もうやだ、おうち帰る

今回は織田と与謝野のカップルです。

「すみません〜！！焼きそば１つ〜」
「分かりました〜！！」
「……なぁ桜？」
「モグモグ、えっ、どうしたの吉晴？
そんな浮かない顔してさ？」
「まだ食べるのか？」
「何言っているの〜まだまだ食べるよ〜！！」
「はぁ……重い」
俺は桜が買った食べ物を持たされていた。
沢山買って全部食べれるなら構わないが……
いや桜は全部食べれそうだ。
そんな俺の姿を見て、やや不憫に思ったのか
「分かったよ〜後で吉晴の行きたい場所について行って
あげるから機嫌直してよ」
と言ってきた。
俺は桜のその発言でとある事を思いついた。
「今、ついて行くって言ったよな？」
「う、うん、言ったけど……」
「その発言、撤回無しな？」
「吉晴……？何考えているの？」
「まぁまぁそれは行ってからのお楽しみって」
「なんかすごく嫌な予感しかしないんだけど……」
明らかに疑いの目をかけてくる桜を尻目に
俺は先程からの案を実行に移すのであった。

「ねぇ……本当に行かなきゃダメ？」
桜は明らかに腰が引けていた。
目の前には"お化け屋敷"という看板があった。
俺らはお化け屋敷のブースに来ていた。
噂によると今年のお化け屋敷のブースで一番怖いらしい。
「あれ桜ビビっているのか？」
「い、いやビビってないし〜吉晴が泣かないか心配で
聞いてあげているだけだし……」
もう既に声が震えている桜。
「というわりにはさっきから震えているのが
掴まれている腕から伝わってくるのですが
どうなんですかね、与謝野桜さん？」
そうなのである。
さっきから腕をかなりの力で掴んでおり
そこから桜の震えが伝わってくる。
「う、うるさい吉晴のくせに生意気！！
いいよ！！行ってあげるよ！！この先輩である私の
カッコいいところ見せてあげるよ！！」
「先輩って桜の方が誕生日、数日早いだけだよな！？」
「ほら行くよ後輩！！」
と自信満々に言うわりには俺の腕をしっかりとホールドし
明らかに俺を先に行かせようとする桜。
「はいはい、分かりましたよ先輩……」

２０分後……
「もうやだ、おうち帰る」
「まぁまぁ桜、機嫌直せって」
と俺がなだめるものも
「吉晴のバカ……アホ……変態」
拗ねてジト目で見てくる桜。
「にしてもあのお化け屋敷リアルだったな〜
もう一度行くか？」
「桜、おうち帰る！！」
「まぁ妥当だよな」
お化け屋敷の中での桜は

「きゃあーー！？」
「もう嫌だー！！」
「無理無理、本当に無理だってーー！！」
が会話の８割を占めていた。
というか途中から桜は言葉を出せていない。
何かが起きる度に、俺に抱きついてくる。
……まぁその度に桜の２つの膨らみが押し付けれてきて
俺的には得していたのだが。
（うん、あれはヤバかった。もう少しで理性が
飛びかけたし……）
「今日、１人で寝れないよ……」
「えぇ……そんなにか？」
俺が呆れながら言うと、桜は俺の方を向き
「吉晴！！責任とって！！」
と言ってきた。
「はぁっ！？」
（な、な、な、な、何のせ、せ、責任だ！？
俺なんかやばいことしたか！？）
「今日、私が寝れなくなったのは吉晴のせい！！
だから一緒に寝て！！」
（なんだそんな事か……）
と心の中でそっと胸を撫で下ろしたものも
「いやいや意味が分からん！？どうなったらそうなる？」
俺は桜にツッコミを入れていた。
「私、怖い。吉晴、私の彼氏。証明終了」
世界で一番理不尽な証明が完成した。
「するな！？全然根拠無いからな！？」
俺はその証明の名を"桜の最終定理"とした。
理由は簡単だ。
……誰も解けないからだ。
「嫌だ〜一緒に寝てよ〜私怖いのやだ〜」
「はいはい、幼くならない」
「一緒に寝て……？お願い……？」
「可愛く言っても無駄」
「うわ〜ん吉晴のイジワル〜！！
もぅ、今日怖くて寝れないよ……」
（はぁ、しょうがないよな……）
とやや桜が可愛そうになってきたので
「……今日、親いるか？」
「え、いないから、言っているんじゃん〜！！」
「明日、用事特に無いよな？」
「無いよ〜うわ〜ん〜どうしよう〜平塚よぼ」
「俺が桜の家に行けば全部解決するだろ？」
「え……本当に来てくれるの……？」
桜が驚いた顔をしてきた。
「自分で言ってきたんだろ……？とりあえず片付けが
終わったら桜の家に行く、でいいよな？」
「う、うん……あ、あれ、さっきの質問って……？」
どうやら俺が先程した質問の意味を察したらしい
一気に顔が赤くなってきた。
「ま、まぁそういう事だ、嫌なら構わないが……」
「う、ううん、いいよ……吉晴ならいくらでも……」
「……」
「……」
とお互い気まずくなり顔をそらした。
「よ、よし！！デート続けるか！！」
「そ、そうだね！！」

次回は森と凛子の回です。

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