部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

改めて言うと

「おぉ〜沢山仏像がありますね〜!!」
「うん、そうだね」
僕らは三十三間堂の中に入り、仏像の多さに驚いていた。
入って右には沢山の仏像があり、そして中心には
一際大きな仏像があった。
僕らはその沢山の仏像の前をゆっくりと歩いていた。
観光客の人達もいたが、かなり静かな空間だった。
「ねぇセンパイ」
「ん? なんだい?」
「たまにはこういう場所でのデートもいいですね」
「確かにそうだね」
僕らがいつもデートで行く場所というのは
ショッピングモールなどの比較的賑やかな場所であり
こういう静かな場所はあまり行かない。
僕個人は博物館とか行くのは結構好きなのだが
七海はあまりそういうのに興味がなさそうなので
大体は1人でふらっと行っている。
「センパイって博物館行くの好きですよね?」
「うん、好きだけど。どうしたの?」
「いつもデートで博物館とか行かないのって
私に気を使っているからですか?」
「まぁ……多少は」
「やっぱりそうでしたか……全くセンパイは変なところに
気を使いますよね〜まぁそれも好きなんですけど〜
私のセンパイですからね!!」
「はぁ……」
たまにこの子の話の流れが掴めない僕。
七海と付き合って半年、まだ分からない事がある。
「言ってくれれば博物館は私も行きますよ〜
だって毎回デートで私の行きたい場所に行く
じゃないですか」
「まぁ、そうだね」
「だからたまにはセンパイの行きたい場所に
行ってみたいな〜という気持ちがあるのですよ」
「じゃあ今度博物館行く?」
「はい!! それ以外にもセンパイの行きたい場所に
行ってみたいですね
ーーセンパイの事だしホテ」
「国木田チョップ」
僕は変な事を言う前に黙らすことにした。
「あいたっ。何するんですか!?」
「彼氏チョップ」
「あいたっ。だから何するんですか!?」
「明日から自炊しろチョップ」
「それは断るっ!!」
と何故か最後のチョップだけ防ぐ七海。
「くそっ……本音は防がれたか」
「そんな気がしてましたよ……」



そして僕らが中をゆっくりと散策していると
「ーーちょっと君達?」
「「はい?」」
僕らが後ろを振り向くと
そこにはご老人の夫婦がいた。
多分騒がしいのがまずかったのだろう。
「あっ、すみません。騒いでしまって」
「す、すいません……」
僕らはそのご夫婦に謝った。
「あっ、いやそういう訳ではないんだ。
ただ君達を見て気になったんだ」
と旦那さんの方が言うと
「ところであなた達は付き合っているのかしら?」
奥さんの方が僕らに尋ねてきた。
「えぇ……まぁ……付き合っています」
「そうですね私達は……付き合っています
……って恥ずかしい」
と顔を赤らめる七海。
「ちょっと七海? いつもの元気はどうしたの?」
「だ、だっていきなり改めて言うと妙に
恥ずかしいというか……せ、センパイのイジワル」
「理不尽だ……」
「若いわね〜」
「そうだな」
とご夫婦が僕達を温かい目で見ていた。
「「すいません……」」
「いいのよ、いいのよ。 あなた達を見ていると
心が暖かくなるわ。2人ともお似合いね」
「お、お似合いだって……そう見えますか!?」
「えぇ、とってもお似合いよ」
「ありがとうございます……えへへ〜」
顔が緩める七海。
「七海、顔がだらしなくなっているよ?」
「えへへ〜いいじゃないですか〜お似合いだって〜
えへへ〜うへへ〜」
「……ダメだこりゃ」
「彼氏さんの方もお似合いよ?」
「あ、ありがとうございます……」
「彼氏さんの方が彼女さんの手綱をしっかりと
握れているみたいね」
「……握れているかは不明ですが」
「大丈夫よ。今のままで大丈夫よ」
「おいおい、若い2人を困らせるんじゃないよ。
そろそろ行くぞ?」
「はいはい、行きますよ」
「では2人ともデートを楽しんでくださいな」
「楽しみなさいよ〜」
とご夫婦は去っていった。
「こちらこそありがとうございました」
2人の後ろ姿を見ているととある事に気付いた。
前を行く奥さんを後ろから旦那さんが見守っていた。
(あの旦那さん、奥さんの事大切にしてるんだ……
カッコいいな……)
いつか七海とはそんな関係になっていく中での
1つのモデルがあのご夫婦かもしれない。
「あのご夫婦こそお似合いだと思う
ーーって七海?」
「お似合いだって〜お似合いだって〜えへへ〜
うへへ〜帰りに婚姻届もらいにいこう〜」
凛子さん並みに暴走しかけていた。

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コメント

  • 隻眼の王

    やばいな〜結構まじで、これ読んでるだけで俺の理性やばいわ!!

    2
  • ペンギン

    うん、やっぱり七海は可愛いですね!ヤバいです!こんな彼女がいいですねぇw

    3
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