異世界に転生したので楽しく過ごすようです
第96話 ミニゲームが開催されるようです
白熱した決勝戦が終わり、気絶しているフェルトと全身ボロボロで動くことが出来ない俺は救護室へと運ばれた。
いくら自己再生があると言っても、再生が追いつかなければ俺でも大怪我はするしな。
実際、タクマと戦った時も腕が飛んでったし。あれ痛かったなぁ。小学校の時に教室を走り回ってて机の角で股間を強打した時より痛かった。
男ならわかるはず、股間を強打した時の内蔵を直接殴られる程の激痛。というか直接殴られてるんだけどな。
俺が動けずに本当にくだらないことを考えていると、救護室の外からフェルトの名を呼んでいる人がいた。
「フェルトー!大丈夫かー!怪我してないかー!もし駄目そうならいい医者を呼ぶぞ!」
んー、この溺愛っぷりは絶対あの人だ。間違いない。
俺が頭の中でその人を思い浮かべて面倒くさく思っていると、救護室の扉が開かれた。
「フェルト!フェルトはどこだ!どこにいる!?」
やっぱりか……。俺が思った通り帝王だった。
全く、帝王なら救護室では静かにっていうルールを守って欲しいね。
「フェラリオン様、フェルトならそっちですよ」
「ん?おおっ、お前か。お前には言いたい事が山ほどあるがまずはフェルトだ!フェルトはこっちなんだな!」
「え、えぇまあ」
あまりの親バカに引くわ。子供を持つようになれば俺でもこうなるんだろうか……?
……はっ!今、昨日の子供を作るとかいう場面が頭を横切ってしまった。……当分は子供いらないな。
「フェルト……!目を覚ましてくれフェルト……!」
フェルトと対面した帝王様はフェルトに呼びかける。
「フェルト……?目が……覚め…ない……?まさか……フェルト?フェルトォォォ!!」
おぉう……なんかすごいことになってるな。帝王様、涙まで流してるよ。
「お父さんうるさい!!耳元で叫ぶのやめて!」
「ふぅ。やっと起きたか。フェルトを起こすのはいつも苦労するぞ」
えっ、帝王様?さっきのは全て演技でいらっしゃるのですか?俺は開いた口が塞がらないです。
ただまあフェルトはその帝王様のおかげで目を覚ましたようだ。
「いてて、頭にたんこぶ出来ちゃってる」
「なんだと!?どこだ見せてみろ!お父さんが今すぐ医者を!」
「そんなことしなくていいから!たんこぶくらい自然に治るし!もう、あっちいってて!」
なんだろう、俺この二人に親バカな父と思春期真っ盛りの女子高校生のやり取りを見た気がする。
帝王様なんてしょんぼりしながらフェルトの言うこと聞いて、フェルトの元から離れて行ってるしな。
帝王様は俺の前までトボトボといった感じで来て、いきなり俺を鬼の形相で睨んで指をさしてきた。
「お前のせいでフェルトに嫌われてしまったではないか!どうしてくれる!」
なんという言いがかりをしてくるんだこの人は。
「これはもう死刑だ!私が即刻お前を打ち首にしてやる!!」
帝王様は腰に提げている剣に手をかけ始める。
マジか!この人本気じゃん!
「いや、何を言ってるんですか!全部帝王様がフェルトに構いすぎたせいですよ!」
「う、うるさい!私が言ったことが正しいのだ!」
ただのごねてる子供じゃねえか!俺そんなので死にたくない。
「それにフェルトを呼び捨てにするな!フェルトは女王だぞ!身分をわきまえろ!」
あー、確かにな。……まてよ?俺ってジュリと結婚してるから王子って事になってたよな?だったら別に呼び捨てしても問題なくね?
「あのー、俺、一応王子なんですけど……」
「嘘をつくな!見苦しいぞ!大人しく私に殺されろ!」
まあ、分かりきった反応だけどそこまでいうことはないよな。
帝王様は遂に剣を抜き、頭の上で今にも振り下ろしそうな状態になった。動けない俺は何も出来ない。
嗚呼、俺はここで死んでしまうんだろうか……。まあまあ楽しい人生だったよ。俺の儚い人生にグッバイ……!
「その人の言うことは本当よ。だからその剣を収めて下さらない?」
俺が死ぬ覚悟を冗談めかして決めた時、救護室の扉の方から声がかかった。
そこにはジュリを始めとした俺の仲間がいた。
「お、お前ら!俺を助けに来てくれたのか!」
「はぁ、あなたはどうしてこう騒動を引き起こすのかしら……」
それは俺ではなく女神に言ってくれ。女神のせいでこうなって俺も苦労してるし。
「ちょっと待たれ、こいつが王子という事は嘘ではないのか?」
帝王様は本当に嘘だって思ってたのか。まあ俺の見てくれは王子とは程遠いしな。嘘だって思われても仕方ないか……。
「私、王国の女王。私、結婚。その人、夫。オッケー?」
「お、おけー?」
「ちっ、英語が分からないか……!」
帝王様はいきなりの英語に戸惑いながらも、とりあえず同じように返事を返した。
だがジュリよ。英語を分かれっていうのは無理だろ。
「最後の"おけー"というのは分からなかったがそのほかは分かった。……お前、本当に王子だったのか。もう少しで殺してしまうところだったではないか。もっとちゃんと訴えてこなければいけないぞ」
えっ?俺が怒られるの?
「もし私があのままお前を殺していたら国と国の戦争になっていたところだ。危なかったな」
そりゃあ怒られるわ!俺、何も考えてなかったもん!ジュリ、良いタイミングで来てくれた事に感謝するぞ!
……ちょっと待て、そう言えばジュリは帝王様を止めた時になんて言った?確か"その人の言うことは本当よ"だったな。
ジュリはなぜ俺が言った事を知っているのだろうか。まさかとは思うがずっと見ていて笑っていたとか……?
「ジュリ、お前が俺と帝王様の会話どこから聞いてたか教えてもらおうか」
「確か"フェラリオン様、フェルトならそっちですよ"だったかしら?」
「お前それ一番最初じゃねぇか!何故すぐに入ってこない!」
「待ってた方がなんか面白くなる気がしたからかしらね」
俺の予想は的中。多分皆はジュリにそそのかされて出てこなかったんだ!
「一応言っておくけど、私皆には何も言ってないわよ。ただ心の声はしっかり聞いたわ。何か面白くなりそうっていう声を」
「嘘つけ!皆がそんな事思うわけないだろ!な、皆!」
俺は皆が頷いてくれる信じて、全員を見回す。
するとどうだろう。皆が皆、俺と目を合わせようとしない。
えっ、嘘だろ……。嘘って言ってくれよ……。なあ、嘘っていってくれよおぉぉ!!
「ふふん、残念ね。私は嘘を付いていないのよ」
「皆、仲間だと思ってたのに裏切られた気分だ……」
「別に裏切ってはないわよ。ちゃんと助けに入ったじゃない」
「もう少し早く来ていれば助けるも何もなかったんだがな……!」
「……それはそうと体は大丈夫なの?」
こいつ都合が悪くなったからってサラッと流しやがった!
「マスター痛そうにしてたのー……」
「俺は大丈夫だ。ほれこの通り、もう治ってきてる」
俺はまだ立つことは出来ないが、折れた腕は動かせるようにはなったので、それを見せた。
するとフェルトがこっちにやってきた。
「そんな様子じゃどっちが勝ったかなんて分からないね」
フェルトは頭にたんこぶ、俺は全身に怪我。これだけ見れば俺が負けたみたいに見える。
「フェルト!頭のたんこぶはもう大丈夫なのか……!」
「お父さん!たんこぶくらいでそんなに騒がないで!恥ずかしいから!」
帝王様は相変わらず親バカしているようだ。
「ジュリ、フェルトのたんこぶを治してやってくれ」
「そんなのお安い御用よ。……ヒール!」
ジュリ嬉しそうだなぁ。別に言わなくてもいい術名まで唱えてるし。だが、仕事はちゃんとやっててたんこぶも治ったようだ。
たんこぶが治ったことに、フェルトよりも帝王様が喜んでいるのは正直引いたがな。
「そういえばもうそろそろではないか?」
エルシャさんがいきなりそんな事を言い始めた。すると会場全域に司会者の声が響く。
「只今より、予選敗退者の方が参加できるミニゲームを開催します!!ルールは簡単!リング上にある片手で持てるほどの箱を一斉に取りに行き最後に持っていた人の勝利!制限時間は一時間!このミニゲームは救護室以外の会場全域がバトルフィールドとなっています!」
これはもしかしてあれか?勇者を引きつけるための作戦とかいうやつ。
「勝利した方にはなんと願い事を一つ叶えてもらう権利が与えられます!!皆さん頑張ってください!」
急に企画したにしては楽しそうなミニゲームだな。俺も参加したいくらいだ。
「それでは、ミニゲームスタートです!」
「「「うおぉぉおお!!」」」
ミニゲーム開始と共に、男達の野太い声が会場中に響き渡った。
いくら自己再生があると言っても、再生が追いつかなければ俺でも大怪我はするしな。
実際、タクマと戦った時も腕が飛んでったし。あれ痛かったなぁ。小学校の時に教室を走り回ってて机の角で股間を強打した時より痛かった。
男ならわかるはず、股間を強打した時の内蔵を直接殴られる程の激痛。というか直接殴られてるんだけどな。
俺が動けずに本当にくだらないことを考えていると、救護室の外からフェルトの名を呼んでいる人がいた。
「フェルトー!大丈夫かー!怪我してないかー!もし駄目そうならいい医者を呼ぶぞ!」
んー、この溺愛っぷりは絶対あの人だ。間違いない。
俺が頭の中でその人を思い浮かべて面倒くさく思っていると、救護室の扉が開かれた。
「フェルト!フェルトはどこだ!どこにいる!?」
やっぱりか……。俺が思った通り帝王だった。
全く、帝王なら救護室では静かにっていうルールを守って欲しいね。
「フェラリオン様、フェルトならそっちですよ」
「ん?おおっ、お前か。お前には言いたい事が山ほどあるがまずはフェルトだ!フェルトはこっちなんだな!」
「え、えぇまあ」
あまりの親バカに引くわ。子供を持つようになれば俺でもこうなるんだろうか……?
……はっ!今、昨日の子供を作るとかいう場面が頭を横切ってしまった。……当分は子供いらないな。
「フェルト……!目を覚ましてくれフェルト……!」
フェルトと対面した帝王様はフェルトに呼びかける。
「フェルト……?目が……覚め…ない……?まさか……フェルト?フェルトォォォ!!」
おぉう……なんかすごいことになってるな。帝王様、涙まで流してるよ。
「お父さんうるさい!!耳元で叫ぶのやめて!」
「ふぅ。やっと起きたか。フェルトを起こすのはいつも苦労するぞ」
えっ、帝王様?さっきのは全て演技でいらっしゃるのですか?俺は開いた口が塞がらないです。
ただまあフェルトはその帝王様のおかげで目を覚ましたようだ。
「いてて、頭にたんこぶ出来ちゃってる」
「なんだと!?どこだ見せてみろ!お父さんが今すぐ医者を!」
「そんなことしなくていいから!たんこぶくらい自然に治るし!もう、あっちいってて!」
なんだろう、俺この二人に親バカな父と思春期真っ盛りの女子高校生のやり取りを見た気がする。
帝王様なんてしょんぼりしながらフェルトの言うこと聞いて、フェルトの元から離れて行ってるしな。
帝王様は俺の前までトボトボといった感じで来て、いきなり俺を鬼の形相で睨んで指をさしてきた。
「お前のせいでフェルトに嫌われてしまったではないか!どうしてくれる!」
なんという言いがかりをしてくるんだこの人は。
「これはもう死刑だ!私が即刻お前を打ち首にしてやる!!」
帝王様は腰に提げている剣に手をかけ始める。
マジか!この人本気じゃん!
「いや、何を言ってるんですか!全部帝王様がフェルトに構いすぎたせいですよ!」
「う、うるさい!私が言ったことが正しいのだ!」
ただのごねてる子供じゃねえか!俺そんなので死にたくない。
「それにフェルトを呼び捨てにするな!フェルトは女王だぞ!身分をわきまえろ!」
あー、確かにな。……まてよ?俺ってジュリと結婚してるから王子って事になってたよな?だったら別に呼び捨てしても問題なくね?
「あのー、俺、一応王子なんですけど……」
「嘘をつくな!見苦しいぞ!大人しく私に殺されろ!」
まあ、分かりきった反応だけどそこまでいうことはないよな。
帝王様は遂に剣を抜き、頭の上で今にも振り下ろしそうな状態になった。動けない俺は何も出来ない。
嗚呼、俺はここで死んでしまうんだろうか……。まあまあ楽しい人生だったよ。俺の儚い人生にグッバイ……!
「その人の言うことは本当よ。だからその剣を収めて下さらない?」
俺が死ぬ覚悟を冗談めかして決めた時、救護室の扉の方から声がかかった。
そこにはジュリを始めとした俺の仲間がいた。
「お、お前ら!俺を助けに来てくれたのか!」
「はぁ、あなたはどうしてこう騒動を引き起こすのかしら……」
それは俺ではなく女神に言ってくれ。女神のせいでこうなって俺も苦労してるし。
「ちょっと待たれ、こいつが王子という事は嘘ではないのか?」
帝王様は本当に嘘だって思ってたのか。まあ俺の見てくれは王子とは程遠いしな。嘘だって思われても仕方ないか……。
「私、王国の女王。私、結婚。その人、夫。オッケー?」
「お、おけー?」
「ちっ、英語が分からないか……!」
帝王様はいきなりの英語に戸惑いながらも、とりあえず同じように返事を返した。
だがジュリよ。英語を分かれっていうのは無理だろ。
「最後の"おけー"というのは分からなかったがそのほかは分かった。……お前、本当に王子だったのか。もう少しで殺してしまうところだったではないか。もっとちゃんと訴えてこなければいけないぞ」
えっ?俺が怒られるの?
「もし私があのままお前を殺していたら国と国の戦争になっていたところだ。危なかったな」
そりゃあ怒られるわ!俺、何も考えてなかったもん!ジュリ、良いタイミングで来てくれた事に感謝するぞ!
……ちょっと待て、そう言えばジュリは帝王様を止めた時になんて言った?確か"その人の言うことは本当よ"だったな。
ジュリはなぜ俺が言った事を知っているのだろうか。まさかとは思うがずっと見ていて笑っていたとか……?
「ジュリ、お前が俺と帝王様の会話どこから聞いてたか教えてもらおうか」
「確か"フェラリオン様、フェルトならそっちですよ"だったかしら?」
「お前それ一番最初じゃねぇか!何故すぐに入ってこない!」
「待ってた方がなんか面白くなる気がしたからかしらね」
俺の予想は的中。多分皆はジュリにそそのかされて出てこなかったんだ!
「一応言っておくけど、私皆には何も言ってないわよ。ただ心の声はしっかり聞いたわ。何か面白くなりそうっていう声を」
「嘘つけ!皆がそんな事思うわけないだろ!な、皆!」
俺は皆が頷いてくれる信じて、全員を見回す。
するとどうだろう。皆が皆、俺と目を合わせようとしない。
えっ、嘘だろ……。嘘って言ってくれよ……。なあ、嘘っていってくれよおぉぉ!!
「ふふん、残念ね。私は嘘を付いていないのよ」
「皆、仲間だと思ってたのに裏切られた気分だ……」
「別に裏切ってはないわよ。ちゃんと助けに入ったじゃない」
「もう少し早く来ていれば助けるも何もなかったんだがな……!」
「……それはそうと体は大丈夫なの?」
こいつ都合が悪くなったからってサラッと流しやがった!
「マスター痛そうにしてたのー……」
「俺は大丈夫だ。ほれこの通り、もう治ってきてる」
俺はまだ立つことは出来ないが、折れた腕は動かせるようにはなったので、それを見せた。
するとフェルトがこっちにやってきた。
「そんな様子じゃどっちが勝ったかなんて分からないね」
フェルトは頭にたんこぶ、俺は全身に怪我。これだけ見れば俺が負けたみたいに見える。
「フェルト!頭のたんこぶはもう大丈夫なのか……!」
「お父さん!たんこぶくらいでそんなに騒がないで!恥ずかしいから!」
帝王様は相変わらず親バカしているようだ。
「ジュリ、フェルトのたんこぶを治してやってくれ」
「そんなのお安い御用よ。……ヒール!」
ジュリ嬉しそうだなぁ。別に言わなくてもいい術名まで唱えてるし。だが、仕事はちゃんとやっててたんこぶも治ったようだ。
たんこぶが治ったことに、フェルトよりも帝王様が喜んでいるのは正直引いたがな。
「そういえばもうそろそろではないか?」
エルシャさんがいきなりそんな事を言い始めた。すると会場全域に司会者の声が響く。
「只今より、予選敗退者の方が参加できるミニゲームを開催します!!ルールは簡単!リング上にある片手で持てるほどの箱を一斉に取りに行き最後に持っていた人の勝利!制限時間は一時間!このミニゲームは救護室以外の会場全域がバトルフィールドとなっています!」
これはもしかしてあれか?勇者を引きつけるための作戦とかいうやつ。
「勝利した方にはなんと願い事を一つ叶えてもらう権利が与えられます!!皆さん頑張ってください!」
急に企画したにしては楽しそうなミニゲームだな。俺も参加したいくらいだ。
「それでは、ミニゲームスタートです!」
「「「うおぉぉおお!!」」」
ミニゲーム開始と共に、男達の野太い声が会場中に響き渡った。
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