部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

写真を撮ろう

「先程はすいませんでした……」
怒られた子犬のようにシュンとしている凛子。
「い、いや俺は構わないからいいよ」
俺自身は大して被害を被ってないからいいのだが。
「あぁ……なんで私は毎回変に暴走するんだろ……」
と嘆くようにいう凛子。
「さぁ……分からない」
(というか俺は凛子の可愛い姿を見れて良かったし)
「も、もう暴走しません!!」
「本当か……?」
「大丈夫です!! ……多分」
あっ、これまた数分後に暴走するやつだ。
なんて口に出したら、凛子の可愛い暴走が始まるだろう。
「ならもう少し金閣寺周辺を散策するか?」
「はい!!」
と俺らは再び手を繋いだ。
(よし、今回はスムーズに手を繋げたぞ……!!)
なんていう自分のちょっとした進歩に
心の中で大きくガッツポーズをしたのであった。


俺らは再び金閣寺の敷地内を2人で散策していた。
金閣寺を様々な角度から見たり、他の建物に入ったり
凛子の豆知識なども聞けた。
(にしても凛子って本当に色んな事知ってるな……)
教科書に載ってない事なんかも色んな分野で知っている。
言い方は悪いが同じ学部の平塚は大違いだ。
……なんて国木田先輩の耳に入った瞬間
喧嘩になる事間違いない。
"ほう〜言うようになったじゃないか森〜?"
って感じでくるだろうな。
「あ、あのゆ、結城先輩!!」
「ん?」
「い、い、い、一緒にし、し、し、写真撮りませんか!!」
と顔を真っ赤にしながら言ってきた。
「あ、あぁ構わないが……」
「"が……"って事は私と写真を撮らない様にするには
どんな理由があるかを考えているんですね……
分かります……断る時って理由難しいですもんね……」
「あ、これは……」
ネガティヴモードに入ったぞ……。
「ですよね……私みたいな陰キャラとは一緒の写真に
写りたく」
「よし撮ろうじゃないか」
ネガティヴモードの場合は凛子の言葉を遮り
俺から意見を言うのが一番いい。
「えっ……」
「だって一緒に写真撮りたいんだろ。
俺も凛子と一緒に撮りたいからさ」
「わ、分かりました……ではもう少しこちらに
よ、寄ってもらえませんか?」
「お、おう……」
凛子に言われ身体を近づける俺。
身体を近づけた途端、何故か甘い匂いがした。
(こ、これはまさか……り、り、り、凛子の匂いか!!
ヤバイ、クセになりそうだ……)
よく漫画とかで見る"女性の匂い"というものだろう。
いつまでも嗅いでいられそうな気がした。
「結城先輩……?」
「あ、わりぃ俺は大丈夫だ」
「じゃあいきますよ……う〜ん、う〜んと
よいしょ……」
と自分の腕を精一杯伸ばしてスマホを構えようとする凛子。
どうやらうまい具合に2人が写真に入らないみたいだ。
凛子は他の2人に比べて身長が小さいため
相対的に腕も短い。そのためこの様な事になる。
「う〜んと、う〜んと!! よい〜しょ!!
あ、あともう少し……もう少しで入る……」
なんて可愛らしく腕を伸ばして頑張っているのを
微笑ましくいつまでも見ていたいのだが
流石にそれだと日が暮れてしまうので
「スマホ貸して? 俺が撮るよ」
「……身長の壁は高かったです」
とやや落ち込みながら俺にスマホを渡してきた。
「はいよ、じゃあ凛子もう少しこっちに寄って
も、もらえるか……?」
「は、はい……」
更に密着する俺ら。
「じ、じゃあ撮るぞ?」
「だ、大丈夫です」
と俺はスマホの画面を押した。
カシャというカメラの音が聞こえて
無事に撮れた事が確認された。
「さて、どうかな……」
「どうですかね……」
今撮れたばかりの写真を2人で覗き込む。
そこにはやや硬いが笑っている俺らがいた。
「ま、まぁ最初にしては上出来だろ」
「そうですね。中々撮れていると思います」
「あっ、写真さ俺のスマホに送ってもらえる?
初めてのツーショット俺も欲しい」
「分かりました」
と凛子が自分のスマホを操作して、俺のスマホにも
先程の写真が届いた。
この凛子の硬い笑顔に俺はニヤニヤが止まらなかった。
「あ、あの!! 結城先輩!!」
「うへへ〜ん?どうした?」
「ゆ、結城先輩のスマホ貸してもらえませんか!?」
「俺の? ほい」
と俺は自分のスマホを凛子に貸した。
「ち、ちょっと待っててくださいね!!
ーーやるぞ私……」
凛子は俺のスマホで何かをしている様だった。
そして約1分後ぐらいに……
「で、出来ました!!」
「何が?」
俺は凛子からスマホを受け取り、ホーム画面を見てみると
「これはさっきの写真だな……って、はぁ!?」
ホーム画面にはさっきのツーショットが設定されていた。
ーー凛子の顔が中心で。
「り、り、凛子!? これどうしたのさ!?」
「ちなみに私のスマホのホーム画面はこれです……」
凛子のスマホにも同じ様にさっきのツーショットが
設定されていたが、俺とは違う点があった。
「お、俺?」
そうなのである。
凛子のスマホでは俺の顔が中心になっていた。
「そ、そして2つを合わせるとこうなります……!!」
と俺と凛子のスマホを合わせるとさっきのツーショット
が再現された。
「じ、実はせ、先輩と旅行した時からやりたいって
思っていました……先輩は嫌でしたか?」
と真っ赤になりながら言う凛子。
「い、いや全然嫌じゃないぞ!! 
めちゃくちゃ嬉しい!! ありがとうな凛子!!」
「……ッ!? よ、喜んでいただけたようで幸いです。
これで先輩もいつでも私の写真でニヤニヤ出来ます!!
ちなみに私はいつもニヤニヤしてます!!」
「そうなの!? というか写真はいつの間に!?」
「先輩だって私の写真であんな事やこんな事
想像しますよね!?私は先輩の写真を見て
色々と想像して
ーーって何を言わせるんですか!?」
「理不尽過ぎる!?」
「先輩だって私の写真であんな事やこんな事を
想像してくださいよ!! お願いですから!!」
「それ普通彼氏に頼むことかな〜!?」
「さぁさぁしてください!!
ちなみに私は既にさっきからしてます!!」
「変態だこの子!?」

とさっきまでの甘い雰囲気はどこに行ったのやら
いつも通りの俺らになってしまった。
でも、それでもニヤニヤが止まらない俺がいた。

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コメント

  • 雪雨

    森くんが完全に国木田先輩を受け継いでるw

    2
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