正反対の僕と彼女~2人の関係の行方~
#1 2.キャンプの係り決め~彼女はさすがというべきで~
晴人が東成瀬高校に通い始め2日目にして金曜日の朝、晴人は結華と登校していた。
「ゆいねえとまた一緒に学校に行く日が来るとは思わなかったよ」
中学は家が近かったし、それぞれ部活やら委員会で登下校の時間もバラバラだった2人が一緒に登校するのは小学校の頃以来なのだ。初日に通勤ラッシュで失敗をしている晴人としては、姉と登校する事よりも同じ失敗で笑われる事の方がよっぽど恥ずかしいので、結華と共に登校している。
「ところではるくんは、いつからお昼が始まるの? 私今日からなんだけど」
「確か来週からだよ。冷蔵庫の中身も少なくなってたし帰りにでも買い物してくよ」
現在の鎌ヶ谷家には海外から月毎に仕送りが来ているのだが、そこまで多くもないので2人のお昼ご飯は交代で作る手作り弁当なのだ。
「今日はもしかしたら、帰り遅くなるかも。明日の部活紹介の準備もあるし」
「うん、分かった」
そんな朝の会話をしているうちに電車は学校の最寄り駅に着き、駅を出て学校への道を進んでいくと、東成瀬の制服を着た生徒もちらほらと見えてきた。
「おっ、晴人じゃん。おっはよーって、女の先輩といるし」
朝から元気に声をかけてきたのは、昨日から席が隣になった泉だった。まさか晴人が女子に話しかけられると思わなかった、結華は少し不機嫌そうに、晴人に問う。
「はるくん、この人誰?」
「隣の席の泉さんだよ」
結華は、まるで浮気の証拠を見つけ夫を問いつめるような様子で、声を低くし晴人に問ったものだから晴人も泉も結華に軽く恐怖を覚えた。しかし、彼女がただのクラスメイトだと分かると、結華は1人別の昇降口にかけていった。
「さっきの先輩は? 随分と親しげだったけど」
「ねえさんだよ。両親が海外転勤してるから今は2人で暮らしてるんだよ」
「へぇー、お姉さんいるんだ。なんか意外」
朝からクラスメイトと喋りながら教室に向かう事は晴人にとっては新鮮な体験だった。小、中学校の時は姉が教室まで送ってくれたり、委員会や、部活で遅刻間際に教室に滑り込む事が多かったからため、クラスメイトと朝から喋る事なんて無かったからだ。
会話をしながら歩いてみれば5階の教室までの距離というのは短いもので、あっという間に教室に着いていた。
教室に入った後は特に会話もなく、彼女の周りにはクラスメイトが集まり、隣の席の僕は特になにをするでもなく、内ポケットに入れてある文庫本を読む事にした。
「えーっと、鎌ヶ谷だっけ? なに読んでるんだ?」
呑気に晴人に話しかけてきたのは前の席の大河仁だった。
「大河くん?だよね。中学の頃からの友達から読めって押し付けられたライトノベルだけど」
「へぇー。お前もそういうの読むんだ、因みに俺のおすすめは色々あるけどなぁ」
仁は見た目こそモテそうなイケメンだが、中身は残念な人種なのだ。コミュニケーション能力はそこそこにあるので、女子からはもうそこそこに人気が出ていた。今はおすすめのライトノベルをいくつも挙げている。結局、担任が来るまでずっと仁のおすすめラノベとアニメの話は続いた。
今日の授業もHRだけでキャンプについて色々と決めるらしい。もっとも班は出席番号順だが。
「じゃあ班ごとに集まって役割分担とかしてさっき配った紙にまとめておいてくれ」
前の学年で、班決めを生徒に任せたらトラブルが起きたから今年からは出席番号順らしい。
「なんか決めることってあるの? 大体みんなでやればいいと思わない?」
やっぱりこういうところで進んで、決めようとしてくれるのはコミュニケーション能力がある人達で、どこのグループにも1人はいるのかどこも順調に進んでいるようだった。
「おーい、晴人そんなに他の班が良かったの?」
他の班の様子を見ていた晴人に、冗談めかしながら泉が声をかけた。
「いや、そういうわけじゃないけど」
「じゃあ他の班見てないで、こっちの話し合いに参加してよ」
ちなみにこのグループのまとめ役は当たり前ながら泉さんだった。
「晴人は残り物の火の管理でいい?」
「えっ、あぁ、いいけど。もう決まったんだ」
「どうせ名前だけ置いておくだけだしね」
なら確認する必要はあるんだろうか? 一応この班の人たちと役割を確認しておくと調理は甘木さん、泉さん、遠藤さん、片付けは岩見君、大河君、火の管理は僕だった。
東成瀬高校のキャンプは毎年近くのキャンプ場で1泊するのだが、レクリエーションなどもキャンプ場の人達が用意していたりして、就寝以外は班での行動がメインになる。
どこの班も決まって来たらしく、昨日の帰り際には形成されていたグループ同士で集まって喋ら始めクラス内がうるさくなって来た頃には授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、グループの分担を書いた紙を提出したグループから放課後になる。
「よし、全班提出したな。最後のやつら戸締りは任せたぞ」
担任はそう言い残して、教室から出て行った。
「僕も帰るか。今なら部活の勧誘もしてないし」
2、3年生は今日から授業があるらしく、部活の勧誘がない日なのだ。もっとも授業がなかったところで月曜日の部活動紹介の最終確認をするだろうから今日はないだろうが。
クラスの中は未だに騒がしく、泉を中心としたグループには他のクラスの生徒もかなり混じって来て、教室に居づらくなった晴人は急ぎ足で教室を出た。
「ゆいねえとまた一緒に学校に行く日が来るとは思わなかったよ」
中学は家が近かったし、それぞれ部活やら委員会で登下校の時間もバラバラだった2人が一緒に登校するのは小学校の頃以来なのだ。初日に通勤ラッシュで失敗をしている晴人としては、姉と登校する事よりも同じ失敗で笑われる事の方がよっぽど恥ずかしいので、結華と共に登校している。
「ところではるくんは、いつからお昼が始まるの? 私今日からなんだけど」
「確か来週からだよ。冷蔵庫の中身も少なくなってたし帰りにでも買い物してくよ」
現在の鎌ヶ谷家には海外から月毎に仕送りが来ているのだが、そこまで多くもないので2人のお昼ご飯は交代で作る手作り弁当なのだ。
「今日はもしかしたら、帰り遅くなるかも。明日の部活紹介の準備もあるし」
「うん、分かった」
そんな朝の会話をしているうちに電車は学校の最寄り駅に着き、駅を出て学校への道を進んでいくと、東成瀬の制服を着た生徒もちらほらと見えてきた。
「おっ、晴人じゃん。おっはよーって、女の先輩といるし」
朝から元気に声をかけてきたのは、昨日から席が隣になった泉だった。まさか晴人が女子に話しかけられると思わなかった、結華は少し不機嫌そうに、晴人に問う。
「はるくん、この人誰?」
「隣の席の泉さんだよ」
結華は、まるで浮気の証拠を見つけ夫を問いつめるような様子で、声を低くし晴人に問ったものだから晴人も泉も結華に軽く恐怖を覚えた。しかし、彼女がただのクラスメイトだと分かると、結華は1人別の昇降口にかけていった。
「さっきの先輩は? 随分と親しげだったけど」
「ねえさんだよ。両親が海外転勤してるから今は2人で暮らしてるんだよ」
「へぇー、お姉さんいるんだ。なんか意外」
朝からクラスメイトと喋りながら教室に向かう事は晴人にとっては新鮮な体験だった。小、中学校の時は姉が教室まで送ってくれたり、委員会や、部活で遅刻間際に教室に滑り込む事が多かったからため、クラスメイトと朝から喋る事なんて無かったからだ。
会話をしながら歩いてみれば5階の教室までの距離というのは短いもので、あっという間に教室に着いていた。
教室に入った後は特に会話もなく、彼女の周りにはクラスメイトが集まり、隣の席の僕は特になにをするでもなく、内ポケットに入れてある文庫本を読む事にした。
「えーっと、鎌ヶ谷だっけ? なに読んでるんだ?」
呑気に晴人に話しかけてきたのは前の席の大河仁だった。
「大河くん?だよね。中学の頃からの友達から読めって押し付けられたライトノベルだけど」
「へぇー。お前もそういうの読むんだ、因みに俺のおすすめは色々あるけどなぁ」
仁は見た目こそモテそうなイケメンだが、中身は残念な人種なのだ。コミュニケーション能力はそこそこにあるので、女子からはもうそこそこに人気が出ていた。今はおすすめのライトノベルをいくつも挙げている。結局、担任が来るまでずっと仁のおすすめラノベとアニメの話は続いた。
今日の授業もHRだけでキャンプについて色々と決めるらしい。もっとも班は出席番号順だが。
「じゃあ班ごとに集まって役割分担とかしてさっき配った紙にまとめておいてくれ」
前の学年で、班決めを生徒に任せたらトラブルが起きたから今年からは出席番号順らしい。
「なんか決めることってあるの? 大体みんなでやればいいと思わない?」
やっぱりこういうところで進んで、決めようとしてくれるのはコミュニケーション能力がある人達で、どこのグループにも1人はいるのかどこも順調に進んでいるようだった。
「おーい、晴人そんなに他の班が良かったの?」
他の班の様子を見ていた晴人に、冗談めかしながら泉が声をかけた。
「いや、そういうわけじゃないけど」
「じゃあ他の班見てないで、こっちの話し合いに参加してよ」
ちなみにこのグループのまとめ役は当たり前ながら泉さんだった。
「晴人は残り物の火の管理でいい?」
「えっ、あぁ、いいけど。もう決まったんだ」
「どうせ名前だけ置いておくだけだしね」
なら確認する必要はあるんだろうか? 一応この班の人たちと役割を確認しておくと調理は甘木さん、泉さん、遠藤さん、片付けは岩見君、大河君、火の管理は僕だった。
東成瀬高校のキャンプは毎年近くのキャンプ場で1泊するのだが、レクリエーションなどもキャンプ場の人達が用意していたりして、就寝以外は班での行動がメインになる。
どこの班も決まって来たらしく、昨日の帰り際には形成されていたグループ同士で集まって喋ら始めクラス内がうるさくなって来た頃には授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、グループの分担を書いた紙を提出したグループから放課後になる。
「よし、全班提出したな。最後のやつら戸締りは任せたぞ」
担任はそう言い残して、教室から出て行った。
「僕も帰るか。今なら部活の勧誘もしてないし」
2、3年生は今日から授業があるらしく、部活の勧誘がない日なのだ。もっとも授業がなかったところで月曜日の部活動紹介の最終確認をするだろうから今日はないだろうが。
クラスの中は未だに騒がしく、泉を中心としたグループには他のクラスの生徒もかなり混じって来て、教室に居づらくなった晴人は急ぎ足で教室を出た。
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