朝の顔と夜の顔をもつ男

ノベルバユーザー109731

第2章~朝の顔と夜の顔~

眩しい朝日が部屋に差し込む、朝だとわかっていても布団からは出たくはない。

「翔悟~いい加減に起きなさい!じゃないと出勤遅れるわよ?」

・・・母さんか、朝に弱い俺はいつも母さんにたたき起こされている。
ちゃんと目覚まし時計かけているのに・・・はぁ、いい歳をした大人がまだ母親に起こされているって・・・・まぁ実家暮らしだからな、仕方ないさ。

起きてまだ頭もそんなに回転してないのでぼけーっとしながらも支度を済ませリビングへと降りて行く。


「おはよー」俺は一声かけてから用意されていた朝食を食べ、顔を洗い
「じゃ、いってきます」といって学校に向かうのであった。


学校へ着くと俺は自身のカウンセリング室へと入り書類やらなんやらを片付ける。
書類の整理などが終わると暇で、暇で仕方がない。
「・・・・(眠い)」
あー寝足りない・・・本当に眠い・・・仕事なのだからしっかりせねばとは思うのだが・・・うっ、やはり睡魔には流石の俺も勝てない。
「(缶コーヒーでも買ってくるか)」
そう思い俺は鍵をかけ“すぐ戻る”というところにマグネットを置き部屋を後にした。
俺が勤務しているのは私立の共学学校、私立なので設備もしっかりしている。
自販機で缶コーヒーを買おうとしたが運悪く売り切れの文字が・・・。
「(・・・・・売り切れか・・・)」
はぁ、売り切れともなると別の階へと足を運ぶことになる。
「(はぁ、仕方がない2階に行くか・・・)」
2階へ行くとお目当てのものがあったので無事購入、目を覚ますにはブラックコーヒーが一番いい・・・とはいったものの俺はブラックが苦手でいつも微糖を選んでいる。
「(さて、目も覚めたし戻るか・・・)」
コーヒーのおかげで目が覚め、カウンセリング室に戻り仕事再開。
「(本当、この仕事、生徒が来ないと暇で仕方ない、書類もまとめ終わったし、報告書も書き終わったし・・・後は、生徒が来るのをただただ待つだけか・・・)」

そう考えていたら、コンコンとドアを叩く音がしたので“どうぞ”と一声かけ、中へと入れた。入ってきたのは一人の生徒だった。

「いらっしゃい」俺は入ってきた生徒にはこのように声をかける。

その次に相手の様子を窺い「何かあったの」と問いかける。
大体相談しにくる内容は、進路のこととか恋愛、その他もろもろの相談だ。
カウンセリングを受ける(又は相談を受ける)際には必ず、“今からここで話されることは口外されることはありません、ただ、殺人などを仄めかすようなことがあればそれは誰かに言います。ご承知ください”などの長ったらしい前置きを言った後相手が納得いったら話に入る。

どうやら進路のことで相談のようだ。
大体進路の話だと俺は、君の行きたいところに行けばいいよ。などとアドバイスをしている。まぁその子の背中をおしてあげる感じだな。恋愛の相談なんかもそうだ。
時々先生も相談に来たりもする。
先生方の相談内容は生徒への対応などで、俺はそれを聞きながらその生徒にはこういった対処法があると教え、一緒になって考えもする。
生徒と先生たちが過ごしやすい環境をどうやってつくっていくかとか、兎に角いろいろと考えることが多いのだ。もちろん、話を聞くだけではない、どこかの時間を頂いて講義をすることもあるのだ。

生徒が来てから約30分話をし、“また何かあったらおいでね”といって教室へと返して行く。

これが俺の朝の顔、そう、臨床心理士、スクールカウンセラーとしての仕事だ。

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