fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

青崎橙子


「お前にだけは傷んだ赤と呼ばれても怒らない、だってお前もそう思われる同類だから」

珍しい、が通り越して天地がひっくり返るほどの凄絶な発言である。
「知ってしまったのか」
「黒桐の奴いよいよ化け物じみた情報収集力を持ってしまったよ、前世の自分を現在の自分の魔術師として投影して過去の続きが出来る、だが前世がナチスという奴は今時正気の沙汰じゃないが、どうやら本物のようだ、ヴリル協会というトゥーレ協会に次ぐナチスの基盤となったドイツの二大魔術結社の片方の一員だったとはな、あそこは魔術というより超科学を専門に扱う、魔術師が認める科学とはヴリル協会の創造物でしかない、お前はそこで名を上げた、優性思想も一緒に育っていった、だが、お前は血族的視点から大きな失敗をしている、現在お前は父方の祖父の妻の血を濃く反映してしまってる、血液型が同じなのは父方の祖父の妻だ、まぁもしも血族が完成してしまったら人理も終わってしまうからな、抑止力の餌食にあってしまった、優性思想を続けたとしても欠陥製品として生まれた自分を穢れた血だと思っている、いつのまにか兄弟だけに家の秘密を教えられた、お前はアガリアレプトを使って初めて知ったのだろうがまるでとことん私のようじゃないか」
「魔法・青を継いだのは妹なんですってね」
「あぁ同じようにお前が継ぐ筈の『血族の禁忌』は兄弟の手に渡ったんだろう?」
「えぇ、最低の結果です、血を誇り、一時期は『ブラッド』と血そのものの意味を名乗っていたのに、これでは、とことん末代が恥」
「だから傷の舐めあいをするんじゃないか、お姉さんが優しくしてやるから、お前も優しくしろ、それが大人の欲情ってやつだろ?」

ベッドの中で、二人は泣きながら交わった。

互いに自分の家から出奔して自分の血を疎ましく思い、お互い恥じらいを感じながら、それでも、その恥辱を重ねる事によって、誰にも見せなかった感情を漸く吐露出来たのだ。

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