fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

朝寝坊、桜の微睡み


「…………夢、でしたか」

朝が来ると自分がその場から逃げたくなる悪夢なる夜そのものを封じる特性のあるお市。
それによって朝目覚めれば何事も無かったかのように夢オチが出来る。
しかし、それは夕暮れになるまでの羽休み。
昼間は理想的な時間を過ごせる。
本質的には白昼夢を見れるという事であり、お市が見たかった幸せな家庭を今、夢想顕現する。
「おーい、起きろ桜」
衛宮士郎が彼女を起こす。
「あれ、先輩?」
衛宮邸は壊れてない。
いつも通りの朝である。
少し違うのは桜が寝坊したという事だ。
「あ! 桜!」
さらには寝小便をしていた。
「ご、ごめんなさい、何か悪い夢でも見ていたのかもしれません」
「……そっか、怖かったんだな、まぁ洗うよ」

着替えをしてからいつもの食卓に向かう桜。
食卓にはイリヤスフィールと藤ねぇがいた。
料理を作っているのは見たこともない女性。
「母さん、今日の朝飯は何ー?」 
「母さん? 先輩の母親ですか?」
「昨日、海外出張から帰ってきたんだよ母さん、人間離れしているけど人間だよ」
その女性の真の正体を予め明記する。
『黒蛇卿』ならぬ『白蛇様』である。
 
「ご機嫌よう、桜さん」

お市の感覚も彼女が何か察せられた。
口には出さず心で言い、涙を流した。
「蛇神様………」

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