部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

・・・うぇ〜い


今回から新章に入っていきます!!



今年もあと3日となった12月29日……

「ねぇねぇセンパイ!! 富士山ですよ富士山!!」
「うん、そうだね。富士山だ」
僕と七海は新幹線の窓から見える富士山を見ていた。
よくもまぁ年末という一番混みそうな時期に指定席を
取れたものだと思う。
「もうセンパイったらテンション低いですよ〜!!
テンション上げてましょう〜〜!!」
「……うぇ〜い」
僕は嫌々ながら手を上に上げていた。
「無理矢理やらされている感が丸出しだ!!」
「だってさ……今から僕らが向かう場所を君は
分かっているのかな?」
「えっへん!!しっかり分かっていますよ!!
ーー私の実家に結婚の報告ですよね!!」
「虚偽の目的立てるのやめて欲しいな!?」
まさかの目的地に着く少し前に新たな目的が増えた。
「あれ? 違いましたっけ? あっ、結婚の許しを
もらいに行くんでしたっけ?」
「どっちも違うからね……」
「じゃあ両家のご両親にあいさ」
「ーー国木田口封じ」
「もごっ!!」
と僕は七海の口にさっき買ったゆで卵を入れた。
これ以上彼女に喋らすと行く前から僕の頭が頭痛が
酷くなりそうなので黙ってもらう事にした。
「もごもご」
と可愛らしくゆで卵を食べる七海。
「……はぁ、というか何で僕まで」
僕は最近、癖になってしまった頭に手を当てて
何故僕がこうなってしまったのかを振り返っていた。


事の発端はクリスマス前に戻る。
七海が年末実家に戻る事になった際に電話で
“センパイも一緒に連れていっていいよね!!”
という感じの言葉を言ったのが始まりだ。
それを何故か七海のご両親が了承してしまい
ほんの数日前に2人分の新幹線のチケットが
家に届いて
言い方から分かると思うが僕はあまり乗り気ではない。
……いやだってさ、彼女のご両親に会いに行くって
結構なプレッシャーだよ?
そりゃ夏に一度会ったし、お父さんの方とはよく
連絡を取り合っているとは言えどもね……
「あぁ……考えていたら胃が痛くなってきた」
「センパイ、おかわり!!」
「はい、どうぞ」
と僕は七海にもう一個買っていた僕の分のゆで卵を
渡した。そしてそれを受け取ると食べる七海。
「もぐもぐ、この絶妙な塩加減がいいですね〜」
「……そうか、なら良かった」
まぁその絶妙な塩加減を僕は食べてないから知らないが。
「センパイ楽しみですね〜」
「あぁ楽しみかもしれないね……」
乗り気な彼女とむしろ逃げたい僕とでは
テンションがまったくもって逆であった。


ちなみに僕が七海の実家に行くと言った数日後
織田と森の両者から
「「どうやったら彼女のご両親と上手く話せるのか
大先輩のご意見をお聞きしたいです!!そして途中経過も
出来ればお願いします!!」」
と頭を下げられ頼まれた。
まぁ教えるのは構わないが何だろうか妙に“大先輩”という
単語にイライラするのは気のせいだろうか。



そして新幹線に揺られる事1時間半
僕らは名古屋駅についた。
いつもなら名古屋駅から私鉄に乗ってまた1時間ぐらい
かかるはずなのだが今回は七海のお父さんが車で
迎えに来てくれるという事だった。
「着きました〜〜!!」
「……あぁ着いちゃった」
「もうセンパイ〜そんな顔じゃ幸せが逃げますよ〜!!」
「七海がいれば幸せだからいい」
僕がその様に言うと七海はしばらくポカンとした表情を
したあと、急に顔を赤くして
「も、もうセンパイはいきなり何を言うんですか!!
私はセンパイをそんな風に育てた記憶は無いです!!」
「僕も君に育てられた記憶無いけどな……」
というか僕の方が七海よりも年上だし。
「何を言っているんですか〜私がセンパイを
オトコにしたじゃないですか〜」
「やめぃ!?」
というかそっち方面の話か!!
「もう照れなくていいんですからね〜?
これでセンパイは一歩オトナの階段を登ったという事で。
どやぁ〜〜!! 私を敬って日々のご飯を豪華に!!」
「そこ絶対使い方間違っている気がするからね?
というか現物支給かよ……」
「だってそれが七海クオリティですからね!!
ここで曲げたら私が私ではない!!」
「言っている事が大体的を射ている……
とりあえず七海のお父さんが待っているターミナルまで
行くからね?」
「ドヤッ」
「……」
「ドヤッ」
「……」
どうやら“私を褒めて!!”という事らしいが今までの
どこに褒める要素があったのか分からない。
「……さて置いて行くか」
僕は七海のお父さんが待っているターミナルの方に
1人で向かう事にした。
「あぁ〜待ってよ〜!! 置いていかないで〜!!
ーーハッ、まさかセンパイは私を放置するプレイに
とうとう目覚めたのか……!!」
「よし本当に置いていこう」
さっきよりも歩く速さを速めた。
「ごめんってば〜!! だから置いていかないでぇ〜!!」
「ならふざけないでさっさと来る!!」
「イエス、マイボス!!」


改札からしばらく歩いて駅から少し離れた場所に
七海のお父さんが指定した場所があった。
そこには既にお父さんが待機していた。
「おぉ!! 七海に拓海くんじゃないか!!」
「お久しぶりです」
「パパ久しぶり〜」
「まぁとりあえず立ち話はやめておいて車に乗ってくれ。
ゆっくり家で話そうじゃないか」
と促され僕らは車に乗る事にした。



ーー彼女の実家で過ごす年末編、開幕。




コメント

  • たく

    部活は何部ですか?
    見るの忘れたっぽくて

    2
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