fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

アサシン・表

「この外道!」

『焼却の銃』の弟が『蒼白する剣』の兄に、そう罵る、兄は、今では髪を切り、落ち着ついて、年が老けてさえ見える、細いフレームの眼鏡をした、一見して、好青年に見えた。
そんな彼が、ダークファンタジーに出てくるような黒き竜の皮を張った魔術書を開いた。
「そうですか、貴方も外道の段階で言葉を止めるのですか、なら見せましょう、無道という、クリフォトに達した力を、凶賊の極致シンスキル知られざる六つの大罪・殺戮」

魔術書が形状を変化させていく、伸びて、刃を出して、死神が使うような大鎌と成った。

「死神のご登場です」
もう一本剣を出した。
『蒼白する剣』冥府の女神エレシュキガルの使いである死神ネルガルが持つとされる、六十の疫病、状態異常を司る死神の鎌の異種。
それは、命を刈り取ろうとした時のみ鎌の形状へと変形していく、二本のデスサイスだ。
「私は自分のさがに苦悩していません、昔は医者になりたかったけど、今では割り切っています、死の統率者、生ける冥王とまで、今では言われてます、私にとって殺人、殺戮、虐殺ですら、良い旋律を奏でますね」
「お前は、どんくらい人を殺すのだ?」
「人がいるまで」
「お前にとって人を『死』とは何ぞや?」
「他人事」
「最後に質問だ、お前は惨劇の演出家か?」
「君のような勘の良いガキは嫌いだよ」

それが過去。

現在は本人とアサシンのクラスがいる。
アサシンの方は、黒いドレスをして、黒い蝙蝠傘の仕込み杖をした兄と戦闘を繰り広げている、兄の歪んだ一面、畜生道に落ちている事も、彼女の変態さも、あるいは、束縛されるがままに、支配されるがままに、命令されるがままに、彼女、いや彼は、いつだって、どんな組織に在籍していても、上の意思と、リーダー、副リーダーの思うがままのNo.3として、活躍した点だ、それは能無しに近い、何より、家畜を追いたてる犬としては、どこまでも優秀だ、虐殺器官すら犬の涎だった。

そんな彼、いや彼女が漸く人間になった、確かに、鬼畜でサドでありマゾな彼女は、本来の性質は快楽殺人鬼そのものだ、きっかけは、カップルの遊びの一環だったが、今では、あんなにも酔いしれている、様々な最悪、そんな言葉すら優しい最凶、末代まで恥、ならぬ末代が恥、それが彼の兄である。

そんな馬鹿な孫達でも溺愛するのが祖父だ。
しかも二丁拳銃の殺人技巧を教えたのも祖父である、祖父は、その兄弟喧嘩の伝統の有り様すら楽しんでいた、その蟲毒の本質を、その三人だけは理解していた、兄弟を殺したいほど愛している、それだけであったのだ、兄弟が食らいあい、物理的に一緒になれば術式は完成するが、おぞましき血族の殺人技巧はオーバーキルがあまりにも多すぎたのだ。

そもそも狩人。

西洋人の前の段階である狩猟民族が暖かい地方を求め大陸移動して、日本にたどり着いた、やがて、日本では武士が起こり、源平合戦が起こる、そこで隔世遺伝、先祖返りを果たしたのが、おぞましき血族の起源である。
戦闘民族と言うのが正しい。
戦国時代はそれはもう酷い。
幕末時代には言禁の首領が血族から出てきている、日露戦争という大博打を勝利に導き、第一次世界大戦も常勝を築く、第二次世界大戦は敗れこそはしても漁夫の利は会得している、祖父はその繁栄に囚われ、狂っていた。

英雄とされない、影歴史ドゥームに埋没する、彼は光当たる場所で目立ちたかった、血族ぞ、ここにある、と世界に誇りたかった。

しかし、平和な時代には勝負強さしか残らない、その中で過去を求めるのが、祖父と孫。
孫の片割れは、それを断じて許さない。
過去を見るからこそ道を、切り拓いて。
未来を見るからこそ道は、閉ざされて。

それでも明日は来てしまう。
未来は当然のように今日となる。
これは、少し先の話であるのだ。 
因縁が今、絡み、溶け合うのだ。

「お前にとって殺すとは何だ?」

「快感」

「お前はなぜ女体化している?」

「本当は、弟の子を孕みたいの」


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