fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

石杖所在

その室内は下卑た匂いで充満してた。
下劣な女達のキチガイ染みた笑い声も。
煙草、麻薬、様々な種類が蟲毒されていた。
その部屋の中心で理性的な青年が哀れんでいた。
優雅に四つん這いにさせた女を椅子代わりにして、もう一人四つん這いにさせた女をテーブル代わりにしていた、紅茶はもちろん、ご丁寧にスコーンまで用意してある、それを嗜みながら、デズモンド・モリスの人間動物園を読んでいた。
「お前は悪魔の存在を信じているようだが、そんな仰々しい言葉を使うのは良くない、単に歪みでも良い、罪を癒されたいと思った事はないか?」
「罪を癒す?前提条件がおかしいだろ」
「その通り、しかし不条理に願いを叶えるから悪魔だ、犯罪者にも人権を与え、権利まで勝手に主張してくれる、心神喪失になれば無罪放免だぞ?それは現代社会の病理で治すべき炎症だぞ?」
「なら、治せばいいじゃないか」
「救いを求めている奴がいるか?」
「いるだろ」
「クリスチャンにでもなったつもりなのか」
「少なくともあんたより神には近い人間だ」
「心外だな、神とは平等主義者のはずだろ」
「罪の価値は人それぞれ違う」
本を、閉じて漸くこちらを直視する。
その眼光は暗澹でしか構成されない。
「犯罪心理学の話か?」
「倫理学の話だ」
「引きこもりがそういう異常犯罪を起こすらしいな」
「偏見だよ」
紅茶を一口飲む、どこまでも醜い高貴さ。
その紅茶をおもむろに、女の頭にかける。
絶叫し狂い、じたばたと、手足が乱れた。
テーブル代わりの背中にさえかけていく。
酸性だったらしく皮膚は爛れ、失禁悶絶。
「言葉巧みに誘うのが熟練の犯罪者であるだろうな、この小生を現代のモリアーティとも呼ぶらしいけど、酷く的を射ているよな、個人的に吸血鬼が好きだ、異常犯罪専門のトレーナーともな」
「自覚してるならわざわざ言うなよ」
「狂人とは呼ばれたくないものだな」
立ち上がり、椅子代わりにした方を蹴った、なんとなくやった、惰性的だった、テーブル代わりにしていた方は落ちたスコーンを犬食いしている。
「さて、と、貴様は、この小生を断罪でもしに来たのかな?願望を果たせることは出来ぬぞ少年」

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