正反対の僕と彼女~2人の関係の行方~

梅谷シウア

#2 4.海水浴~僕らの夏休み1その2~

ビーチバレーをしようと、ビーチバレーの場所へと向かった5人であったが、どこのコートも貸切られていたので諦める。
「仕方ないね、どうする?」
「仕方ないし、泳ぐか? それとも他に何かやりたいものでも」
「そうだね」
「じゃあ、スイカ割りでもしない?」
「スイカ割りね、スイカないでしょ」
 元気よく提案する結華に、晴人は冷静にツッコミをする。すると結華はどうだと言わんばかりに、晴人の鞄を漁ってスイカを取り出す。
「じゃじゃーん、ここにスイカがあります」
「なんか重たいと思ったらスイカ入れてたの」
 晴人の鞄から出てきた、スイカは小さめなものだったとはいえそこそこなもので、数キロはあった。
「晴人はこれが入ってることに気づかないで、なんか重いなぁって思いながらここまで来たの?」
「えっ、あ、うん」
 最初に出会った時と同じように、晴人のことを笑っていた。
「晴人は私を笑わせて殺そうとしてるの?」
「えっ、なんで? そんな気なんてないよ」
「だって、今さっきの件といい、始業式の日といい、なんでこんなに面白いことできるの」
 泉と晴人の仲のよさげな会話にイラついてきた結華は、無理やり皆を引っ張ってスイカ割りの準備を始める。
「ところで誰からやるんですか?」
 仁が結華にそう質問する。
「誰でもいいよー。何なら大河君からやっちゃおう」
 晴人がスイカの下に汚れてもいいレジャーシートを引いて、準備をしている間に、結華はどこから取り出したんだと言いたくなるような、スイカ割り用の棒を仁に渡していた。
「俺からっすか。とりあえず頑張ってみます」
 晴人は仁に目隠しをして、仁の体を10周ほど回す。
 ふらふらしながらようやく歩き始めた、仁にそれぞれ指示をしていくのだが、皆まともにスイカを割らせる気は無いらしく、そろわない指示が飛ぶばかりで、仁はスイカとは遠くかけ離れたところで、棒を振り下ろした。
 他も皆同じような感じで2週目が始まった。2週目ともなるとまともに話を聞かないで、スイカにあて始める。そんなかついに3週目で泉がスイカに亀裂をいれ、結華が勢いよくスイカを割った。
 5人は割ったスイカを食べながら、これからすることについて話し合っていた。
「とりあえず海鮮食べたい」
「海の家でなんか食べるのもいいかもな」
「海で遊んだら店に行くって感じじゃなくなっちゃったね」
 全員賛同で海の家に行くことになった。
 荷物を纏めて海の家に行くとスペースは何とか残っており、それぞれ海鮮を買って鉄板焼きをした。5人は海の家独特の味の薄い焼そばを食べ、魚介類を食べ締めにはかき氷を食べた。
「いやー、なんか高校生っぽいね」
「泉さんの中の高校生のイメージってどういうものなのさ?」
「わかんないけど、友達だけで海に来て遊ぶのって高校生っぽくない? あとは夏祭りとか、初詣とかもみんなで回るの」
「それもできたらいいね。っていうかやってやろっか」
 海の家を出て、晴人と泉は別行動をしながらそんな話をしていた。 

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