正反対の僕と彼女~2人の関係の行方~
#1 8.体育祭~彼女は運動も得意?~その1
中間試験を終えた、東成瀬高校の生徒の大半は、次なるイベントである体育祭に向けた練習に精を出していた。
因みに中間試験の結果は、晴人のおかげもあり、1年3組の生徒の多くは出来が良く、クラス平均点が過去最高になったりもした。もちろん、晴人はどの教科も満点に近く、学年で1位をとった。
「同じ組みになったんだし、お互い頑張っていい結果を出そうね」
「えっ、あぁ、うん」
じゃあ、と泉は残しいつものグループがいる、体育祭実行委員会の集合場所にかけて行った。
「あなた、いつ見ても暇そうね」
話しかけてきたのは普段よりも心なしか、やる気のない習志野だった。
「僕は団体戦だし、練習のしようがないからね」
「あなたが団体種目?協力って1人じゃできないのよ」
「適当にやってます感出しておけばいいから選んだんだよ」
「あなたらしいと言えば、あなたらしいわね」
「そうかな?習志野さんも同じ組みなんだね」
「ええ、そうよ。しかしあなたはなんであんな派手なのに声をかけられたのかしら?接点がないように見えるのだけど」
「なんでって、席が隣だからかな?」
「そういえばそんなことも言ってたわね。席が使えないから私の屋上に来て昼食を取っているのよね」
「所有格つけちゃダメでしょ。人が立ち入らない場所だからって、公共の施設だからね」
「うるさいわね」
晴人は、体育祭で出てる種目が団体戦の竹を奪い合う竹取合戦だけなので特に練習があるわけでもなく、のんびりと練習が行われているグラウンドの中心を見ながら習志野と喋って時間を潰した。
*****
それから数日後。
「これより、東成瀬高校、第47回体育祭を開会します」
体育祭の開会を宣言する生徒会長からの、この一言により東成瀬高校の体育祭は幕を開けた。
春、夏、秋、冬組に分かれ行われるこの体育祭は毎年それ相応に盛り上がっている。しかし、このようなイベントが苦手な人がいるのも事実、晴人はそちら側の人だった。
体育祭は最初からかなりの盛り上がりで、放送テントからは、運動会でおなじみ、放送係の愉快な実況がさらにその雰囲気を感じさせていた。
「随分と憂鬱そうね」
「ん? 習志野さんか。僕はこういう雰囲気がどうにも苦手でね」
「奇遇ね、私もこの雰囲気を楽しめる気はしないわ」
2人は自分の組の場所の後方にあるテニスコートとグラウンドを分けるフェンスに寄りかかり、盛り上がるグラウンドを遠目で見ながら話していた。
「あれ、ハルくん?」
「あれ? ゆいねえ、どうしてここに?」
「あんまりにも、退屈だから、適当に歩いてたらハルくん見つけたから、来たんだよ」
「そっか」
「ところで、その女の子は誰?泉ちゃんではないよね?」
先程の明るい挨拶は何処へやら、トーンがかなり落ち、まるで浮気した夫を問い詰める妻のような声で晴人を問い詰めようとする。
「あなたたち、体育祭も授業の一環よ、しっかり参加しなさい」
飛んで来た声の主は少し前に朝礼台の上で体育祭の開会を宣言した生徒会長、習志野佳奈だった。
「えっと、その、すいませんでした」
晴人は1人頭を下げたが、習志野優美と結華はみじんも頭を下げる気配を見せない。
「何、頭なんて下げてるのよ。姉さんの思う壺じゃない」
「そういえば、佳奈ちゃん生徒会長だもんね」
どちらもふざけて、側から見れば生徒会長をおちょくっているようにしか見えなかった。
「あなた達ねぇ」
「いいじゃん、佳奈ちゃん、私たちの仲でしょ? これからハルくんとあれこれするんだし、見逃してよ」
「あなた、実の姉とそんなことをしてるの!?」
「えっ、僕はそんな気一切ないし、そんなことしたことすらないよ」
「優美は、なんで結華と、結華の弟君と一緒にいるのよ?」
「えっと、鎌ヶ谷くんとは、屋上昼食仲間ってだけよ」
屋上昼食仲間という言葉にイマイチ納得がいかないような佳奈だったが、屋上の鍵の開け方を教えた事を思い出して、納得がいったような表情をした。しかし、何故自分がここに来たのかを思い出し、各人をそれぞれの座席に戻らせたのであった。
晴人は自分の席でのんびりとグラウンドを眺めていた。これから始まるのは女子の短距離走のようで、泉がエントリーしている種目である。
晴人は周りの応援でかき消されると思いながらも、声を出して泉を応援した。しかし、泉には、晴人の応援はしっかりと聞こえていた。
泉は先ほどまでキャンプの話を友人達としており、帰りのバスでの一件を思い出し羞恥心から顔を真っ赤にしながら全力で走り、陸上部のエースに続いて2位だった。
「泉さんはすごいな」
晴人はそう小さく呟くと、自分の出る種目である竹取合戦の集合場所へと向かっていった。
因みに中間試験の結果は、晴人のおかげもあり、1年3組の生徒の多くは出来が良く、クラス平均点が過去最高になったりもした。もちろん、晴人はどの教科も満点に近く、学年で1位をとった。
「同じ組みになったんだし、お互い頑張っていい結果を出そうね」
「えっ、あぁ、うん」
じゃあ、と泉は残しいつものグループがいる、体育祭実行委員会の集合場所にかけて行った。
「あなた、いつ見ても暇そうね」
話しかけてきたのは普段よりも心なしか、やる気のない習志野だった。
「僕は団体戦だし、練習のしようがないからね」
「あなたが団体種目?協力って1人じゃできないのよ」
「適当にやってます感出しておけばいいから選んだんだよ」
「あなたらしいと言えば、あなたらしいわね」
「そうかな?習志野さんも同じ組みなんだね」
「ええ、そうよ。しかしあなたはなんであんな派手なのに声をかけられたのかしら?接点がないように見えるのだけど」
「なんでって、席が隣だからかな?」
「そういえばそんなことも言ってたわね。席が使えないから私の屋上に来て昼食を取っているのよね」
「所有格つけちゃダメでしょ。人が立ち入らない場所だからって、公共の施設だからね」
「うるさいわね」
晴人は、体育祭で出てる種目が団体戦の竹を奪い合う竹取合戦だけなので特に練習があるわけでもなく、のんびりと練習が行われているグラウンドの中心を見ながら習志野と喋って時間を潰した。
*****
それから数日後。
「これより、東成瀬高校、第47回体育祭を開会します」
体育祭の開会を宣言する生徒会長からの、この一言により東成瀬高校の体育祭は幕を開けた。
春、夏、秋、冬組に分かれ行われるこの体育祭は毎年それ相応に盛り上がっている。しかし、このようなイベントが苦手な人がいるのも事実、晴人はそちら側の人だった。
体育祭は最初からかなりの盛り上がりで、放送テントからは、運動会でおなじみ、放送係の愉快な実況がさらにその雰囲気を感じさせていた。
「随分と憂鬱そうね」
「ん? 習志野さんか。僕はこういう雰囲気がどうにも苦手でね」
「奇遇ね、私もこの雰囲気を楽しめる気はしないわ」
2人は自分の組の場所の後方にあるテニスコートとグラウンドを分けるフェンスに寄りかかり、盛り上がるグラウンドを遠目で見ながら話していた。
「あれ、ハルくん?」
「あれ? ゆいねえ、どうしてここに?」
「あんまりにも、退屈だから、適当に歩いてたらハルくん見つけたから、来たんだよ」
「そっか」
「ところで、その女の子は誰?泉ちゃんではないよね?」
先程の明るい挨拶は何処へやら、トーンがかなり落ち、まるで浮気した夫を問い詰める妻のような声で晴人を問い詰めようとする。
「あなたたち、体育祭も授業の一環よ、しっかり参加しなさい」
飛んで来た声の主は少し前に朝礼台の上で体育祭の開会を宣言した生徒会長、習志野佳奈だった。
「えっと、その、すいませんでした」
晴人は1人頭を下げたが、習志野優美と結華はみじんも頭を下げる気配を見せない。
「何、頭なんて下げてるのよ。姉さんの思う壺じゃない」
「そういえば、佳奈ちゃん生徒会長だもんね」
どちらもふざけて、側から見れば生徒会長をおちょくっているようにしか見えなかった。
「あなた達ねぇ」
「いいじゃん、佳奈ちゃん、私たちの仲でしょ? これからハルくんとあれこれするんだし、見逃してよ」
「あなた、実の姉とそんなことをしてるの!?」
「えっ、僕はそんな気一切ないし、そんなことしたことすらないよ」
「優美は、なんで結華と、結華の弟君と一緒にいるのよ?」
「えっと、鎌ヶ谷くんとは、屋上昼食仲間ってだけよ」
屋上昼食仲間という言葉にイマイチ納得がいかないような佳奈だったが、屋上の鍵の開け方を教えた事を思い出して、納得がいったような表情をした。しかし、何故自分がここに来たのかを思い出し、各人をそれぞれの座席に戻らせたのであった。
晴人は自分の席でのんびりとグラウンドを眺めていた。これから始まるのは女子の短距離走のようで、泉がエントリーしている種目である。
晴人は周りの応援でかき消されると思いながらも、声を出して泉を応援した。しかし、泉には、晴人の応援はしっかりと聞こえていた。
泉は先ほどまでキャンプの話を友人達としており、帰りのバスでの一件を思い出し羞恥心から顔を真っ赤にしながら全力で走り、陸上部のエースに続いて2位だった。
「泉さんはすごいな」
晴人はそう小さく呟くと、自分の出る種目である竹取合戦の集合場所へと向かっていった。
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