創造主は暇だったので冒険者になった。

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20.

強大な力を持つ者は、敬われ、同時に恐れられる。ヴァンパイアの一族も例外では無かった。だが、自身らを恐れる冒険者達の暮らし方に、憧れを抱く者もいた。ヴァンパイアの長も、その一人だった。

「…まあ、分からんでも無いが…。」
「パーティーに入れるってのは少々手間が掛かりますよ。」
「冒険者になる時に、種族がバレると面倒なんでしょう?」
よく知っているものだ。これまでに城を訪れた冒険者パーティーにも聞いたのだろうか。
「それなら問題無いわ。それ抜きなら入れてもらえるのね?」
「あ…あぁ…まあ良いだろう。」
「やった!じゃあ、早速ギルドに行きましょう!」
「勝手なものですね……。」
「何か言った?」
「イエナンデモ。」

そんなこんなで一人増えた帰り道。
「そう言えば、城を空にして良かったのですか?」
「大丈夫よ。衛兵達の兵力水準レベルは上げておいたし、門番に鋼鉄の守衛アイアンゴーレムも召喚しといたわ。」
「流石ヴァンパイアか、やりたい放題だな…。」

ギルドに着いた。
「そう言えば、お前の種族誤魔化すのってどうやるんだ?」
「魔法よ。聞いたことないかしら?」
剣士は魔法を使えないから聞くも何も無い。やっぱり本職だろうと思ってルナに目を向ける。
「…思い付くものはありませんねえ…。」
「そう…。暗殺者アサシンのあなたならあるんじゃない?」
シャルミエがクレアを見下ろす。クレアはしばらく腕組みして考え込んでいたが、思い出したようにぱっと顔を上げた。
「…一つある。」

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