fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

魔王の盤上


灰色の駒しかないチェス盤。
通常よりも多種多様な駒だ。
キャスター、ハンニバルとの一戦。
あくまで児戯に等しい蝙蝠の遊戯。
「お前さんは頭を回しすぎだ、それじゃあわしのように警戒される、現代人は馬鹿で賢いより賢しく生きる方が尊ばれる、学校にしたって統一化するための牧場のようなもんさ」
「最近の若者は楽しければどうでもよいらしいです、頭を空っぽにすれば快楽を得られる、そういうのを恥知らずと言うのでは?」
「お前は達観してるな、じじいかよ、あぁアルカナなら愚者から隠者になったというべきかのう、厭世家し過ぎは早めの老成を招く」
「そのようだ、書を捨てて街に出たかった」
「今の街並みにお前さんは何も得られまい」
青崎橙子は煙草を一息吸ってから質問する。
「お前は何を求める」
「歪でもいいから真実を」
「お前はどこに求める」
「社会の病理そのもの」
「俯瞰のし過ぎだ、たわけ」
「そうかな?」
「地面をしっかり足につけろ」
「そうだな」
「真っ直ぐ歩け、真っ直ぐ見ろ、人間は真実よりも聞こえの良い偽の伝聞を好む、醜聞ゴシックは口溶けの良い不味いチョコレートなのさ、だが、その中で魔術師は根源を目指す、それは曇りなき目で、世界の事をただただ、自分が見たいままに知りたいからだよ、お前もそうなれ」
「僕は魔術師が似合ってるね」
「霊媒師も陰陽師も悪っぽく描かれる事が多くなったのは何の因果かな、魔術が悪魔と密接だなんてそれこそ聞こえの良い嘘だろうが、黒魔術をしてる奴なんざ魔女裁判の頃で分かってる、それなのに人々は魔術を悪魔からのプレゼントだと思ってる、抑止力が邪険してるのは根源に近づくのを悪魔に近づくのと同じだと思ってる、とても曲解しているな、魔術師はそれだから一般人を軽蔑するんだ、普遍的だろ」
「ごもっともだなぁ」
「お前は人間性は異質であって異端でもなければ異常でもないぞ、ほらチェックじゃよ」
「ならこうだ」
「手のひら返そう、やっぱり異常な頭脳だ」

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