部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

なんでも使うべき・・・?

とりあえずセンパイに会った話そうと
したのだが・・・
「センパイと話せな〜い‼︎」
そうなのである。
私が話そうと近づく度にセンパイが離れるか
新たな仕事が入ったりして
中々センパイと2人きりになれない。
・・・さりげなくセンパイが
私を見た瞬間に離れていくのが
心に刺さる。
「もう私のライフゼロ・・・」
「ま、まぁ平塚?
まだ喧嘩したばかりなんだからさ
気まずいだけだよ・・・?」
同期はそんな私を見て励ましてくれているが
それどころじゃない。
本当にマズイ。
いや、ヤバイ。
このままだと別れてしまう。
「ーー助けてやろうか?」
「夏目先輩」
声をかけてきたのはセンパイと
犬猿の仲の夏目先輩だった。
「・・・夏目先輩、平塚に
何の用事ですか?」
と夏目先輩を不審がっているのだろう
私と夏目先輩の間に立った。
「おいおい、ただ後輩の悩みを
聞こうとしているだけだろ?」
「・・・果たして本当ですかね?
それで話ってなんですか?」
「俺はお前に話があるんじゃなくて
平塚に用事があるんだ」
「平塚はややバカなので私が代わりに
聞きます」
・・・ねぇ今、バカって言ったよね?
絶対言ったよね?
「分かったよ。
平塚と国木田のバカは喧嘩してるんだろ?」
「・・・ムッ」
なんだろ他人にセンパイがバカって
言われるのは気に触るな・・・
「だから俺が力を貸してやるよ。
2人を仲直りさせればいいんだろう?」
「国木田先輩と犬猿の仲の夏目先輩に
できますかね?私は無理だと思いますが」
「・・・生意気言うなよ下級生」
とやや口調が厳しくなったが
私の同期はそれに臆することなく
「そちらこそ下心丸見えですよ先輩?」
「まぁまぁ夏目先輩も同期も1度
落ち着いてくださいよ〜〜」
何故か私が仲裁に入る事になった。
「平塚・・・あなたね〜」
同期の言いたい事はわかるよ?
すっごく分かるよ?
でも、この状況はマズイよ・・・。
「で、どうするんだ平塚?」
「私は・・・」
正直この先輩に貸しを作るのは
あまり好ましくない。
だが今のセンパイとの関係を修復するためには
なんでも使わないといけないのかも・・・
と私が悩んでいると
「第一あんなやつほっとけば?」
と夏目先輩が言ってきた。
「えっ・・・」
私にとっては驚愕の一言だった。
センパイをほっとく・・・?
「だってあいつが自分で勝手に自爆しただけだろ?
あいつが怒るなんてあいつが悪い」
「いや・・・でも・・・」
「平塚もあんな奴にこだわる必要ないだろ?」
「・・・夏目先輩それぐらいにしてくださいよ」
と隣の同期が怒る一歩手前だった。
「平塚は可愛いんだから、あんな奴にこだわる必要ない。
だからお前から国木田に別れを告げれば?」
・・・なんだろ、夏目先輩に可愛いって言われても
全然嬉しくない。やっぱりセンパイに言われるから
嬉しいんだと思う。
とりあえず夏目先輩の一人演説が終わるまで待とう・・・。

と思っていたのだけれども
「だから国木田は・・・」
かれこれセンパイのヘイトを聞かされて
そろそろ我慢の限界の私。
・・・ねぇそろそろ怒っていいですかね?
隣を見ると同期が逆にオロオロしていた。
よほど表情に出ているのだろうか?
それとも彼女がそういうのを察しやすいのだろうか?
どっちなのかは分からないけど・・・
ただ我慢の限界が近いのは確かだ。
「平塚、あいつよりも俺のほうがお前を
幸せにできると思うぜ?」
・・・いやいやそれはないですよ。
「第一、一度も勝ってない奴が
部活にいるのがおかしいだろう」
「・・・先輩」
「何が補佐だよ。笑わせるなよ。
あいつがいなくても・・・」
パチーン!
気が付いたら私は夏目先輩の頬をビンタしていた。
「「えっ・・・」」
「いい加減にしてください!
これ以上私のセンパイを馬鹿にしないでください!
あの人がどんな気持ちで毎回補佐とかをしているか
先輩は考えたことありますか!?」
・・・あのセンパイはいつも誰かの為に動いている。
あまり自分の利益にならなくても他人の為になら
動いてしまう。
「そんなん分かるわけないだ・・・」
「分からないなら悪口言わないで!
私は私の好きなセンパイが悪く言われているのが
とっても嫌なんです!?
そんなこと言っている人とは死んでも
付き合いたくないです!」
あのセンパイの隣じゃないと私は幸せになれない。
そもそもあの人以外が私の隣にいるイメージがわかない。
「あんな奴のどこがいいんだか・・・」
「夏目先輩よりはかっこいいですよ。
私の彼氏センパイは」
「平塚
可愛いからって調子に乗るなよ」
「---どうした七海に夏目。
声が大きい。うるさい」
「センパイ!」
と後ろから私の愛しのセンパイが来た。
・・・さすが私のヒーロー!
かっこいい~!
「おい、夏目」
「なんだ?」
「人の彼女に何手を出そうとしているんだ?」
と私と夏目先輩との間に割り込むセンパイ。
「ふん・・・調子にのるなよ」
「そちらこそ・・・次はないよ」
というと夏目先輩は去っていった。

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