看病をしましょう

たまにはこういう甘さもいいですよね？

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「ただいま〜！！」
私は元気よくセンパイが住んでいる部屋に入ってきた。
私達はお互いの部屋を行ったりきたりしている。
……まぁ私がセンパイの部屋にいる事が大半だが。
「センパイ〜ご飯ちょうだ……
ーーってセンパイ！？ どうしたんですか！？」
「い、いや……七海」
私の愛しの彼氏であるセンパイは床に倒れていた。
近寄ってセンパイの身体に触れてみると
いつもより熱かった。
「センパイ、風邪ですか？」
「あぁ……そうみたい……」
「とりあえずベッドいきましょう
肩貸しますか？」
「……ごめん、頼める？」
と私はセンパイに肩を貸しながら、ベッドまで案内した。


「３８度……完全に風邪ですね」
「だろうな……」
センパイはとても辛そうだった。
「ちなみに薬はどこにありますか？」
「あの……棚の上……」
とセンパイが指をさした場所に薬箱が見えた。
「ちょっと待っててくださいね、持ってきます」
私は薬箱と薬を飲むための水をセンパイの元に持ってきた。
「センパイ、身体起こせますか？」
「手伝って……」
「は〜い」
私はセンパイの後ろに手をまわして上体を起こした。
（なんかいつもと立場逆だな〜）
大体いつも私がセンパイにお世話されているからだ。
朝起こされて、夜寝るまで完全にお世話されている。
私は生活の大半をセンパイに依存している。
「七海、ありがとうね……」
「いえいえいつもセンパイにはお世話になって
いるからお返しですよ〜！！」
「さ、さて、七海のご飯作らないと……」
とベッド立ち上がろうとするセンパイ。
「いやいやセンパイ何しているんですか！？
今風邪なんですから寝ましょうよ！！」
「そうか……じゃあ」
センパイは近くのパソコンを手繰り寄せた。
「今度は何をするつもりですか？」
「部活の会計処理しないと……そろそろ
決算の下準備しないと……」
「ダメに決まってるじゃないですか！？」
私はセンパイからパソコンを取り上げた。
というかセンパイってこんなワーカホリックだっけ？
「じゃあ……掃除かな……」
「もう寝ろって！？ さぁさぁ寝てください！！」
私はセンパイを無理矢理ベッドに押し込んだ。
「七海……何をするの？」
とセンパイは私を上目遣いで見てきた。
（うっ……可愛い……）
風邪という事もあり、目が若干うるっとしているのと
いつものキリッとしているギャップが激しい。
「とりあえずセンパイは寝てください。
会計の仕事は明日やりましょうよ」
「……じゃあ料理しなきゃ」
「センパイはバカなんですか！？」
と、ここで私はとある事に気付いた。
（あっ、まさかセンパイ……熱で思考能力落ちてる？）
そう考えれば若干ワーカホリック気味になりがちなのも
理解できるような気がする。
「とりあえず家事しなきゃ……」
「いやいや明日しましょう」
「会計処理……」
「森先輩に投げましょう」
「七海のお世話……」
「今日は大丈夫です」
「家事を……」
（ダメだ！！ 完全にセンパイはダウンしてる！！）
だってさっきから会話がループしてる……



そのあと何回会話がループしたかは覚えてないけど
センパイをベッドに押し込んだ。
「すぅ……」
そしてセンパイは今やっと寝てくれた。
ーー私の手を握ったまんま。
中々強く握られているため解けなかった。
「まぁいいや、今日はこのまま寝よ〜」
と私はとある事に気付いた。
「そういえばこの状況って、４月に私が看病された時と
逆のシチュエーションじゃん……」
あの時の出来事がきっかけで私はこのセンパイに
惹かれる様になった。
そしてあの時は私がワガママを言って
センパイの手を握って寝た。
「センパイも今の私と同じ気持ちだったのかな……」
あの時のセンパイの優しさがあったからこそ
今の私達があると思う。
「ねぇセンパイ」
私は今ぐっすりと寝ている大好きな彼氏を
見ながら呟いた。
「センパイはいつも頑張っているのは私は知ってるよ？
自分は倒れそうになりながらも頑張ってるよね」
私はセンパイに近づいた。
「センパイはいつもセンパイの優しさはただ甘いだけ
だって言うけど……」
と言いながらセンパイの顔に手を当てて
「でもそれは色んな人を助けてきたんだよ？
私もその助けられた内の１人なんだ」
その頬を撫でた。
「だからさ……改めて言うね ？
国木田拓海さん」
私はセンパイを撫でながら
「私は貴方が大好きです。
これからもよろしくね、センパイ」
そして私は大好きな彼氏の顔に自分の顔を近づけて
優しくキスをした。
「えへへ、センパイ。大好き」