異世界に転生したので楽しく過ごすようです

十六夜 九十九

第24話 槍ちゃんを研ぐようです

 宿屋に戻ってきた俺達。

 さっそく昼ごはんの準備を始める。

「ごっはん!ごっはん!」

 ゼロは上機嫌だ。ミルはゼロのように声を出しているわけではないが上機嫌である。

 おっと、忘れてはいけない。槍ちゃんを研いであげなければ。

『今から研いでやるからな』

『おう!』

 俺はマジックシャーピングを取り出す。

 今回はレンの時のようにゼロに頼むことはしないでいい。触手のスキルを使えば、1人で出来るからな。

「よし、準備出来たな」

『それじゃ始めるぞ』

『待ってました!』

 触手でマジックシャーピングを抑えながら魔力を流し、俺自身の手は槍ちゃんを持って先端を研ぐ。

 すると槍ちゃんが光を放ち始める。

 うん。成功した。これを見るのは3度目か?もう見慣れた光景になってきてる俺がいるな。

 昼ごはんの準備をしていたみんなも手を止めて槍ちゃんの方を見ていた。

 少しずつ光が収まっていく。

 完全に光が収まった時、そこにあったのは研ぐ前の槍と完全に別物の槍だった。

 槍の先は細身で、全体が黒く光っているように見える。また、柄の部分にはレンと同じような龍の紋が刻まれて、多色に渡る宝石のようなものがみえる。

 レンと同じだな。まぁその方が俺はうれしいからいいんだけどね。

『気分はどうだ?』

『自分じゃよく分からない』

『そういえばレンも似たようなこと言ったな』

 俺にはどういう仕組みでこんなことになってるのか分からんし、あまり気にするとなんか負けたような気がするからいいや。

『そういえば人化は出来るのか?』

『お、出来るみたいだ』

『それじゃ人化して一緒に昼ごはん食べるか』

『ほ、ほんと!?』

 ああ、やっと素が出たよ。素の方が素直ないい子でいいと思うんだけどなぁ。

『本当だとも。ほら早く人化しないと先に食べるぞ?』

『うん!』

 槍ちゃんが人化をする。

 槍ちゃんの人化した姿はレンと瓜二つだった。違うところといえば、目と髪の色くらいだろうか?周りから見たら双子だと思われるだろう。

 しかし、レンと全く同じということはどういう事かお分かりだろうか。そう、ロリっ子なのである。

 どうして俺の周りにはロリっ子しか集まらんのだ。1番背の高いジュリですらロリっ子とか呼ばれるんだぜ?

「おおー!レンにそっくりー!」

「たしかにそうね!」

「レンちゃんと一緒がよかったから…」

「好きなの?」

「うん。レンちゃんカッコいいから」

「主様の方がもっとカッコいいと思ってるんじゃないですか?」

「~~ッ!」

「あら照れちゃって可愛い子。」

「かわいいー!」

「よーし!みんな仲良くやれてるみたいだな!今日からこの子はリンだ。みんなもよろしくやってくれな」

「うん!」「はい」「ん」「わかったわ!」

 槍ちゃんの名前はリンにした。前から決めてた事だったし、レンと双子みたいな姿をしてるからちょうどいいだろう。

「もし名前が嫌だって言うなら言ってくれよ?」

「ううん!いい名前をありがと!」

《インテリジェンスウェポンが従魔になりました》

 従魔になったようだ。また登録しに行かねば。

「そうか。なら良かった。じゃあみんなで昼ごはん食べるか!」

 俺はみんなが準備した皿の上にドラゴン肉のステーキを置いていく。マジックボックスは中に入れていれば時間が進まないみたいなので、このステーキは出来たてだ。

 ステーキから漂う鼻腔をくすぐる香ばしい匂い。そしてじわっと溢れてくる肉汁。見るからにうまそうだ。

「みんなー席についたなー?それじゃ、いただきます!」

「「「「「いただきます!」」」」」

 俺達はドラゴン肉を頬張る。

 あぁ。いつ食べても美味しいぃ。最初はどかっと肉を食べている感じがするのに、飲み込んでしまうとそれが嘘だったかのようにさっぱりするのだ。箸が進むのは当然だろう。

 初めて食べ物を食べるリンはあまりの美味しさに昇天しそうになっていた。そんなリンを世話するレンを見ていたら本当に双子の姉妹にみえた。微笑ましい限りである。

 ちなみにゼロとミルはステーキにがっついて食べていました。どんだけ食べるの好きなんだよ。

 意外だったのがジュリ。おしとやかに食べていた。なんか貴族みたいに見える。

『私は王女よ?こんなの当たり前よ』

『そういえばジュリって王女だったな。全然そんな感じしなくて忘れてたわ』

『あら?それはもう夫婦になった気でいるのかしら?』

『そんなことねぇよ!さっきのは皮肉だよ!』

 やれやれ。ジュリと話すと疲れるわ。主にツッコミで。

 それからも和気藹々とお昼の時間が過ぎていく。

 昼ごはんを食べ終わった後、みんなは部屋でくつろいでいた。

 ゼロとミルはなんかふたりでくんずほぐれつしている。まぁ楽しそうにしてるしいいだろう。

 レンとリンの方はリンがマジックボックスにいた間に何があったかをレンが教えていた。話を聞いているリンの目が凄く輝いていた。もう少し早く出してあげればよかったかもな。

 ジュリは食後のティータイムだ。どうやら美味しいものを食べた後はティータイムをしたいらしい。

 ちなみに俺は日向ぼっこをしている。いい感じにぬくぬくして気持ちがいいんだなこれ。心が安らぐぞ。

 あ、そういえば。リンのステータスを確認してこおうかな。

 それじゃあ、ステータス!

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インテリジェンスウェポン
Lv.55
HP:5000
MP:5000

【魔法】
全魔法

【スキル】
人化・硬化・軟化・魔力転化・念話・飛行・言語理解・感知・千里眼・槍術・状態異常無効・自己再生

【称号】
造られし武器
魔法を統べるもの
従魔【リン】
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 んー。レンとあんまり変わらないな。変わったところといえば感知と千里眼と槍術くらいだな。

 まぁ俺が2人とも作ったみたいなものだし、似るのは仕方がないことなのか?

 まぁいいか。スキルの確認だな。

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〔感知〕
索敵よりも広範囲で敵の感知をすることが出来る。
〔槍術〕
槍の扱いが上手くなる。
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 まぁ大体想像していた通りだな。

 今後はレンと一緒に頑張って貰うことにしよう。

「ねぇマスター?」

「おう、どうした?」

「今日もふにふにしてくれる?」

「今日はしません!あれは週に1回くらいにしてください!」

「えー…」

「あんまりがっかりしないでいいのよ。その代わりにその1回はとても気持ちが良くなるふにふにをしてくれるわよきっと」

「そうなの?なら我慢する!」

 ジュリナイス!

「ねぇ?ふにふにってなんなの?」

 おっと、ここにふにふにをしてないのがいたな。

「凄く気持ちのいい事ですよ」

「あれしてもらうと立てなくなるの!」

 ミルとジュリは昨日のことを思い出したのか少し顔が赤くなってるな。

「1週間後に分かるので楽しみにしているといいですよ?」

「分かった!楽しみに待ってる!」

 おや?口実をつけて逃げようと思ったのにうまく行かないぞ?創造さん働いてないですよ?

 …はっ!俺の深層心理ではふにふにをしたいと思っているのか!?

 ……いや、ないな。あれは俺にしたら拷問に等しいからな。

『へぇ?拷問ねぇ。なんで拷問に等しいのかな?ほら言ってみなさいな?』

『う、うるさい!人の思考を読むんじゃない!』

『はーい。すいませんでしたー』

 ジュリのやつ分かってるくせに聞きてきたな…。ほんとに思考読めるって最強だと思います。

 その後はみんな色々な事をして、1日終わった。

 明日は式典と結婚式があるのだ。心配事もあるが頑張るしかないな。

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