部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

お世話をします!!




今回はかなり甘めです。





「おかえりなさいませ、センパイ!!」
「はい?」
「じゃあ……
おかえりなさいませご主人様!!」
玄関でエプロンをしている七海に迎えられた。
「いやいや何をしているんだい七海……?」
休日の幹部の話し合いから帰ってきたら
いきなりそのように言われて驚いていた。
「たまにはセンパイのお世話をしようと
思いまして、お世話といったらメイドだと思い
このセリフを言いました〜!!
どう? 似合ってる? 可愛い? キュンときた?」
とグイグイくる七海。
「うん、可愛いよ」
(本音を言うならメイド服を着て欲しかった……
まぁ普段の姿も可愛いから良しとしよう)
「えへへ〜良かった〜
なので今日はセンパイのお世話をします!!
センパイは何もしなくてもいいですからね!!」
「……心配要素しか無い」
「酷っ!? こんな可愛い彼女が自らお世話するって
言い始めたんですよ!!」
「……だってさ、日頃の行いを見ている身としては
心配するよ、普通……」
そうだ。
七海は致命的に家事が出来ない。
掃除や洗濯は初期に比べたら、それなりに上手くなったが
料理はダメ、本当にダメ。
「だ、大丈夫です!! センパイの彼女として
凄いところ見せてあげますよ!!」
「じゃあ、頼むよ……?」
「えへへ、任せて!!」
と笑顔で元気な返事をした。
七海はやる気を出すと、空回りするタイプの人間だ。
(嫌な予感しかしないけど、試しに七海の自由に
やらせてみるか……)
僕のこの時の悪い予感はすぐに的中するのだった。

「まずは掃除からやります!!」
と言い始めて、掃除をし始めたのだが……
「センパイ〜の〜お世話〜お世話〜」
と変な歌を歌いながら、部屋を掃除していた。
(ふぅ……今のところは大丈夫みたいだね)
変な歌こそ歌っているものも、今のところは何も
壊したり、倒していない。
……というか掃除で物を壊すってどうなんだ?
「うわっ!!」
ガッシャン!!
(って思っている側からこれかよ!!)
「七海!? 大丈夫!?」
「私は大丈夫です……
ってあーー!! 本棚が……」
そこには本棚が倒れ、文庫本の山が出来ていた。
(あっ、この展開、前にもあった気がする……)
とりあえず僕は七海の元に行った。
「七海は怪我無い?」
「う、うん大丈夫……」
「とりあえず七海に怪我が無ければいいや。
じゃあ一緒に片付けようか?」
「うん……」
とやや落ち込んだ声で返事をする七海だった。


「つ、次こそは!!」
「今度は何をするんだい?」
「洗濯します!!」
「へ、へぇ……」
(ヤバイ!! また心配要素しか無いぞ!?
とりあえずまた見張るか……)
僕はまた七海を心配で見張ることにした。
「洗濯なら失敗しないはず!!」
といい、洗濯機に服を入れていく。
「あとは……洗剤を入れるだけ……!!」
「ふぅ……」
とりあえず順調に進んでいる事を確認して
胸を撫で下ろした。
「洗剤はこれぐらいだよね!!」
とやや多めに入れているがまだ大丈夫みたい。
「スイッチを入れて終わりだ!!」
と元気よくスイッチを押す七海。
「あっ、しまった!!」
「えっ、何ですか? まさか私が上手くいった事を
疑問に思っているんですか?
嫌だな〜センパイ〜」
「七海、きちんとポケットの中確認した?」
「あっ、そう言えば……」
今洗濯機の中には僕と七海の服が入っている。
僕がやるときには必ずポケットの中に何も入ってないのを
確認してから洗濯している。
……そして七海はよくポケットにレシートを入れたまま
洗濯機に入れてしまう。
「あ……やっぱりね」
試しに電源を切り、中を確かめてみると
がっつりレシートが入っていた。
「……ごめんなさいセンパイ」
とまたまた落ち込んでしまう七海。
「いやいや、良いって。とりあえずもう一回
一緒に確認しようか?」
「うん……」



それからというものも色々な家事に挑戦するものも
失敗が続いた結果……
「今の私はダメダメナナミンですね……
センパイの彼女でごめんなさい……」
と部屋の隅っこで体育座りしている七海。
「い、いやでも上手くなっているよ?」
そうだ。
出会った頃に比べて出来る様になっている。
……ただ初期が酷すぎただけだ。
「……いいですよフォローは。
今の私には惨めに隅っこで体育座りがお似合いです」
と更に落ち込む七海。
「というか私にできてセンパイに出来ない事が
あるわけ無いじゃないですか……
ハァ……ダメダメな私ですね……ハハハ」
乾いた笑いをする七海。
「……ねぇ七海」
「何ですか……ダメダメな私に何か用事でも?」
「ちょっとこっちに来てもらえる?」
「説教ですか……分かりました。喜んで受けますよ」
とノロノロと僕の元に近づいてくる七海。
「よし、とりゃっ!!」
「きゃっ!?」
僕は手が届く範囲に七海が来た瞬間、一気に手を伸ばし
僕があぐらをかいている足の上に乗せた。
そして一気に抱きしめた。
「ち、ち、ちょっとセンパイ!?」
七海はとても慌てていた。
「いや、たまには七海成分を補給しようかなってさ」
「で、でもいきなり過ぎませんか!?」
「いつもいきなり抱きついてくる七海が言えるのか?」
「……そういえばそうでしたね」
「だからぎゅーと抱きしめるよ
ぎゅー!!」
と更に強く抱きしめる僕。
「せ、センパイ……苦しいよ……」
どうやら強く抱きしめ過ぎたみたいだ。
「おっとと……ごめんごめん。
でもね、七海」
「何ですか?」
「僕はいつも君から元気をもらっているんだ」
「えっ……」
「君がいてくれるだけで僕は頑張れるんだ。
ーー家事が出来ないなんて関係無いよ。
ただ、側にいてくれれば僕は充分なんだ」
どんなに辛くても家に帰ると
七海が笑顔で待っててくれる。
それがどんなに僕にとって素晴らしい事なのか
僕の彼女は分かって無いようだ。
「……」
「まぁ、もう少し家事が上手くなって欲しいというのは
本心なんだけ」
「センパイーー!!」
「ち、ちょっと!?」
と今度は七海が僕にいきなり抱きついてきた。
「センパイ〜!! ありがとう〜!!
私の彼氏でいてくれて本当にありがとう〜!!」
もはや半泣きの状態の七海。
「僕こそ七海が僕の彼女でいてくれてありがとうね」
僕は七海を優しく抱きしめた。
「うぇぇ〜ん!! センパイ〜大好き〜!!
愛してる〜!!」
「はいはい、僕も七海が大好きだよ」

(まぁ片付けは増えたけど……
こんな休日もいいよね?)
そう思いながら過ごした休日だった。

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コメント

  • Karavisu

    ダメダメななみんはやばい笑笑

    1
  • ノベルバユーザー239382

    だんだん家事が上手くなって先輩と2人並んで欲しいのが願望w

    1
  • あいす/Aisu

    いつも通りでカレーが甘いw

    3
  • A・L・I・C・E

    砂糖
    部活の後輩と付き合ってみた
    ガムシロップ
    カカオの少ないチョコ
    共通点はなんでしょう?

    そうです!        甘いぃ…

    4
  • Flugel

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    もっとよろしくぅ!

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