部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

コンコン



今回から織田と与謝野の回です。



「パクパクもぐもぐパクパクもぐもぐ」
「はぁ……」
「うん!! やっぱり京都のご飯って美味しい!!
パクパクもぐもぐパクパクもぐもぐ」
「あぁ……そうだな……」
「もう〜吉晴はテンション低いね〜
なんか嫌な事あった?」
「いや……特にない……食べててくれ」
「はいはい〜」
と目の前の食事を食べる俺の彼女、桜。
(あぁ〜俺の財布の中身が既に半分以下……)
俺は心の中で頭を抱えていた。
流石観光地という事もあり、食べ物からお土産に至るまで
中々のお値段になる。
「吉晴、おかわりしてもいい?
断ってもおかわりするからいいけどね〜」
「もう勝手にしてくれ……」
それぞれ分かれての旅行が始まってから1時間も
しないうちに桜が沢山食べるため、もう財布の中身が
ヤバイ、マジでヤバイ。
「ん?どうしたの?」
「いや、別に……」
改めて俺の彼女を見てみる。
あんな華奢な身体のどこに沢山の食べ物が入るのか。
平塚や凛子さんに比べて身長は高い方だろうが
それを抜きにしても不思議だ。
「あっ、まさか私のこの身体から溢れ出す
可愛さに見惚れた?」
「違ぇよ、桜の食事の量に呆れていただけだ」
「ふふ、食べた分だけ胸やお尻に行くからね〜」
「……いらない情報ありがとう」
「ちなみに私は安産型だってさ」
「……桜、お前はもう少し恥じらいをーー」
「すみません〜おかわりくださいーー!!」
「ちょっ!?聞いてねぇ!!」
とりあえずこの店を出たらコンビニでお金を下すことが
確定したのであった。



「これが伏見稲荷か……」
「大きいね〜」
俺達は目的地である伏見稲荷神社の入り口にいた。
最初は気を使って桜が行きたい場所に行こうとしたのだが
桜が……
「吉晴が行きたい場所行こうよ。だって最初は先輩達と
行くはずだったんでしょ? なら目的地は吉晴が
行きたい場所に行こう」
と言われて俺が行きたかった伏見稲荷神社に行く事にした。
「この先には噂の千本鳥居が……これ行かないと……
私の心が行けと叫んでいる」
「お前は一体何者なんだ……」
たまに彼女のテンションについていけない俺だった。
ここは人気の観光地として有名だが、今日はたまたま
観光客が少ない日だった。
「ねぇ吉晴」
「なんだ?」
「鳥居が沢山あるって妙に厨二心をくすぐらない?」
「……まぁそれは認めるな」
「という事でコンコン」
「何故?」
いきなり桜が狐の鳴き声のモノマネをしてきた。
「お稲荷さんだからに決まっているでしょ?
コンコン」
「そうか……」
(狐……? 待てよ、という事は……)
と俺はとある事を考えてみた。
(桜に丈が短めの巫女装束着せて、追加で狐の耳を
つけさせよう……)
そんな桜を頭で妄想してみた。
"コンコン、いたずらしちゃうよ〜" ←桜
(良い!! 最高に可愛い!! 流石俺の彼女!!
マジヤベェ!! そんな狐ならいくらでもイタズラ
されても構わない……!!)
俺は心の中でガッツポーズをした。
「ど、どうしたの吉晴……?
なんか凄く幸せそうな顔をしているけど……」
「俺は今、幸せな夢の中にいるんだ。邪魔しないでくれ」
せめてもう少し、桜の狐巫女バージョンを見させてくれ。
「いやいや私達今、旅行中だよね!?
1人で夢の中に入らないでもらえるかな!?」
桜が俺を必死に揺さぶる。
あっ、あっちで桜が手を振っている……。
「ああ……目の前に楽園が見えてきた……」
「吉晴〜!? お願い〜!! 戻ってきて〜!?
もうこの旅行中は奢ってって言わないから〜!!」
「おぉ……俺はシャングリラに向かうのだ……」
「吉晴〜!! カムバッ〜ク!!
どうしよう吉晴が壊れたーー!!」

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