正反対の僕と彼女~2人の関係の行方~
#1 5.キャンプ~彼女は何でもできて~その2
バーベキューの片付けが終わった頃には時間の遅れもなんとか取り戻して、時間通りにキャンプ場の人主催のオリエンテーションは始まった。
「みなさんには、先程配布したプリントに書かれているミッションをやってもらいます。身体を使うもの、頭を使うものなどあります。協力して他の班よりも多くのポイントを集めてください。ではスタート」
キャンプ場の職員の説明が終わり、オリエンテーションが始まる。どこの班も集まってどこから回るかなどを話し合っている。もちろん晴人の班も例外ではなく、泉を中心にしてどこから回るかなどを話している。
「とりあえず、待機するのは時間の無駄だと思うから反対側から回って行こっか」
「そうだな。その方がポイントは沢山集まりそうだしいいな」
僕は、特に反対意見もなかったし、方向性もまとまってたから口を出さなかった。特に問題があるわけでもないし。
まずやって来たのはバレーボールを落とさずに何回できるかというもの。回数がそのままポイントになるもので、一回だけ練習ができるらしい。全員が一回でもボールに触ることができればさらにポイントが10ポイント入るらしい。
「じゃあ練習いくよー。はーい」
泉から始まって、次は仁というような感じで、続いていく。
「うし、ほれ」
大河くんから僕にパスがくる。誰に返そうかと考える暇もないので、正面の泉さんにそっと返す。
泉の手元にボールがちょうど戻ったタイミングで練習の終了を告げるタイマーが鳴る。
「よし、本番だね。30回くらい目指して頑張ろう」
「「「「「おー」」」」」
練習と同じように運動が苦手な甘木と遠藤のフォローをしながら、パスを回していくが、強い風に煽られてしまい、パスは38回で終わる。全員ボールに触っていたので、48ポイントが1つ目のゲームで手に入った。
「出だしは好調だね、次はあっちにしよっか」
その後も泉のカリスマ性のおかげか、ハイスコアを出していった。クイズには、あからさまに高校生に出す難易度とは思えないようなものから、一般常識的なものまでかなりの種類があったり、班員全員で指示通りに手を繋いで、そのまま人間知恵の輪といったこともやった。
「ついに結果発表だね」
泉は待ち遠しそうに言う。トータルで入ったポイントは173ポイントでクラスの中では1番だった。
「第3位、1組5班。第2位、3組1班。第1位は、8組3班でした。ポイントは1組5班が168ポイント、3組1班が173ポイント、8組3班は179ポイントと接戦でした。先程呼ばれた班の代表の人は前に出て来てください。賞品の授与があります」
惜しくも僕たちの班は2位だったけど、すごく楽しむことができた。班の代表は言うまでもなく泉さんに決まっていた。
「見てー、こんなにお菓子もらったよ」
賞品を受け取って来た泉は、受け取って来た賞品を掲げて言う。班員だけでなくクラスで泉と仲が良い泉の友人たちも彼女の周りに集まって祝いながら、お菓子を分けてもらっている。
班員と、泉さんの友人たちが泉さんの周りに集まるなか、この手の雰囲気が苦手な僕は、木に寄りかかってその輪を眺める。
オリエンテーションの片付けが終われば時間も5時前で、カレー作りの準備が始まった。泉は先ほどのバーベキューでも見せたような包丁捌きで食材を切り揃えていく。他の女子も泉ほどではないが高校生としては十分な包丁捌きで食材を切っていく。
僕は手持ち無沙汰になるのも嫌なので、食器やら調理器具やらを準備したり、火をおこす準備をしながら、女性陣が食材の大半を切り終えるまで時間を潰した。大河くんや、岩見くんと喋ろうとも思ったけれども、2人ともまた中学の頃の友人のところに行ってしまったから、1人でのんびりと作業をした。
「よし、食材切り終わったよ。晴人、火の準備できた?」
「火はついたし、準備できたよ」
作業を終えた晴人は、特に何かする目的があるわけではないが、女子3人に男子1人という状況が落ち着かなくて、少し離れた管理棟の近くに歩いて行った。
「あんた、友達いないの?」
管理棟の前の自動販売機で晴人に声をかけてきたのは、習志野優美だった。
「そういうわけじゃないよ」
「じゃあなんで、昼休みは屋上で1人ご飯を食べてるし、今はカレーを作るっていうキャンプの中でも盛り上がる時も1人離れたところで飲み物を飲んでるし」
「それは習志野さんもじゃない?」
習志野さんも昼休みには、毎日と言っていいほど屋上に来ているし今こうして、少し離れた管理棟の前にいるのだから、友達がいないんじゃないの。
「私は友達いるわよ。あなたはどうなの?」
習志野は少し不満そうに答え、晴人に問う。
「僕もいるよ。ただ昼休みは隣の席のこと仲良い子たちが席使っちゃうし、今は、仕事も特にはないし女子3人の中で1人男で過ごすのもちょっとって思ってここに来たんだよ」
「あなたも大変ね」
習志野と晴人はしばらく話してからそれぞれ自分の班のところに戻っていった。
戻るとカレーのいい感じの匂いが漂っていた。もう少しで完成するらしい。
「ちょうどいいタイミングで戻って来たね。ご飯炊けてるし、もう少しだけ待ってね。カレーも出来上がるから」
僕が戻って来てすぐに、他のところに行っていた班の人達も戻ってきた。どこの班ももう少しで完成するらしい。完成した班の人達も少しはいて、そこの班はもう食べ始めていた。
それから間も無く、カレーの方も完成し、泉を中心に女子が配膳して晴人の班も食事をはじめた。
「うん、おいしい」
「うまいな。いくらでも食えそうだ」
「おいしいね、さすがみりんちゃん」
他の班では、キャンプでのカレーでありがちな水が多くて薄いカレーになっていたりもしたが、晴人の班はそんなことにもならず、おいしいカレーができた。ちなみにみりんちゃんというのは泉凛のあだ名だったりする。
キャンプでのカレーは失敗が多いし不安だったんだけど僕が普段作るよりもおいしいな。作るところを見てた方が良かったかもなあ。
片付けも終わった頃には7時半になっていた。これから10時半までは自由時間となり、その間に管理棟、もしくは各ロッジにある風呂に入っておかなくてはならない。1クラスに振り当てられているロッジは4つで男女2つずつ、出席番号順で分けられている。自由時間は他の班のロッジに行って遊んだりしても問題はない。
「疲れたなぁ。あんまりこういうイベントに慣れてないしなぁ。お風呂はロッジので済ませて寝ようかな」
晴人のロッジの人達は管理棟の風呂に行って、そのまま他のロッジに行くと言って先程ロッジを揃って出ていった。ロッジの狭い風呂に晴人は入ってシャワーだけ浴びると、外の自販機で飲み物を買いに行った。
「あれっ、もしかして晴人?」
自販機の前には晴人と同じように寝間着姿の泉がいた。
「泉さん、こんなところで奇遇だね」
「ほんと、すごい偶然だね。私はお風呂あがりに飲み物買いに来たんだ。晴人は?」
泉は手元にある先程まで来ていた服が入っている袋を見せながら、管理棟の方を指差して言った。
「僕は疲れたからロッジのお風呂でシャワー浴びたら、喉が渇いてね」
晴人は泉の寝間着姿をあまり見ないように気をつけながら言った。
「そっか、お疲れのところ邪魔しちゃ悪いし、私はこれから遊びに行くから。じゃあね」
「あっ、うん」
自販機で飲み物を買った晴人はまた自分のロッジに戻っていった。
「みなさんには、先程配布したプリントに書かれているミッションをやってもらいます。身体を使うもの、頭を使うものなどあります。協力して他の班よりも多くのポイントを集めてください。ではスタート」
キャンプ場の職員の説明が終わり、オリエンテーションが始まる。どこの班も集まってどこから回るかなどを話し合っている。もちろん晴人の班も例外ではなく、泉を中心にしてどこから回るかなどを話している。
「とりあえず、待機するのは時間の無駄だと思うから反対側から回って行こっか」
「そうだな。その方がポイントは沢山集まりそうだしいいな」
僕は、特に反対意見もなかったし、方向性もまとまってたから口を出さなかった。特に問題があるわけでもないし。
まずやって来たのはバレーボールを落とさずに何回できるかというもの。回数がそのままポイントになるもので、一回だけ練習ができるらしい。全員が一回でもボールに触ることができればさらにポイントが10ポイント入るらしい。
「じゃあ練習いくよー。はーい」
泉から始まって、次は仁というような感じで、続いていく。
「うし、ほれ」
大河くんから僕にパスがくる。誰に返そうかと考える暇もないので、正面の泉さんにそっと返す。
泉の手元にボールがちょうど戻ったタイミングで練習の終了を告げるタイマーが鳴る。
「よし、本番だね。30回くらい目指して頑張ろう」
「「「「「おー」」」」」
練習と同じように運動が苦手な甘木と遠藤のフォローをしながら、パスを回していくが、強い風に煽られてしまい、パスは38回で終わる。全員ボールに触っていたので、48ポイントが1つ目のゲームで手に入った。
「出だしは好調だね、次はあっちにしよっか」
その後も泉のカリスマ性のおかげか、ハイスコアを出していった。クイズには、あからさまに高校生に出す難易度とは思えないようなものから、一般常識的なものまでかなりの種類があったり、班員全員で指示通りに手を繋いで、そのまま人間知恵の輪といったこともやった。
「ついに結果発表だね」
泉は待ち遠しそうに言う。トータルで入ったポイントは173ポイントでクラスの中では1番だった。
「第3位、1組5班。第2位、3組1班。第1位は、8組3班でした。ポイントは1組5班が168ポイント、3組1班が173ポイント、8組3班は179ポイントと接戦でした。先程呼ばれた班の代表の人は前に出て来てください。賞品の授与があります」
惜しくも僕たちの班は2位だったけど、すごく楽しむことができた。班の代表は言うまでもなく泉さんに決まっていた。
「見てー、こんなにお菓子もらったよ」
賞品を受け取って来た泉は、受け取って来た賞品を掲げて言う。班員だけでなくクラスで泉と仲が良い泉の友人たちも彼女の周りに集まって祝いながら、お菓子を分けてもらっている。
班員と、泉さんの友人たちが泉さんの周りに集まるなか、この手の雰囲気が苦手な僕は、木に寄りかかってその輪を眺める。
オリエンテーションの片付けが終われば時間も5時前で、カレー作りの準備が始まった。泉は先ほどのバーベキューでも見せたような包丁捌きで食材を切り揃えていく。他の女子も泉ほどではないが高校生としては十分な包丁捌きで食材を切っていく。
僕は手持ち無沙汰になるのも嫌なので、食器やら調理器具やらを準備したり、火をおこす準備をしながら、女性陣が食材の大半を切り終えるまで時間を潰した。大河くんや、岩見くんと喋ろうとも思ったけれども、2人ともまた中学の頃の友人のところに行ってしまったから、1人でのんびりと作業をした。
「よし、食材切り終わったよ。晴人、火の準備できた?」
「火はついたし、準備できたよ」
作業を終えた晴人は、特に何かする目的があるわけではないが、女子3人に男子1人という状況が落ち着かなくて、少し離れた管理棟の近くに歩いて行った。
「あんた、友達いないの?」
管理棟の前の自動販売機で晴人に声をかけてきたのは、習志野優美だった。
「そういうわけじゃないよ」
「じゃあなんで、昼休みは屋上で1人ご飯を食べてるし、今はカレーを作るっていうキャンプの中でも盛り上がる時も1人離れたところで飲み物を飲んでるし」
「それは習志野さんもじゃない?」
習志野さんも昼休みには、毎日と言っていいほど屋上に来ているし今こうして、少し離れた管理棟の前にいるのだから、友達がいないんじゃないの。
「私は友達いるわよ。あなたはどうなの?」
習志野は少し不満そうに答え、晴人に問う。
「僕もいるよ。ただ昼休みは隣の席のこと仲良い子たちが席使っちゃうし、今は、仕事も特にはないし女子3人の中で1人男で過ごすのもちょっとって思ってここに来たんだよ」
「あなたも大変ね」
習志野と晴人はしばらく話してからそれぞれ自分の班のところに戻っていった。
戻るとカレーのいい感じの匂いが漂っていた。もう少しで完成するらしい。
「ちょうどいいタイミングで戻って来たね。ご飯炊けてるし、もう少しだけ待ってね。カレーも出来上がるから」
僕が戻って来てすぐに、他のところに行っていた班の人達も戻ってきた。どこの班ももう少しで完成するらしい。完成した班の人達も少しはいて、そこの班はもう食べ始めていた。
それから間も無く、カレーの方も完成し、泉を中心に女子が配膳して晴人の班も食事をはじめた。
「うん、おいしい」
「うまいな。いくらでも食えそうだ」
「おいしいね、さすがみりんちゃん」
他の班では、キャンプでのカレーでありがちな水が多くて薄いカレーになっていたりもしたが、晴人の班はそんなことにもならず、おいしいカレーができた。ちなみにみりんちゃんというのは泉凛のあだ名だったりする。
キャンプでのカレーは失敗が多いし不安だったんだけど僕が普段作るよりもおいしいな。作るところを見てた方が良かったかもなあ。
片付けも終わった頃には7時半になっていた。これから10時半までは自由時間となり、その間に管理棟、もしくは各ロッジにある風呂に入っておかなくてはならない。1クラスに振り当てられているロッジは4つで男女2つずつ、出席番号順で分けられている。自由時間は他の班のロッジに行って遊んだりしても問題はない。
「疲れたなぁ。あんまりこういうイベントに慣れてないしなぁ。お風呂はロッジので済ませて寝ようかな」
晴人のロッジの人達は管理棟の風呂に行って、そのまま他のロッジに行くと言って先程ロッジを揃って出ていった。ロッジの狭い風呂に晴人は入ってシャワーだけ浴びると、外の自販機で飲み物を買いに行った。
「あれっ、もしかして晴人?」
自販機の前には晴人と同じように寝間着姿の泉がいた。
「泉さん、こんなところで奇遇だね」
「ほんと、すごい偶然だね。私はお風呂あがりに飲み物買いに来たんだ。晴人は?」
泉は手元にある先程まで来ていた服が入っている袋を見せながら、管理棟の方を指差して言った。
「僕は疲れたからロッジのお風呂でシャワー浴びたら、喉が渇いてね」
晴人は泉の寝間着姿をあまり見ないように気をつけながら言った。
「そっか、お疲れのところ邪魔しちゃ悪いし、私はこれから遊びに行くから。じゃあね」
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