創造主は暇だったので冒険者になった。

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10.

宿には十分程で戻った。 ルナと防具を一通り部屋に置いて、一人酒場に降りた。

適当な食事を済ませて、ルナ用のパンを一つ買っておいた。部屋のドアを開けると、涙目で机のへりにしがみつくルナの姿があった。
「あ、エンデ!助けて下さいGが出ましたぁー!あー!こっち来るなぁ!」
Gって何だよとか思いながらルナの視線の先を見ると、黒いツヤのある楕円がカサカサ動いていた。ひょいっとつまみ上げると、表面は硬い。ルナの方に持って行くと表情が強ばっていくのは面白いが、なんとなく気持ち悪いので、窓から投げた。
「ふう、ありがとうございます。」
「ん、少し残念だったがな。ほら、お前の夕飯だ。」
紙に包んでもらっていたパンを投げてよこす。
「ありが…ってなんか借りを作り過ぎた気が…。」
ブツブツ言いながらもパンを頬張るルナ。 
「早く食べろ。また床で寝たいか?」
「え?ベッドで寝ていいんですか?ってあれ?それって一緒に寝ろって事ですか?」
「嫌なら床で寝ればいい。」
「ちょっ、じっじゃあこれで借りは帳消しって事で…。」
「なんでだよ、一つ増えるんだぞ。」
「いや、一緒に寝るってその…あぇ…~っ!純粋な私になんて事言わせるのですか!」
ルナは顔を真っ赤にして叫んだ。しばらくどういう事か悩んだが、訳が分からなかった。
「何か言いたいなら言え。言わないなら俺は寝る。おやすみ。」
「へ?え、ちょっちょっと!」
ルナはしばらくベッドのそばに立ち尽くしていたが、布団を奪還しにかかってきた。だが、少し引っ張ったところで今朝の事がフラッシュバックしたのか、すぐに手を離してしまった。その後一〇分ほどして、俺の意識の有無を確かめるような素振りを見せ、そーっと布団に潜り込んで来た。

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