
今更何故こんな場所に来たのだろうかと思い始めた。
「そう言えば国木田先輩って人混み苦手でしたよね。
すっかり忘れていました……」
「だ、大丈夫ですか……なんなら少し休みますか?」
森や織田が心配そうに聞いてくるが
「いや、今ここで抜けると並ぶのが億劫だから
さっさと済ませてしまおうか」
神様にお参りするのをさっさと済ませるというのも変だが
今、この場で抜けたら再び最後尾に並ぶのがとても面倒に
感じた。
「分かりました、ただ無理しないでくださいね」
「あぁそうするよ……」
「じゃあセンパイは私の肩貸しますから」
「ごめんね……」
と七海に肩を借りながら僕らは賽銭箱の前まできた。
そして賽銭箱の最前列に着くと各自小銭を財布から取り出し
賽銭箱に入れた。
それぞれが今年に願う事を思いながら手を合わした。

(今年は……就活が無事に終わりますようにかな……)
あと数ヶ月もしたら就活が本格的に始まる。
親父の商社のインターンを半ば裏口で参加する事になり
多分そのままそこを受ける事になるのだろう。
ある意味、大きな人生の分岐点に僕は
これから立ち向かう事になる。
それが無事に終わる事を願うのは当たり前だと思う。


(あとは最後の大学生活を楽しく過ごしたいな……)
もう気がついたら大学生活はあと1年しか残っていない。
部活の件もあるし僕個人が大学で行いたい事は
まだ残っているからこの1年を悔いのない様に過ごしたい。

(最後はやっぱり……七海との生活かな)
と隣で手を合わしている七海を見た。
昨年との大きな違いは彼女だろう。
七海がいたからこの1年は楽しく過ごせたし、彼女がいたから
乗り越えれた事が沢山あった。
だからこそこの僕自身最後の大学生活も彼女との愛しい日々を
過ごしたいと思うのである。
今年は就活や卒論など昨年に比べてやらなければいけない事が
沢山あり、七海との時間は減ってしまうかもしれない。
でも僕はそんな中でもこの愛しい彼女との生活を
大切にしていきたい。
勿論、その日常を行える様な努力は精一杯するつもりだ。
だけど……
(少しぐらいは力を貸してくれると嬉しいな神様……
今年も七海と楽しく過ごせるようにお願いします……)
と願わずにはいられない僕であった。




そして本殿での参拝が終わったあとの僕らは……
「だから言ったじゃないですか先輩……」
僕は近くのベンチで七海に膝枕をしてもらっていた。
参拝した後、流石に我慢の限界がきてしまい休憩していた。
そして休んでいる僕を後輩達が囲んでいる。
「今回に関しては森に同意するかな……とても遺憾だけど」
「……相変わらず俺の扱い雑っすね」
「国木田先輩にも弱点ってあるんですね」
と凛子さんが不思議そうに言ってきた。
「そりゃあるさ……人間だし……」
「センパイの弱点としてはあとね〜虫とお化けと〜」
何故か勝手に人の弱点をバラす我が彼女。
こいつ僕が動けないの良い事にして……。
「……七海は後で覚えておけよ……」
「ふっふっふっ、今のセンパイに何ができるんですか〜?
今は完全に寝込んでいますよね〜」
勝ち誇った顔で僕の顔を覗き込んでくる七海。
……そのドヤ顔がとてもムカつく。
「ねぇ七海」
「なによ〜凛子〜今滅多に感じれないセンパイへの優越感に
浸っているんだから邪魔しないーー」
「七海、今国木田先輩は動けないわよね?」
「うんそうだよ〜」
「“今は”よね」
「……あっ、まさか」
どうやら凛子さんが言いたい事に気付いた様な七海である。
「……後でたっぷり仕返しされるわよ、七海」
「おぅ……で、でもセンパイがそんな事するはずが……
み、皆さんもそう思いますよね?」
七海が同意を求めようと周りに問いかけるが
「「……」」
凛子さんも含めた4人は一斉に目を逸らした。
「ち、ちょっと皆さん〜〜!?」
「いやだって俺達、先輩の怖さ身を持って味わっているし……
なんなら平塚自身が1番分かってそうだが……」
「そうだよね〜一緒に生活しているみたいだし」
「……俺は拒否権を行使する」
「頑張ってね七海
ーー私は応援はしないけど」
「最後に凛子のが何気に1番酷いよ!?」
「……頼むから静かにしてもらえないかな
こう見えて僕、病人なんだけどなぁ……」
「「あっ、忘れてました」」
「だろうな……」





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