部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

ギャップ萌え





「お、お邪魔します〜」
と俺は恐る恐る凛子の家に入った。
玄関には靴が一足しか無く、それはよく見る彼女の靴
なのでどうやら本当に凛子しない家にいない様だ。
そこで俺は靴を脱ぎ、スマホのメッセージに書かれていた
リビングに向かった。
そして俺がリビングに繋がるドアを開けると
そこには……
「い、いらっしゃい……先輩」
布団にくるまった謎の物体があった。
……声的に凛子なのだろうけどドアを開けた瞬間
目の前にあったら驚くだろう。
「な、何しているんだ?」
「い、いやですね……事情を説明しようと先輩を
家に呼び入れたのはいいんですけど……私よく見たら
部屋着だった事に気付いて……恥ずかしくなり
布団に急いでくるまりました」
「そ、そうか……」
……だがな凛子、布団にくるまっているせいか
顔まで隠れていて誰か分からないぞ。
という心の声は我慢して凛子に近く。
「じゃあ本題に入るか。
どうして遅れたんだ? 結構心配したんだぞ?」
「それに関してはすいません……言い訳しません」
「いや、別に怒ってないし、怒らないから遅れた理由
言ってごらん?」
「……本当に怒りませんか?」
「いやそもそも俺も遅刻の常習犯だから怒れないし……」
「その理由聞いて笑いませんか?」
「笑わないというか、それって笑える理由なのか?」
「……私にとっては墓場まで持っていきたい
ぐらいの失態です」
「……尚更笑わないから、言ってごらん」
「分かりました、ではお話し致しましょう。
事の発端は昨日に遡ります」
と遅れた理由を話し始めた。



「昨日、先輩とのデートで何を着ようかと
クローゼットの中を探して、鏡の前で着ていました」
「おっ、俺と同じ事しているな。それでそれで」
「はい、そして着ていく服を決めた後ご飯を作りました。
今1人しかいないので」
「そうみたいだな」
「……自分で言っていて先輩と2人きりって思うと
変に緊張してきました」
「そ、そうだな……」
「……」
「……」
と急に黙り込む俺達。
その静けさが改めて今、この空間に俺達しかいない事を
実感させる。
「襲わないんですか!?」
いきなり爆弾発言をぶち込んでくる我が彼女。
「何を言っているのか自覚しているのか君は!?」
「だって今、ここに可愛い彼女が部屋着で目の前に
いるんですよ!?」
布団でくるまって部屋着見れないけどな
「先輩はそんな彼女を襲わないんですか!?」
「毎度言うけどさ落ち着けよ!?
普通女の子がそんな事を言わないと思うんだよな!?
というか言っちゃダメだよな!?」
「先輩にならいつでも襲われてもいいです!!
さぁさぁ襲ってください!!」
「平塚ヘルプ!! 俺だけじゃ抑えられない!!」
俺は近くにいない凛子の親友に助けを求めた。
だが……
「ま、まさか先輩は七海と浮気を……
ウワキハユルサナイ……ナナミモドウザイ」
どうやら俺は人選を間違えたみたいだ。
「気がついたら彼女が闇落ちしている!?
というか本当に誰かヘルプーー!!」

凛子が毎度恒例の暴走が収まり数分後……
「そ、それでですね!!」
「お、おう……!!」
「ご飯を食べた後にお風呂に入って
布団に入りました」
「ふむふむ、ここまでは普通だな」
「そして布団に入って、明日のデートの事を考えました。
明日は何をしようか等と」
「……あっ、これなんかオチが想像出来たぞ」
「そして妄想が膨らみすぎて、中々寝れなくなり
……起きたのが先輩がインターホンを
鳴らした時間でした」
「……なぁ凛子」
「はい、何でしょうか?」
「まさか凛子が寝坊した理由って
ーーデートの事を色々と考えていて寝るのが遅くなった
からだよな?」
「……はい、そうです。
お恥ずかしい事にそうです」
「へぇ……そうなのか……プッ」
「あっ、今笑いましたよね!?」
「いや、そんな訳無いぞ……? プッ」
「今思いっきり笑いましたよね!?」
「いやいやそんな事な、ハハッ……失敬」
笑いを止めようと思っていても凛子の寝坊の理由が
あまりにも微笑ましくて笑いが止まらない。
普段はピシッとしていて真面目なのに
遠足前日の小学生いたいな理由を聞いて
そのギャップ萌えというのだろうか、反動も相まって
笑いが止まらない。
「……っ〜〜〜〜!? 先輩さっき笑わないって
約束しましたよね!?ほんの数分前に!!」
「いやいやあまりにも理由がさ、微笑ましくて
可愛くて笑いが止まらないんだよ……ハハハッ」
「もう酷いですよ!? これでもくらってください!!」
と前方から枕や凛子の近くにあったものが手当たり次第
こちらに飛んできた。
「ハハッ、当たらないって当たらない〜」
俺はそれを軽々避ける
「これなら避けれないですよね……!!
これでもくらえーー!!」
と凛子は自分がくるまっていた布団を投げてきた。
「ハハハッ、甘い甘い甘い〜これぐらいで俺が……
ーーえっ、凛子、その服は……」
「服ですか……?
あっ……あぁーー!! しまったーー!!」
彼女を包んでいた布団が飛んでいったためか
彼女の部屋着が見えた。
その部屋着というのが……
「怪獣の着ぐるみだよな……それって」
凛子が来ていたのは有名な怪獣を模した部屋着であり
怪獣の口から顔が出てくるタイプの物だった。
「あぁそうですよ!!そうですよ!!
それで!? 何か文句ありますか!?
あったら受け付けますよ!!」
とまたまた暴走している我が彼女。
……まぁ怪獣を模した部屋着であるためか
あまり怒っている感じはしないのだが。
「どうしてそれを……?」
「これはまえに七海と与謝野先輩と一緒に買い物を
した時に3人でお揃いで買った物です!!
意外と着心地がいいので毎日来ています!!」
「わぉ……」
というか家族は何も思わないのだろうか。
娘が変な部屋着を着ていても。
「さぁさぁ先輩今なら怪獣凛子を倒せるチャンスです!!
倒した後は色んな事をしても大丈夫です!!」
「待て待て落ち着け!?」
「部屋着を脱がせてあんなことやこんな事をし放題……
せ、先輩の変態!! 彼女に何てことさせようと
しているんですか!?」
「俺言って無いからな!?」
と凛子の暴走はまたしばらく続くのであった。




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