fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

スノーフィールドにて2


「おたくが本物、か」
「人形師ならどれが本物か、なんて差異ですよ、それに小生は平行世界を移動できる魔法が使えますからね、ここの世界の彼女が偽物である、というのは、真・セイバーが冬木で確認されたセイバーと同じ顔を持ちながら、ゲスなる暗君女帝レオポルド二世、というのは驚愕でしょう、そのマスターも吐き気のする邪悪ですが、小生は以外にも凡庸ですよ」
「彼女は人間を玩具のように扱い、第四次聖杯戦争の連続殺人鬼とそのサーヴァントが児戯でしかないと言われてるぐらいの陰惨さだよ、王様ごっこは吸血鬼共の貴族ゲームよりもたちがわるい、あれよりもおたくは酷いのか、それとも、案外優しいのどっちかだな」ハンザ・セルバンテスの設問は続いている。
教会で既に質問は拷問に変わっていたのだ。
カルテットの部下である四人の修道女も手伝って、その設問は魔女裁判に近かったのだ。
「あぁ彼女はまだ人間を人間として扱うが、小生は人間と物の区別が全然つかないんだ」
「………そうか、上回ったな」
その両目が、冷たくなった。
「あぁ、あと彼女はサディストなだけだが、僕はマゾヒストなんだ、カルテット諸君ありがとう、お礼に、彼女とダンスをしてくれ」
褐色の肌に豊満な肉体。
服装はゴシックドレス。
エルフ耳をしているがダークエルフと言った方が分かりやすい魔女がその場に現れた。
「あら、随分楽しんだようで、それは本来私だけがしていい遊びなのですよ、××××共め」
「やぁヨルガオ、とりあえず食っていいよ」
「了解しましたマスター」
彼女は四人姉妹の四凶が一匹、その中で彼女のみが、実の娘にして、一番改造された女。
饕餮、饕餮の「饕」は財産を貪る、「餮」は食物を貪るの意である。何でも食べる猛獣、というイメージから転じて、魔を喰らう、という考えが生まれ、後代には魔除けの意味を持つようになった。一説によると、蚩尤の頭だとされる、加えて、悪食かつ雑食である。
カルテットの四人の女性達は戦闘体制となる、フォーメーションを組んでいる、それでもヨルガオと呼ばれた女はどこまでも余裕であり、それ以前に、涎が流れすぎであった。
「あぁ、あぁ、あぁぁあぁあ!シスターの瑞々しい聖肉、早く食べてしまいたいわ!」
その主は拘束を解いて、トランプを懐から出した、それが、現在の彼のメインウェポン。
「聖杯の欠片の厚さはデッキ一つ、ブラックが特徴的で、イラストはゴシック、ダークなイメージなるままで魔術師が好むタイプの魔術礼装のトランプだ、これで相手してやる」
神父は、埋葬機関にそういう格下の相手には遊びをして、それでも勝った相手をプライドを折ったまま恥辱に満ちた奴隷にする奴を思い出す、彼も、そいつとよく似ていたのだ。
「ちっ、嫌な奴を思い出してしまった……」

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