fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

アブノーマル・ワン


埋葬機関に加えられるほどの戦闘力を持ちながら、絶対に加入されない。
何より神と悪魔の間さえも取り持つ蝙蝠。
時計塔の鬼才の聖堂教会でも呼ばれかた。

『アブノーマル・ワン』

そんな彼が執務室に来る。
実力は折り紙つきだが、性格が悪く(いわく、殺人狂に近い)、半ば幽閉される形で埋葬機関の執務室に閉じこもっている。いじめっこで、シエルも含めたメンバー全員が、「いつか殺してやる」という感情を抱いているという。
埋葬機関のトップに立つ女性。
ナルバレックとの面会である。
ノックを忘れない。
「どうぞ」
「失礼します」
入った瞬間、黒鍵が投げられる。
それを錬金術で生み出したふわっふわの金属で受け止めた、そのふわっふわの金属は柔らかくときなくふわっふわであるが刃を絡めとる、要するに対黒鍵用の魔術礼装であった。「ちっ」
「引き込もり過ぎて腕が鈍ったのですか?」
「黙って死ね、三回首を回してワンと鳴け」
「無茶苦茶ですよ」
「用がある、自害して欲しいんだ、お前に」
「無理ですね」
「なら悪魔達との契約を解除しろ」
「恋のキューピッド、ウヴァル、悪魔社会の情報屋アガリアレプト、仲裁屋のヴォーティス、人間社会でこれほど活用できる者達はいない、下級悪魔達も塊にして相手に押し付ければ肉体は必ず崩壊させられる攻撃方法となるのです、悪魔は歪んだ妄想に備わる概念生命体なのです、自分の自己矛盾の歪さを和らげるのなら神に頼むよりこっちの方が楽だ」
「まぁいい、埋葬機関は殺せるならば手段を選ばない、問題はお前のもう一つのベルゼブブ・プリンスだ、現代社会において最悪の」
「バグを司り、闇サイトの支配者たる彼?」
「片方は本に執着し過ぎる以外は無害だよ」
「最近は電子書籍もあるのですよ?」
「だから最強のコンビネーションを発揮するんだろう、そもそもバレない犯罪など神に対して臆病になっているとしか思えないぞ?」
「最近の犯罪はバレてはいけない、悪魔だって人目を忍んでいる、隠蔽性が無ければどんな悪事も成功どころの話では無くなるのです、それとも、神は全能ゆえに何でも知れるから、やはり、悪魔は、それを乱す害悪?」
「私はお前を裁きたくてうずうずしてるんだ、お前の悪事は神に唾を吐く冒涜だよ」
「はぁ」
「もういい、私もお前と敵対したくない、貴様は外道だからな、人間の盾とか、市街戦を好むから、とことんまでやりづらい相手だ」

「えぇ、生贄そのものを使用するのが出来る呪術を使えるのは僕だけ、呪い名六名のあれらを独学で全て身につけて、さて問題です、殺人鬼と対極となる言葉は何でしょうか?」

「虐殺魔王だろ」

「正解です、特に何もあげません」

「話すだけで、気持ち悪くなる、もう帰れ」
 
「さようなら、代行者を生贄扱いしてまで埋葬機関を敵には回したくない、それでは、縁があったらまた会いましょうナルバレック」

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