異世界に転生したので楽しく過ごすようです
第107話 まさかの事態になるようです
輪の中に入ったフェイは瞬きをするのを忘れる程に緊張しているみたいだった。
そんなフェイに真っ先に話しかけたのは意外なことにミルだった。
「あなたからはあたしと同じ匂いがする。今歳いくつ?」
「わ、私二十歳でしゅ!……あうぅ……」
「やっぱり」
ミルは新たな仲間を見つけたようで、うんうん頷いて居る。
噛み噛みのフェイは恥ずかしそうにしているが、そのせいもあって、さっきからゼロがくねくねしている。どうやらフェイが可愛くて仕方がないみたいだ。
まぁ確かに十歳くらいの子が噛み噛みで恥ずかしそうにしたら可愛いしな。しかも元々可愛い子なら尚更だ。
するとジュリが呆れたように頭を抑えながら呟く。
「何故あの人の周りにはこういう子ばかり集まるのかしら……」
いやーそれは俺も知りたい!俺としては意図せずして集まるもんだからどうしようもないしな!
するとフェイがジュリの呟きに疑問を持ったようで、勇気をだして質問をするようだ。
「あ、あの!こういう子って言うのはどういう……」
最初は良かったが段々尻すぼみしていった。しかし自分から問いかけたという自信には繋がるだろう。
ジュリはそういうのを分かっているようで優しく答えてあげている。
「私達もあなたと一緒で、歳と見た目が違うのよ。ちなみに私は十八歳」
ジュリって見た目は中学生くらいだけど十八歳だったのか。でもその歳ってこの世界に来てからだよな。転生前と合わせるとどうなるんだ?
……俺、ジュリの転生前を知らなかったわ。いつか聞いてみよう。
そんな事を考えていたら、ミルが二人の話を聞いていたみたいで、ミルも歳を言いはじめた。
「あたしは十六歳」
ミルの歳も初めて知ったな。というか全員の歳を知らないな俺。
するとレンとリンが会話に入ってきて、二人も歳を言う。
「私達の年齢は大体三十歳前後かと思われます」
「でもレンちゃん、人間としての年齢だったらまだ零歳だよ?」
武器としては出来て三十年、だが人となったのはつい最近。
だが事情も知らない人が聞いたら頭がおかしいんじゃないかって疑うレベル。
「わたしは五十年くらい生きてるよー!」
ゼロがフェイに抱きつきながらそんな事を言い始める。抱きつかれたフェイは目が点になっている。
しかしゼロは五十歳か……。一番精神年齢低そうなのに、一番実年齢が高いってどういうこっちゃ。
すると恥ずかしそうしながら、エルシャさんも会話に参加する。
「わ、私は二十五歳だ。も、もうそろそろ相手を見つけないと生き遅れてしまう……チラッ……」
こっちを見ても貰ってあげれませんよ。他のいい人を見つけてください。
ちなみにエルシャさんは見た目と年齢がほぼ一致する人だ。もしかしたら格好良くて大人の女性みたいに見られて、少し上で見られる事もあるかもしれんな。
そうして歳を言っていないのは女神だけとなった。女神はその空気を読んだようで、口を開く。
「私の歳は……ヒ・ミ・ツ・!」
人差し指を口に当てて片目を瞑る女神にイラッとした俺はすかさず女神の頭に拳骨を食らわす。
「ったー!いきなりぶたないでよ!ぶつときは一言言ってからにしてよね!」
「じゃあぶつぞ」
「はい、どうぞ!とでも言うと思ってるの!ばっかじゃない!」
またまたイラッとした俺は女神の頭にグリグリをする。
「あうわあうわ!や、やめてー!いたっいたい!ごめ、ごめんなさい!許して!」
女神の謝罪にとりあえず応じてグリグリをやめる。
そんな俺と女神のやり取りを見て、フェイが笑っていた。割と緊張がほぐれてきたみたいだな。
そして皆の年齢を聞いたフェイが、緊張もせずリラックスした状態で話を始める。
「皆さんも私と同じなんですね。半分くらいは何言ってるのか分からなかったけど、仲間がいるって分かったのが良かったです」
今話に出てきたのは元々魔物だったり、現在女神だったりする人の事だろうな。
だが、フェイの人見知りもほとんど見られなくなったしこれはこれでいいだろう。
それからは、フェイとの間で話に花が咲き、食事の終わりまで話し込んでいた。
俺は、途中でフェルトが話に参加して、一人になって寂しそうにしていたレオンの元に行き、これからフェルトとどうするのか聞いてみた。
答えは分からないだったが、前向きに考えると言っていた。
まぁフェルトの事だレオンを逃しはしないだろうな。心配せずとも二人はくっつくさ。
そうして色々知る事ができた食事会が終わり、皆と部屋に戻ろうとしたら、俺だけ帝王様とフェアリア様に呼び止められた。
「えっと、どうかしたんですか?」
俺が何を話されるのかドキドキしていると、フェアリア様が答えてくれた。
「あの子……フェイと結婚してみませんか?」
「…………え?」
「フェイと結婚を……」
「いや、大丈夫です。ちゃんと聞こえてます。しかし……」
結婚って言ったらあれだよな。俺が既に一回したやつ。
「なんだ、お前はフェイと結婚したくはないのか。なら結婚しなくてもいいぞ!」
「あなたは娘を嫁がせたくないだけでしょ。ここは娘の成長を願うのが親ってものよ」
「むぅ。確かにそうなんだが……」
何故俺はこんな状況に……?
というか一日で話が飛びすぎでしょ。数時間前にあったばかりの人と結婚と…か……?
あれ……?ジュリの時も同じ状況だったような気がしなくもないんだが。
「それでどうですか?」
「あの、俺一応既婚者なんですが……」
「そうなのですか……。ちなみにどの方と?」
「私のパーティ内にいるジュリと言う女性です。本名はジュリエットと言いまして、王国の王女です」
これで諦めてくれるといいのだが……。
「なるほど、これは負けていられませんね……。ぜひフェイとも結婚を!」
「いやいや!言っている意味がよくわからないのですが!」
「結婚の一つや二つ変わりません!フェイとの結婚を認めてくれないなら私死にます!」
な、なんだってー!
「待て!それは私が困る!フェアリア落ち着くんだ。まずは深呼吸から」
「すぅー、はぁー。……大丈夫、落ち着きました」
フェアリア様は興奮すると人が変わったようになりますね……。帝王様も苦労をなされているようだ。
「フェアリア、しっかり説明しなければ納得も何もないぞ。私としてはこの縁談が破棄になればいいと思っているが」
「もうあなたはいつも娘娘なんだから!……でもあなたの言う通りね」
勝手に話が進んでいるのはいつもの事だから良しとして、事が事なのだが。
実際、今俺は王国の王子なわけなのだが、もしフェイと結婚してしまった場合、帝国の王子になるというわけで。
そういうのってダメじゃないの?どうなの?
「すいません、取り乱したりして。しっかり説明させていただきます」
「はぁ……?」
「今回、あなたはフェイを仲間に旅をして下さることになりましたね?ここで一つ問題が発生するのです。王族は城から出歩く場合、特別な事情がない限り、家族を一人同伴させるというものです」
なんとめんどくさい決まりがあるんだ。
「これに従って、フェイを旅に出すともう一人旅に出さなければなりません。フェルトにはまだ旅は早いでしょうし、私達はもう旅をする気力はありません」
ふむふむ。まぁ決まりに関しては納得がいかんが、それ以外は納得だな。
「ならば家族を作ればいい、という結論に至りました」
「はいそこぉ!諦めるという選択肢もあったでしょ!」
「私達は帝国の王族だ!決して諦めることはしません!諦めるくらいなら腹を切る!」
なんという暴論。
「そういう事なのでどうか結婚をしてくださいませんか。形だけでもいいので」
むぅ。あんな決まりがあるなら仕方がないのかもしれんが……。
「フェイには了承を……」
「得ています」
結構食い気味に来たぞ。ホントに了承得ているのか心配になってきた。
「じゃ、じゃあ、一晩考えさせて貰って……」
「あぁ、もしこの場で答えが聞けなかったら、心労で死んでしまいそう……チラッ」
「も、もしそんな事になったら地の果てまでもお前を追って殺してやる!……チラッ」
あんた達結託しているのがバレバレだよ……。
はぁ……。しょうがない。なるようになれだ。
「分かりました。結婚させていただきます」
「あなたやったわ!これでこの国も安泰よ!」
「ちっ!破棄すれば良かったものを!」
「そんな事言わないの。この人はフェルトを倒す程の猛者なんだからこの国に置いておかないと!……はっ!」
なるほどなるほど。そういう意味があったのか。
「え、えーっと、その今のはあれですあれ。分かるでしょ?」
あれと言われても俺には分かりませんよ……。
だがまあ俺がやられるだけなのは癪なので、言い返しておくか。
「俺は一度言ったことは曲げたくないので結婚はさせていただきますが、いつかさっきの言葉を俺にではなく、フェイに向けさせてやりますよ。では結婚の内容などが決まりましたら、また俺をお呼びください。……失礼します」
今言ったのは嘘じゃなく俺の本音。いつかフェイも強くなって帰ってこれるだろう。その時の二人の顔が見てみたいぜ!
俺はそんな事を考えながら、皆の所に戻った。
……あ、そう言えば王子の件……。まぁいいやどうとでもなるだろうし放っておこう。
そうしてフェイとの結婚が決まったのだった。
そんなフェイに真っ先に話しかけたのは意外なことにミルだった。
「あなたからはあたしと同じ匂いがする。今歳いくつ?」
「わ、私二十歳でしゅ!……あうぅ……」
「やっぱり」
ミルは新たな仲間を見つけたようで、うんうん頷いて居る。
噛み噛みのフェイは恥ずかしそうにしているが、そのせいもあって、さっきからゼロがくねくねしている。どうやらフェイが可愛くて仕方がないみたいだ。
まぁ確かに十歳くらいの子が噛み噛みで恥ずかしそうにしたら可愛いしな。しかも元々可愛い子なら尚更だ。
するとジュリが呆れたように頭を抑えながら呟く。
「何故あの人の周りにはこういう子ばかり集まるのかしら……」
いやーそれは俺も知りたい!俺としては意図せずして集まるもんだからどうしようもないしな!
するとフェイがジュリの呟きに疑問を持ったようで、勇気をだして質問をするようだ。
「あ、あの!こういう子って言うのはどういう……」
最初は良かったが段々尻すぼみしていった。しかし自分から問いかけたという自信には繋がるだろう。
ジュリはそういうのを分かっているようで優しく答えてあげている。
「私達もあなたと一緒で、歳と見た目が違うのよ。ちなみに私は十八歳」
ジュリって見た目は中学生くらいだけど十八歳だったのか。でもその歳ってこの世界に来てからだよな。転生前と合わせるとどうなるんだ?
……俺、ジュリの転生前を知らなかったわ。いつか聞いてみよう。
そんな事を考えていたら、ミルが二人の話を聞いていたみたいで、ミルも歳を言いはじめた。
「あたしは十六歳」
ミルの歳も初めて知ったな。というか全員の歳を知らないな俺。
するとレンとリンが会話に入ってきて、二人も歳を言う。
「私達の年齢は大体三十歳前後かと思われます」
「でもレンちゃん、人間としての年齢だったらまだ零歳だよ?」
武器としては出来て三十年、だが人となったのはつい最近。
だが事情も知らない人が聞いたら頭がおかしいんじゃないかって疑うレベル。
「わたしは五十年くらい生きてるよー!」
ゼロがフェイに抱きつきながらそんな事を言い始める。抱きつかれたフェイは目が点になっている。
しかしゼロは五十歳か……。一番精神年齢低そうなのに、一番実年齢が高いってどういうこっちゃ。
すると恥ずかしそうしながら、エルシャさんも会話に参加する。
「わ、私は二十五歳だ。も、もうそろそろ相手を見つけないと生き遅れてしまう……チラッ……」
こっちを見ても貰ってあげれませんよ。他のいい人を見つけてください。
ちなみにエルシャさんは見た目と年齢がほぼ一致する人だ。もしかしたら格好良くて大人の女性みたいに見られて、少し上で見られる事もあるかもしれんな。
そうして歳を言っていないのは女神だけとなった。女神はその空気を読んだようで、口を開く。
「私の歳は……ヒ・ミ・ツ・!」
人差し指を口に当てて片目を瞑る女神にイラッとした俺はすかさず女神の頭に拳骨を食らわす。
「ったー!いきなりぶたないでよ!ぶつときは一言言ってからにしてよね!」
「じゃあぶつぞ」
「はい、どうぞ!とでも言うと思ってるの!ばっかじゃない!」
またまたイラッとした俺は女神の頭にグリグリをする。
「あうわあうわ!や、やめてー!いたっいたい!ごめ、ごめんなさい!許して!」
女神の謝罪にとりあえず応じてグリグリをやめる。
そんな俺と女神のやり取りを見て、フェイが笑っていた。割と緊張がほぐれてきたみたいだな。
そして皆の年齢を聞いたフェイが、緊張もせずリラックスした状態で話を始める。
「皆さんも私と同じなんですね。半分くらいは何言ってるのか分からなかったけど、仲間がいるって分かったのが良かったです」
今話に出てきたのは元々魔物だったり、現在女神だったりする人の事だろうな。
だが、フェイの人見知りもほとんど見られなくなったしこれはこれでいいだろう。
それからは、フェイとの間で話に花が咲き、食事の終わりまで話し込んでいた。
俺は、途中でフェルトが話に参加して、一人になって寂しそうにしていたレオンの元に行き、これからフェルトとどうするのか聞いてみた。
答えは分からないだったが、前向きに考えると言っていた。
まぁフェルトの事だレオンを逃しはしないだろうな。心配せずとも二人はくっつくさ。
そうして色々知る事ができた食事会が終わり、皆と部屋に戻ろうとしたら、俺だけ帝王様とフェアリア様に呼び止められた。
「えっと、どうかしたんですか?」
俺が何を話されるのかドキドキしていると、フェアリア様が答えてくれた。
「あの子……フェイと結婚してみませんか?」
「…………え?」
「フェイと結婚を……」
「いや、大丈夫です。ちゃんと聞こえてます。しかし……」
結婚って言ったらあれだよな。俺が既に一回したやつ。
「なんだ、お前はフェイと結婚したくはないのか。なら結婚しなくてもいいぞ!」
「あなたは娘を嫁がせたくないだけでしょ。ここは娘の成長を願うのが親ってものよ」
「むぅ。確かにそうなんだが……」
何故俺はこんな状況に……?
というか一日で話が飛びすぎでしょ。数時間前にあったばかりの人と結婚と…か……?
あれ……?ジュリの時も同じ状況だったような気がしなくもないんだが。
「それでどうですか?」
「あの、俺一応既婚者なんですが……」
「そうなのですか……。ちなみにどの方と?」
「私のパーティ内にいるジュリと言う女性です。本名はジュリエットと言いまして、王国の王女です」
これで諦めてくれるといいのだが……。
「なるほど、これは負けていられませんね……。ぜひフェイとも結婚を!」
「いやいや!言っている意味がよくわからないのですが!」
「結婚の一つや二つ変わりません!フェイとの結婚を認めてくれないなら私死にます!」
な、なんだってー!
「待て!それは私が困る!フェアリア落ち着くんだ。まずは深呼吸から」
「すぅー、はぁー。……大丈夫、落ち着きました」
フェアリア様は興奮すると人が変わったようになりますね……。帝王様も苦労をなされているようだ。
「フェアリア、しっかり説明しなければ納得も何もないぞ。私としてはこの縁談が破棄になればいいと思っているが」
「もうあなたはいつも娘娘なんだから!……でもあなたの言う通りね」
勝手に話が進んでいるのはいつもの事だから良しとして、事が事なのだが。
実際、今俺は王国の王子なわけなのだが、もしフェイと結婚してしまった場合、帝国の王子になるというわけで。
そういうのってダメじゃないの?どうなの?
「すいません、取り乱したりして。しっかり説明させていただきます」
「はぁ……?」
「今回、あなたはフェイを仲間に旅をして下さることになりましたね?ここで一つ問題が発生するのです。王族は城から出歩く場合、特別な事情がない限り、家族を一人同伴させるというものです」
なんとめんどくさい決まりがあるんだ。
「これに従って、フェイを旅に出すともう一人旅に出さなければなりません。フェルトにはまだ旅は早いでしょうし、私達はもう旅をする気力はありません」
ふむふむ。まぁ決まりに関しては納得がいかんが、それ以外は納得だな。
「ならば家族を作ればいい、という結論に至りました」
「はいそこぉ!諦めるという選択肢もあったでしょ!」
「私達は帝国の王族だ!決して諦めることはしません!諦めるくらいなら腹を切る!」
なんという暴論。
「そういう事なのでどうか結婚をしてくださいませんか。形だけでもいいので」
むぅ。あんな決まりがあるなら仕方がないのかもしれんが……。
「フェイには了承を……」
「得ています」
結構食い気味に来たぞ。ホントに了承得ているのか心配になってきた。
「じゃ、じゃあ、一晩考えさせて貰って……」
「あぁ、もしこの場で答えが聞けなかったら、心労で死んでしまいそう……チラッ」
「も、もしそんな事になったら地の果てまでもお前を追って殺してやる!……チラッ」
あんた達結託しているのがバレバレだよ……。
はぁ……。しょうがない。なるようになれだ。
「分かりました。結婚させていただきます」
「あなたやったわ!これでこの国も安泰よ!」
「ちっ!破棄すれば良かったものを!」
「そんな事言わないの。この人はフェルトを倒す程の猛者なんだからこの国に置いておかないと!……はっ!」
なるほどなるほど。そういう意味があったのか。
「え、えーっと、その今のはあれですあれ。分かるでしょ?」
あれと言われても俺には分かりませんよ……。
だがまあ俺がやられるだけなのは癪なので、言い返しておくか。
「俺は一度言ったことは曲げたくないので結婚はさせていただきますが、いつかさっきの言葉を俺にではなく、フェイに向けさせてやりますよ。では結婚の内容などが決まりましたら、また俺をお呼びください。……失礼します」
今言ったのは嘘じゃなく俺の本音。いつかフェイも強くなって帰ってこれるだろう。その時の二人の顔が見てみたいぜ!
俺はそんな事を考えながら、皆の所に戻った。
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神無木雷兎
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ノベルバユーザー147608
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