fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

時計塔3

ゼルレッチの弟子候補において捨て駒に相応しいとされていたのが時計塔の鬼才である。

が、ゼルレッチ爺は頑なに弟子候補にも上げなかった、主にかつての弟子の曾孫に対する複雑さと並列世界で度々見せる彼の本性を見て魔術も第二魔法も教える気が全く湧かない、というか、曾祖父に教えてもらえやがれ、この暗黒野郎と苛立ちを隠せなかった。

二頭狐VS八枚舌の戦争は酷かったし。
  
あれを、彷彿させ、その再開があった。

それらを含めてロード=エルメロイ二世は。
「ファック」
と言わざるを得ない。
「あの先生」
「なんだ」
「無いはずの子宮が疼きました」
「そうか、それは卑猥だな!!」
「なんでファックって言われるんでしたっけ?」
「能ある鷹は爪を隠すというが実際やるととんでもないほど狂った行為だぞ、魔術回路を不活性にして魔術師としての本当のレベルを隠すのがどんだけ危ないか分かってるのか」
「魔術回路が悲鳴とか悲痛をあげるんです」
「だろうな」
「それが気持ちいいんです」
「クレイジー」
ファック以上の語彙を見いだせた瞬間である。
「非合理に身を委ねてこそ、ギャンブル…」
「…ギャンブルなのか?」
「狂気の沙汰ほど面白い」
「分かった、お前がクレイジーなのはよーく分かった、それは一先ず置いておこう、お腹痛くなってきた、私は、お前の父方の祖父の妻の得意なフォーマルクラフト(元素変換)がお前に出来るかと質問したな、返答は?」
「混沌魔術も得意ですね!」
「お前はフラットなのか?(二重の意味で)」
「大体、元素変換があれば全部の元素一気に使う方が効率が悪いんですよ?」
「ほう」
「混沌魔術だって空だけに特化してないと出来ないし」
「なるほど、つまり、一つ一つの属性を丁寧に使う事によって万能さが得られるという事か、リスキーであるという点に目を瞑れば、誰もが羨む魔術回路の使用方法だな、おい」
「えぇ、リスキーと言えば死霊魔術についてなんですけど」
「校内では絶対使うな、ジャパニーズモノノケは二度と見たくない、呪術が学問じゃないのが認識できたし、呪術を軽視するのも少なくなった、で、まさか、獅子劫界離の魔術回路を欲しいとか言うんじゃないだろうな?」
「そのまさかです」
「そうか、確かにお前なら毒なんて絶対に効かない体質だから、彼の許可を得てから貰うように、あと、彼を校内で父さんと呼ぶな」
「父さん以上の関係ですよ?」
「それ以上喋ったら殺すぞ!」
踏み込みたくない話であった。
「でも死霊魔術大好きです、僕ネクロフィリアですし、血族的に嗅覚が麻痺したり退化したりするんですけど、僕悪臭や腐臭なら分かるんです、女の子とかの汗とかも好きです」
「どうしようもねぇなこの変態」
「あとせーシー」 
「言わせねぇよ!?」
「まぁ自分なりの固有結界は墓地ですし」
「とんでもない事さらっと言ったな!?」
「元素変換を駆使すれば完全なる死者蘇生も出来そうな気がするんですよね、積戸気かは、魂を精製できれば、英霊も呼べるかも」
「それは学ぶ価値があるが殺人はするなよ」
「分かってますって」
「ったく、フラットが問題児でこいつは異端児、似て非なるが、こっちの方が悪質だな」

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