話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

正反対の僕と彼女~2人の関係の行方~

梅谷シウア

#1 3.部活動紹介~彼女はやはりというか~

「おはよう、鎌ヶ谷。今日からもう授業だろ、憂鬱だよな月曜って」
 眠気が飛びきってないような声で、挨拶をして来たのは大河仁だった。
「おはよう、大河君。確かに、月曜は嫌だよね。でも今日はまだいいんじゃない? 午後は部活動紹介だしさ。普段なら7時間授業だったよね」
 一応進学校を名乗っている東成瀬高校は、月曜日と水曜日が7時間授業で、週に32時間のカリキュラムが組まれている。
「部活に入ってない上級生は、今日午前授業だろ。羨ましいー」
「部活に入ってる上級生は、忙しいけどね。姉さんも昨日の夜まで準備してたし」
 晴人の姉である結華は、昨夜も遅くまで最終調整と確認をしていた。おかげで寝坊して、弁当当番でない晴人が弁当と、朝食を作る羽目になった。
「えっ、お前姉ちゃん居たんだ」
 仁はものすごく驚いた声を上げる。晴人はまた、驚かれた、と思いながらも説明する。
「ここの3年生で、吹奏楽部だよ。昨日も、昼間は学校行ってたし、夜は楽器の手入れしながら楽譜見てたよ」
 晴人としては、受験生なんだし勉強にも少しくらいは力を入れて欲しいと思うが、結華は音楽でも食べていける程の才能があるので、なんとも言い難い。
「へぇ、お姉さん吹奏楽部なんだ」
 2人の雑談に割って入ってきたのは泉凛だった。
「おぉ、泉さんおはよう」
「おはよう」
 突然会話に割って入って来た泉に驚きながらも仁と晴人は泉に挨拶を返す。
「私も中学の時吹奏楽部だったし、ここでも吹奏楽部に入る予定なんだ。お姉さんによろしくね」
 それだけ言うと、彼女は自分が属するグループの方に鞄を置いてから向かって行った。
「泉さんは可愛いよな。なんというか、少しばかり派手だけど今時っぽくてありだわ」
「確かに可愛いとは思うけど、僕はやっぱり清楚な感じの方が好きだな」
 幼少期から、結華に連れ回されることが多かった晴人は結華の友人を多く知っているが、どの人も清楚系だったし、派手な女子は話しかけづらいと感じていたりする。
「やっぱりお前は清楚好きか」
 仁はどこか呆れた口調でそういう。
「やっぱりってなんだよ。だいたいあんなにキラキラしてたら近づき難いよ」
「少し派手だけども今時で、高嶺の花って気がして最高じゃないか」
 ここからまた、仁による話が始まった。話の軸はずれていき、チャイムが鳴る頃にはよくわからない恋愛シュミレーションゲームのヒロインについて熱く語っていた。
 午前中の授業は、初日ということもあってオリエンテーションだけで、あっという間に終わった。
 そして昼休み、わざわざ中学の頃の友人のところまで食べに行くのはなんだと思い、自分の席で食べようと考えながら教室に戻ってきた晴人。しかし、泉周辺の机は泉と仲が特に良さそうな人たちによって陣取られていた。
 隣の僕の席が空いてるわけないか。
 晴人は席から手早く自分の弁当箱を取り出すと、ほかのクラスで食べる約束をしてるかのように堂々と教室を出た。しかし、いい場所が見つかるわけもなく、中学の頃の友人を訪ねたりしてみた晴人だが、中学の頃の友人たちは購買に行ってしまい、晴人はどこで昼食を取ろうかと廊下を歩き回る。中庭もいいかと思ったがカップル達が使っている。そんな中1人ご飯を食べる勇気なんてあるはずもなかった。
「そういえば、屋上の鍵が開いてるって姉さんが言ってたなー。行ってみよう」
 晴人は自分の教室の前の階段をさらに登り、屋上のドアについている壊れた南京錠を、軽く引っ張って鍵を外し、屋上へのドアをそっと開けた。
 屋上には誰もいなく、風が少し強いがそれ以外は文句のつけようがないほどに快適だった。昼ごはんを食べ終えた晴人は、教室に戻ろうとする。そして、ドアに手をかけた瞬間向こう側から誰かにドアを開けられた。
 驚いた僕は、その場に尻餅をついてそのまま座り込んだ。
「あら、私の他にもここを知ってる新入生があるとは思わなかったわ」
 現れた少女は僕と同じ新入生のようで、どこかで見たような顔つきをしていた。
「えっと、邪魔しちゃ悪いし、僕は教室に戻るから、鍵をよろしくね。それじゃあ」
 晴人はなんとなくだがこの少女と深く関わることは良くないと感じ、足早に屋上を去ろうとする。けれども、少女に晴人を帰す気はないらしく、ドアの前に立ち塞がり、話しかけてくる。
「私は、習志野ならしの美優みゆよ。私の暇つぶしに何か喋ってよ。教室に戻っても面白いことなんてないし」
 習志野、習志野、どっかで聞いた覚えが……そうか、生徒会長が習志野ならしの佳奈かなさんだった気がする。それなら見たことがあるような顔付きなのも分かるし、やっぱりそうなのかな?
「えっと、僕は、鎌ヶ谷晴人です。もしかして、習志野さんって生徒会長さんの妹さんだったりする?」
「ええ、そうよ。私はこの学校の生徒会長の習志野佳奈の妹よ。何か文句でも」
「いや、ないけど。ただ気になったから聞いただけだよ」
 それから、部活動紹介の為に廊下に並ぶ時間のギリギリまで僕は習志野さんの会話相手にさせられてしまった。どうやら習志野さんはお嬢様気質なようで、機嫌を損ねるたびに僕が蹴られた。ついでに言うと、彼女は泉さんとはタイプが違う美少女だった。なんというか、超清楚系みたいな感じだった。
 1年生全員が用意された席について、数分、部活動紹介が始まった。どこぞの流行りの芸人のネタをやるところ、部活の内容を劇にするところ、シンプルに説明をするだけのところ、どの部活動も部員を手に入れる為に頑張っているようだった。
 僕は元々入らない予定だったんだけども、ゆいねえの友達のやっている読書同好会の廃部?廃会?を防ぐ為に読書同好会に入ることになったから、眠気に身を任せる事にした。
 部活動紹介は2時間にもわたって続き、最後に吹奏楽部を残すのみとなった。毎年吹奏楽部の演奏はすごい出来で毎年部活動紹介のトリを務めてたりする。吹奏楽部の演奏が始まると喋っている新入生も口を閉じ、演奏に聴き入った。
 僕は何度か、ゆいねえに連れられて、練習を見にいったことがあるが、その時と同じくらい感動した。音楽が分かる人ならもっと色々と感じるんだろう。
 この演奏に憧れて吹奏楽部には毎年たくさんの新入生が入部するが、練習についていけなくて、年が明けるまでに残っている人数は4割程度になる。
「みなさんどうだったでしょうか、興味がある部活動はありましたか? これで部活動紹介を終わります。そのまま解散してもらって構いません」
 吹奏楽部の演奏が終わると、司会を務めた生徒会副会長の言葉により、部活動紹介は終わり、そこらじゅうから部活動紹介の内容に対する話が始まる。
「晴人、吹奏楽部すごかったね。お姉さんすごいんだね」
 部活動紹介が終わり、人混みの中をかき分けてまで急いで帰る必要のない晴人は体育館の片隅で突然話しかけられた事に驚きながらも、なんとか会話を続けようとする。
「確かに姉さんはすごいよ。音楽でご飯を食べていけるって言われてるし、楽器ならなんでも弾けるから。でも、泉さんもらって吹奏楽部入るんでしょ? なんか練習厳しいらしいけど頑張って次は演奏する側になって見たら?」
 晴人は特に考えるでもなく、思ったことを言った。
「そうだね。頑張って来年は演奏する側で新入生を感動させるよ。じゃあね、また明日」
「うん、じゃあね」
 晴人はようやく人が減ってきた体育館の出入り口にいる泉の友人と泉が合流したのを確認してから、ゆっくりと体育館の出入り口に自分も歩き出した。

「正反対の僕と彼女~2人の関係の行方~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く