異世界に転生したので楽しく過ごすようです

十六夜 九十九

第124話 魔王様が現れるようです

 帝都を追われるかたちで出てきた俺達。追われるのは自業自得だがな。

「私はこれでお別れだ。また会う事を楽しみにしていよう。……特に君と会う事を」

 エルシャさん自身が言ったように、ここでエルシャさんとはお別れである。

 エルシャさんには、勇者の件を国王に報告するという大事な任務があるからな。仕方の無いことだ。

「では、皆また会おう」

 エルシャさんは一人で王国に向けて歩き出した。

 寂しいか寂しくないかで言ったら、そりゃ寂しい。でも、この世界にいる限りまたどこかで会えるだろうし、前向きに行こう。

 俺達は去っていくエルシャさんの背中を長い間見つめていた。

「で、これからどうするつもりなのかしら?」

 エルシャさんか小さくなってきた頃、ジュリがそう尋ねてきた。

 帝都を出て真っ先に思い浮かべるのはやっぱりそこだよなぁ。さっきまで作戦の事しか考えてなかったから、帝都を出てからのことなんて何にも計画立ててないしな。

「……まずはどこかの街でフェイを冒険者ギルドに登録したいな。あとはレベル上げくらいか?」

 目下で大きな問題なのは勇者の件。小さな問題としては金がない。まぁそこはクエストをこなせば何とかなるし、レベルを上げる為にも討伐クエスト系がいいだろうしな。

 となればやはりギルドに行くしかない。

「分かったわ。じゃあこの近くの街を探しましょうか」

 とりあえずはそういう事になって、西に向かって歩き始める。

「歩くのはいいんだが、今どこに向かってるんだ?」

「そんなの知らないわよ」

「……なんて無責任な」

「こっちの方向だったら聖国行きかな?」

 フェイがちゃんと答えてくれたようで良かった。帝都から聖国に向けて歩いたら西向きになるし、ちゃんと西に向かって歩いてるみたいだ。

 それに聖国方面なら、勇者達の件について途中の街で話を聞けるかもしれない。

「聖国ってどんな所なのー?」

 ゼロがそんな疑問を口にした。

「ふっふっふっ!私が教えてしんぜよう!」

 どこからか取り出したメガネをかけて偉そうな態度を取る女神。

 こいつはこれでかっこいいと思ってるから手に負えん。

「聖国とは、聖都ファルクスを中心とする国であり、教会の本部がある事で有名!そして、聖国は王政でありながら、教皇に一部、政策に関わる権利を与えている珍しい国なのだ!ちなみに、聖都は教会の本部があるだけあって、とても綺麗だよ!」

「んー?」

「とりあえず変なところって覚えればいいよ!」

「分かったー!女神先生ありがとー!」

「はい、どういたしましてー」

 割りと真面目に答えてて反応に困る。ボケてくれればなんか色々出来たのに。

「でも、最近は教皇派、それも過激派の方が力を持ち始めて雰囲気悪いらしいよ」

 女神が最後に付け加えた一言については、大体の予想はつく。過激派筆頭は教皇自身だろうし。

 それに巻き込まれたのが勇者達なのだろう。ほんとに迷惑な事である。

「その話を聞く限りだと、聖国の中では色々注意しておいた方が良さそうね」

 そこまでで真面目な会話が途切れ、各々が話の花を咲かせる。

 いつも通りの風景だな。まぁ俺がハブられてるのもいつも通り。

 な、泣いてなんかないし!女の子同士の会話に入るのがはばかられるだけだし!

 まあいいさ。一人で時間を潰せばいいだけだし。さて、なにをしようかね……。

 あ、そうだ。色々スキル追加されたし、フェイも仲間になったことだ、ステータスを確認してみるか!

 ステータス!

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Lv.90
HP:14000
MP:8500

【魔法】
炎魔法・火炎魔法・水魔法・土魔法・風魔法・闇魔法・光魔法・結界魔法・雷魔法・氷魔法・時空魔法・回復魔法・浄化魔法・復活魔法

【創作魔法】
嵐魔法

【スキル】

〖生活補助系スキル〗
言語理解・創造・マジックボックス・鑑定・念話・マップ・聞き耳・整体師・千里眼・触手・推理・対話・料理上手・遠隔操作・予知予測・催眠術

〖戦闘補助系スキル〗
威圧・炎無効・自己再生・衝撃無効・完全感知・以心伝心・共有・状態異常耐性・魔力転化・硬化・超硬化・重量操作・衝撃波・魔法継承・スキル封印・思考加速・スキル削除・思考破棄・痛覚遮断・思考解読・衝撃吸収・並列思考・分身・スキル継承・空中浮遊・飛行

〖身体強化系スキル〗
筋力強化・筋力強化大・筋力強化極・俊敏強化・俊敏強化大・俊敏強化極

〖攻撃強化系スキル〗
剣聖・剣術・物理威力増加・物理威力増加大・物理威力増加極・拳王・拳聖

【称号】
巻き込まれ体質
女神の寵愛を受けた者
ロリっ子に好かれる体質
竜殺し
守護者
武道会優勝者
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 おっ、レベルがちょっとだけ上がってる。それ以外はスキルに、催眠術、空中浮遊、飛行が追加されたくらいで、あんまり変化はなかったな。

 じゃあ次行ってみよう!

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マウスネコ
Lv.32
HP:4100
MP:1050

【魔法】
結界魔法・守護魔法・回復魔法

【スキル】

〖生活補助系スキル〗
魅惑・聞き耳・夜目

〖戦闘補助系スキル〗
感知・無音・毒牙・吸収

〖身体強化系スキル〗
俊敏強化・俊敏強化大

【称号】
伝説の魔物の子
従魔【シロ】
魔力を取り込むもの
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 ん?吸収ってなんだ?新しい称号もあるからそれと合わせて考えると、魔力を吸収するっていう感じだと思うのだが……。

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〔吸収〕
他者の魔力を取り込むことが出来る。

〔魔力を取り込むもの〕
他者の魔力を体内に取り込んだ者に与えられる称号。持久力が上がる。
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 ……俺が忘れててもパッシブ発動の創造というスキルはさすがだぜ。

 それは置いといて、シロが吸収できるようになったのって、俺にずっとくっついてたからかもしれんな。

 無意識に俺の魔力を吸ってたから、吸収のスキルが手に入った感じだと思う。

 さて、シロの変更はこれくらいだな。次行ってみよう!

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フェイリス・ファン・バンギス
Lv.40
HP:7000
MP:1000

【魔法】
炎魔法・水魔法・土魔法

【スキル】

〖生活補助系スキル〗
聞き耳・夜目・家事上手・礼儀作法

〖戦闘補助系スキル〗
獣化・剛爪・体術・鋭敏・無音・先読み・状態異常耐性

〖身体強化系スキル〗
筋力強化・俊敏強化・俊敏強化大・俊敏強化極・ブースト

〖攻撃強化系スキル〗
物理威力増加

【称号】
天性の才能を持つもの
帝王の娘
乙女
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 ……強くね?近接特化型だけど強くね?

 前にフェイを追いかけたことあるけど、追いつけなかった理由が分かった気がする。

 さて、知らないスキルと称号を確認してみよう。

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〔獣化〕
獣の姿に変化することが出来るようになる。人間時よりも身体能力が上がる。

〔剛爪〕
爪が硬くなる。

〔体術〕
体の運びや、動かし方が上手くなる。

〔鋭敏〕
五感が鋭くなる。

〔先読み〕
攻撃の一歩先が読める。

〔ブースト〕
一と二の段階があり、それぞれステータスが上がる。

〔天性の才能を持つもの〕
生まれ持って才能がある者に与えられる称号。全ステータスが増加する。
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 うわぁ……これは引くだろ。どうみてもただのチートだぞ。本人はこれ知ってるのか?後で聞いてみよう。

 それじゃ、残りの皆も一気に見てみよう!

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ゼロ
Lv.50
HP:5500
MP:8500

【魔法】
炎魔法・火炎魔法・水魔法・氷魔法・土魔法・樹木魔法・風魔法・暴風魔法・闇魔法・光魔法・結界魔法・封印魔法・浄化魔法・生活魔法・雷魔法・時空魔法・回復魔法・蘇生魔法

【スキル】

〖生活補助系スキル〗
念話

〖戦闘補助系スキル〗
魔物化・硬化・粘性・擬態・変形・奪取・強奪・魔力転化・物理無効・魔法耐性・無詠唱・状態異常耐性・感知

〖身体強化系スキル〗
魔力増加・魔力増加大

〖攻撃強化系スキル〗
魔法威力増加・剣技・剣術

【称号】
スライムの枠を超えたスライム
魔物化【古のスライム】
乙女
覚醒者
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レン
Lv.55
HP:5500
MP:9000

【魔法】
全魔法

【スキル】

〖生活補助系スキル〗
言語理解・鑑定・念話・マップ

〖戦闘補助系スキル〗
魔物化・硬化・軟化・魔力転化・飛行・状態異常無効・自己再生

〖身体強化系スキル〗
魔力増加・魔力増加大

〖攻撃強化系スキル〗
剣術・剣技・魔法威力増加

【称号】
武器の枠を超えた武器
魔物化【インテリジェンスウェポン希少種】
魔法を統べるもの
乙女
覚醒者
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リン
Lv.55
HP:7500
MP:8000

【魔法】
全魔法

【スキル】

〖生活補助系スキル〗
言語理解・念話・千里眼

〖戦闘補助系スキル〗
魔物化・硬化・軟化・魔力転化・飛行・感知・状態異常無効・自己再生

〖身体強化系スキル〗
魔力増加・魔力増加大

〖攻撃強化系スキル〗
槍術・槍技・魔法威力増加

【称号】
武器の枠を超えた武器
魔法を統べるもの
覚醒者
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ミル・ラ・ハルストル
Lv.68
HP:6500
MP:14000

【魔法】
炎魔法・火炎魔法・水魔法・氷魔法・土魔法・樹木魔法・風魔法・暴風魔法・闇魔法・深淵魔法・奈落魔法・光魔法・結界魔法・封印魔法・支援魔法・生活魔法・雷魔法・回復魔法・蘇生魔法

【スキル】

〖生活補助系スキル〗
念話・千里眼

〖戦闘補助系スキル〗
魔力転化・無詠唱・状態異常耐性・索敵・隠密・暗器使い・ドレイン・予知予測

〖身体強化系スキル〗
魔力増加・魔力増加大・魔力増加極

〖攻撃強化系スキル〗
魔法威力増加・魔法威力増加大・剣技・剣術

【称号】
魔力に愛されしもの
魔王の娘
乙女
覚醒者
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ジュリエット・ファン・グランザム
Lv.60
HP:8500
MP:11500

【魔法】
炎魔法・火炎魔法・水魔法・氷魔法・土魔法・樹木魔法・風魔法・暴風魔法・光魔法・聖光魔法・極光魔法・支援魔法・結界魔法・守護魔法・封印魔法・浄化魔法・生活魔法・召喚魔法・精霊魔法・回復魔法・蘇生魔法

【スキル】

〖生活補助系スキル〗
言語理解・鑑定・念話・看破・対話・未来予知・交渉術・料理上手・家事上手・礼儀作法

〖戦闘補助系スキル〗
思考解読・祝福・無詠唱・罠感知

〖身体強化系スキル〗
魔力増加・魔力増加大・魔力増加極

〖攻撃強化系スキル〗
魔法威力増加・支援効果増加・支援効果増加大・剣技・剣術

【称号】
支援魔法の使い手
精霊に愛されしもの
国王の娘
乙女
覚醒者

【召喚魔】
ギリング〖ギャングベアー〗
キャリー〖ギャングベアー〗
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 ジュリ以外はレベルが上がっただけで変化はなしっていう感じだな。

 ジュリに関しては一度話した、召喚魔という戦力を得ている。召喚魔とかちょっと羨ましい。

 ……ふぅ。これで一通り皆のステータスは確認したかな。

 俺は、皆のステータスのチートさを改めて確認したせいで頭が痛くなってきた。

 チートがいけないとは言わないが、自重を知らないみたいで、この世界はチートで満ちている。インフレし過ぎて怖い。

 そうして、皆のステータスを確認したところで、俺達の上空から影を落としてきた人がいた。

「やっと見つけた……!」

 上空にいたその人は俺達の前に降り立ち、焦っている様子でそう言った。

「パパッ」

 その人の正体は魔王様であった。その人が魔王様であったからミルはパパと呼んだのだ。

「ミル、再開を喜びたいのだが今はそれどころではないんだ」

「何かあった?」

 その質問に対して、魔王様の口から出た答えは俺達に深く関わりがあるものだった。

「勇者達が、1ヶ月近く前に聖都に行ったきり帰ってこないんだ……。君達で何か知っていることはないかい?」

 そして、魔王様の質問に答えるように、俺達は勇者に関する全てを話すことに決めたのだった。

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