部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

寺より茶?

今回は国木田と七海視点です




「さてセンパイ、最初はどこに行きますか?」
「そうだね……近いから東寺ぐらいにいき」
「平等院ですね、分かりました!!
私も行きたいと思っていたんですよ〜!!
私達気が合いますね〜」
「……そこに行こうか」
どうやら今回の旅行では僕に決定権等は無いようだ。
まぁ平等院には僕も行こうと
思っていたから良しとしよう。
「センパイ〜優しい〜」
「ほとんど君が言わせ」
「ーー何言いましたかセンパイ?」
「いや、何でも無いよ」
これ以上七海を怒らせると面倒な事になるだろうと
思い、僕は抵抗を諦めた。
「じゃあ行こっ!!」
と言うと七海は僕の腕に抱きついてきた。
「七海歩きにくいんだけど……」
「センパイ暖かい〜今日は寒いですからね
これぐらいはいいよね……?」
そう言いながら上目遣いで僕を見てくる七海。
相変わらず僕は七海の上目遣いに弱い。
なので……
「まぁ今日は寒いからいいとしようか。
もう少し僕の方に来るかい?」
「うん!!」
七海は更に僕の腕に強くしがみついた。
「えへへ〜センパイ〜暖かい〜」
と言いながらとろけた笑顔をする七海。
いつもならだらしないとか言うつもりなのだが
今日はせっかくの旅行だ。
それぐらいは目をつぶろう。
(まぁ可愛いからってのもあるんだけどね……)
相変わらず七海に甘い僕であった。

京都駅から電車に乗る事、約30分。
僕らは宇治の駅に着いた。
「着きました〜宇治!!」
「そうだね、さて平等院まで5分ぐらいで……」
「センパイ!! 抹茶飲もうよ〜!!」
「あれ? 平等院は?」
確か君は自分から平等院見たいって言っていたよね?
「お寺は逃げないでしょ? でもお茶はその場しか
飲めないんですよ!!」
わ〜お、すごい理論。
「それを言うならお茶の店も逃げない……」
「細かいことはいいんですよ!!
さぁ行きますよ〜!!」
「はいはい分かりましたよ」
(七海にとっては寺より茶なんだろうね……)
けれども旅行の楽しみ方は人それぞれだ。
そう思いながら僕達は近くの茶屋に向かうのであった。


比較的に早めの時間に入ったのが功を奏したのか
店内にあまり人はいなかった。
「ご注文はどうされますか?」
僕達の席に注文を取りに来たのはおばさんであった。
「あんみつと抹茶のセットを1つください」
「じゃあ僕も彼女と同じのをください」
「かしこまりました。
ところで……」
とそのおばさんの店員さんは僕らを見て
「お2人は恋人なのでしょうか?」
「「はい?」」
いきなり何を言いだすんだろうか?
「いや、とても随分仲がよろしい様なので」
「えへへ〜そう見えますか〜そうですか〜
ーーでも私達は少し違うんですよ〜」
「と言いますと?」
「私達は夫婦なんで」
「センパイチョップ!!」
「あいたっ」
嘘の情報をバラそうとしている彼女の頭に向けて
チョップをかました。
「七海……? 君は何を言っているんだい?」
「冗談ですよ冗談〜
ーーって痛い痛い!?」
僕はチョップをした手でそのまま七海の頭を掴み
アイアンクローをしていた。
「七海、君は懲りないのかな……?」
「それを言うならセンパイだって昨日
ーーだから痛いですって!? 暴力反対〜!!」
「本当に仲がよろしいんですね」
「すいません僕の彼女が……」
「もうそうですセンパイ〜彼女の私を」
「……もう一回アイアンクローやろうか?」
と僕は右手を構えた。
「すいませんでした。なので止めてくれると嬉しいです」
「フフッ、仲がお熱い様で」
そんな僕らを店員のおばさんは暖かい目で見ていた。

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コメント

  • A・L・I・C・E

    おい、あんみつ頼むんじゃねぇよ。













    (この作品が)余計に甘くなるだろ。

    3
  • ペンギン

    とても、いいですね!ありがとうございます!
    これからも、よろしくお願いします!

    3
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