fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

人理焼却式の残火と大いなる業人

「知られざる六つの大罪呪念を孕み、ここに、我が最も忌む我を、ここに到来させん」

池袋のアーチャーがまたもや自分を召喚する、四日目の夜にして、これで四体目。

それらは全部ドッペルゲンガー。
イフの自分でありもう一人の己。

本来なら会った瞬間に戦闘が始まる、あるいはどちらかがどちらかの生気を吸いとってしまう、だが彼はナルシストなので問題ない。
自分と自分で抱き合うのを夢想してこそ真のナルシストだ、だが呼ばれた存在を抱くのは難しい、包帯を巻き、炎を彩った和服を着たミイラ男のような人型の妖、全身火傷により発汗機能は、ほぼ死滅。それが原因で自力の体温調節ができなくなり、常時人間離れした高熱を帯びている、何よりも、殺戮の亡者。

その執着は醜悪である。
殺すことでのみしか他者と繋がれない羅刹。

人理焼却式でも燃やせない生命力。
その式を、奪い取った業力の底力。

刀身が焼け焦げた打ち刀を掌から生やす。
それら人理焼却式の残火の太刀であった。
全身から無数の刀を生やす能力を持ち、普段は掌から刀を生やしての2刀流で戦うのだ。
『シネマの中の世界』に飛び込んでいく人斬り、彼こそこの世全ての悪、前科千犯の男。
「自由とは他者の生殺与奪権をどれだけ握れるかが鍵、孤高とは殺人鬼神に他ならねぇ!」

鬼とつくように、凶暴な荒ぶる神に対する呼称として使われる。 仁王経でも『国土乱れん時はまず鬼神乱る。鬼神乱るるがゆえに万民乱る』という記述が存在するのだ。

「さぁ、運命を蹂躙さつりくしようじゃねぇか!火火ヒヒっ」

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