部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

謝ろう

「あの〜七海?」
「なんですか?同期の女子と
逢い引きしていたセンパイ?」
「してないわ⁉︎」
「いや、してましたよね?
樋口先輩を押し倒して」
「あれはアクシデントなんだって・・・」
「ふん」
とそっぽを向く我が彼女、七海。
見て分かる通り僕は今先ほどの
アクシデントを七海に説明しているのだが
かなりご機嫌ナナメのためか
話を聞いてくれない。
・・・さて、どうしたものか?
ちなみに樋口さんは遠くから僕らを見ている。
いつもなら茶化してくるが
今回は責任を感じているのか
一切茶化してこない。
本音を言うと茶化さないなら
弁明を手伝って欲しいのだが・・・
「樋口先輩の方ばっかり見ていますね?
ねぇセンパイ?」
「いやいや⁉︎見てないよ⁉︎」
しまった・・・樋口さんを見ているのを
気づかれた。
「ほぉ〜2人は目線で会話ですか・・・
羨ましいですねぇ〜」
・・・こりゃ若干面倒な事になってきたぞ。
このモードになった七海はなだめるのに
かなりの労力を費やす。
「センパイ、今あ〜あ面倒なモードに
入ったぞ、なんて思いましたね?」
「君って超能力者かい⁉︎
・・・ってしまった⁉︎」
「へぇ〜思っていたんですね〜
ほぉ〜流石センパイはすごいですねぇ〜。
モテるセンパイは違いますね〜」
・・・なんだろ、とっても面倒。
我が彼女は嫉妬深いということは前から
知っている。
まぁそれも可愛いのだが、今日のは
ただ面倒。
とりあえず僕が謝れば済むだろう・・・。

10分後
「センパイは浮気するぐらい偉くなりましたね〜
いや〜尊敬しますわ〜」
「あ、はい、本当にすみません・・・」
まだ説教というか愚痴が続いていた。
あの後もいくら僕が謝っても話は
終わらなかった。
「謝れば済むと思ってますか?
誠意を見せてくださいよ。誠意を」
・・・なんだろう、これだとどっかの
モンスタークレイマーだよね?
「分かった、次からは七海以外の女子とは
適切距離を取るようにします・・・」
「果たしてセンパイにできますかね~?」
「まぁ善処します・・・」
「善処って結局はやらないことと
あまり変わりませんよね~?」
やべぇイライラする。
・・・そろそろ僕怒りそう。
この子、無意識にやっているな。
「分かった。やるよ」
「本当ですかね?女子にモテモテのセンパイに
そんな距離取れますかね~」
・・・我慢の限界近い。
頑張れ僕。まだ耐えろ・・・。
「とりあえず話終わりにしない?
お互いこんな話いやでしょ?}
・・・主に僕だが。
「いや、センパイにはここできつく
言っておかないとダメなんですよ~
だってセンパイ自覚な・・・」
「もう、この話終わりでいいか?」
七海の話が終わる前に僕から話を
切り上げることにした。
・・・いつもより声のトーンを下げて。
「え、センパイ・・・?」
七海が驚いている。これはそうだろう。
だって僕は今までほとんど怒ったことがないからだ。
「とりあえず七海の要件を聞けばいいんだな?」
「は、はい・・・」
「なら、この話は終わりでいいな?」
この場にいると僕が本気で怒りかねないので
その場を去ろうとする。
「あ、あの、センパイ・・・」
と七海がおそるおそるといった感じで尋ねてきた。
「何だ?」
とりあえず僕は今すぐにでも話を切り上げたかったので
対応がぶっきらぼうになってしまった。
「い、いえすみません」
「じゃあ僕は自分の部屋に戻るから。
七海も自分の部屋に戻れ」
「・・・はい」
と七海がかなり落ち込んだ様子では部屋に戻っていった。
その背中を見て僕はやり過ぎたと思った。
「何やっているんだ僕は・・・」
ここは年上の僕が変に逆らわずに
怒らなければすんだろ・・・
「らしくないな・・・」
1人で自己嫌悪に陥る僕であった。

そんな僕と七海の姿を遠くから見ている
人影があった。

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