部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

私がどれだけ心配したか分かってますか⁉︎

とりあえずこの章はおしまいです。



とりあえず僕らは常村を
近くにいた警備員さんに引き渡した。
僕らの元には常村の弱点のデータが沢山あるので
常村を黙らせる事は可能だろう。
・・・いや〜長かったな〜。
「さて森、僕らは帰ろうか」
僕は森の方を向き帰ろうとした。
だが・・・
「センパイ」
「ん?どうしたの七海?」
と僕が聞くと七海は僕の方に近づき・・・
「フンッ ︎」
僕の脇腹に右フックを決めてきた。
「ぐはっ ︎」
「国木田先輩 ︎」
「ちょっと七海 ︎」
後輩達2人の声が聞こえる。
「ち、ちょっと七海さん ︎
いきなりどうしたの ︎」
「フンッ ︎フンッ ︎フンッ ︎」
それでも七海は僕を殴るのをやめない。
・・・そしてさっきから殴ってくる箇所が
常村にナイフを刺された場所なので
身体に地味に響く。
「ストップ ︎ストップ ︎
そろそろ危ないって ︎」
・・・主に僕の脇腹が。
「センパイのバカ ︎」
「え、七海・・・?」
「私がどれだけ心配したのか
分かってますか ︎」
七海をよく見ると泣いていた。
そして殴ってくる力が
徐々に弱くなってきた。
「刺された瞬間本当に
センパイが死んだって
思ったんですからね ︎」
「あれに関してはごめん。
常村には一番聞きそうだったからね」
そうである。
一度、僕が刺される事によって
映像にもしっかり残るし
僕が死んだとなればあいつも
油断するだろうと
思っていて、今回の行動をした。
「それでもあんな事
もう二度としないでください ︎
もう私はセンパイが
傷つくの見たくないんですよ ︎」
「七海・・・」
「何で私に一言相談してくれなかったんですか ︎
私はそこまで頼りないですか ︎」
「それは違う ︎」
「じゃあ何でですか ︎
何で私に相談してくれなかったんですか ︎
どうして?どうしてですか ︎」
「・・・」
僕は言い返せなかった。
七海の言葉からは彼女の
真っ直ぐな思いが伝わってくる。
確かに常村をどうやったら
追い詰められるかを考えていたが
僕が刺された時の七海の気持ちを
あまり考えていなかった。
「うぅぅぅ・・・
私はセンパイの彼女なのに・・・」
・・・僕は何をしていたんだ。
何で大好きな彼女の事を
考えてやれなかった?
僕は彼女との生活を守る為に
今回行動した。
なのに今、目の前の守るべき生活の
象徴は泣いている。
「七海、本当にごめん。心配させちゃって。
次からはこんな事は絶対しないよ」
「嘘だ ︎センパイは
絶対また同じ事をしますよ ︎
だって人が困っていたら
自分の事を一切考えないで
全力で助けようとするじゃないですか ︎
それで自分がいくら傷ついても
知らないフリして ︎
センパイは"それでいい"って
言うかもしれませんが
それで周りの人達がどれだけ心配しているか
センパイは分かってますか ︎」

・・・そうである。
僕自身もある程度は理解していた。
ーー僕だけが傷つくならそれで構わないと。
周りの人が泣くのは見ていられなかった。
なら、僕が傷つこう。
それで周りの人が泣かなくなるなら。
でも、それで心配する人もいる。
僕のそういう行動は
僕を心配してくれる人の信頼を
裏切る事だという事もだ。

「それに関しては本当にごめんなさい」
「本当にそう思うのなら
次からはそんな事はしないって
約束してください ︎私を心配させないって ︎」
「分かった。僕の命に誓ってその約束は守るよ」
と言いながら僕は七海を僕の方に抱き寄せた。
「センパイ・・・?」
「こんな事不謹慎だと思うけど、言わせて。
ーー僕を心配してくれてありがとう」
「センパイ?」
「七海がいるから僕はいつも
頑張っていられるんだ。
だから頼りないって思わないで欲しいかな」
これは僕の紛れも無い本心だった。
彼女が笑顔でいつもいてくれるから
僕は頑張る事が出来た。
そのはずだったのだが・・・
「・・・センパイの女たらし」
どうやら七海には不評だった。
「待て待て、僕はただ正直な気持ちを
言っただけだよ」
「そんな風に言えば私が
嬉しいと思っていますよね?
ーーでもそれを言われて
嬉しいって思ってしまいます」
七海の表情を見ると
呆れながらも笑っていた。
「嬉しいんかい」
僕がツッコむと
「それは好きな彼氏から
言われたら嬉しいですよ」
と返された。
「そうかい、ならいいや」
「ーーあの国木田先輩達
俺らいるんですけど・・・」
「はっ ︎」
と声のした方を見ると呆れている森と
顔を真っ赤にしている凛子さんがいた。
あれ?まさか、僕ら2人の前で喧嘩してた?
「ってやっちまった〜 ︎」
僕は慌てて七海から離れようとするが・・・
「ダメです ︎」
七海は離してくれなかった。
それどころか更に強く抱きしめてきた。
「いやいや何を言ってるのかな七海さん ︎
この状況マズイよね ︎なんかとっても ︎」
「センパイは私のものなんです ︎
誰にも譲れません ︎」
「チッ、平塚に先輩取られたか・・・」
「森は何で悔しそうなのかな ︎
僕にそっちの趣味は無いからね ︎」
「まぁ俺にもそういう趣味はありませんが」
「じゃあやるなよ ︎」
「うわ〜んセンパイが森先輩と浮気してる〜 ︎」
「七海まで ︎
あぁ〜 ︎さっきまでのシリアスどうしたのさ ︎」

なんかとても疲れた1日だった。
ーー色々な意味で。



次回は国木田視点からの後日談です。

コメント

  • ペンギン

    とりあえず、良かったです!
    最初はどうなることやらと...

    3
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