異世界に転生したので楽しく過ごすようです

十六夜 九十九

第9話 討伐隊のようです

 俺がエルシャさんに話をしてから1時間ほどたった。

 今、北門の方にはドラゴンの討伐隊が続々と集まってきている。

 ちなみにこの街はダルダナンといって、王都に1番近いらしい。今出てきた王都の話は時間がないのでまた今度にしよう。

 このダルダナンの街には北門と南門の2つの門がある。北門は森に近く俺とゼロが逃げてきた時に真っ先に入ってきた門だ。南門は王都に向かっていて、主に行商人が使っている。

 俺はこの北門で討伐隊が来るのをゼロとレンと遊びながら待っていた。

 ゼロが変形を使って作った形がどんなものか当てるゲームをしたり、レンの人化した時の姿を変えたり、そんなことをして遊んだ。

 ゼロの変形は擬態も応用していたようで、色が付いていた。椅子や机、ギルドカードなんてものにまで変形していて、器用なことをするなと感心した。

 レンに関しては人化する時に女性になるのは変えられないらしいので、体格とか、年齢とかそこら辺を少し変えてもらう事にした。歳は12歳位にして、俺の女性版みたいにしてもらった。

 べ、べつにロリコンってわけじゃないぞ!そ、そっちの方が兄妹みたいに見られるだろうから楽だと思っただけだし!それだけだし!

 と、まぁこんなことをして遊んでいた。

 ドラゴンの討伐隊の人達はやはりというか、オーラが違う。初日に俺に絡んできた3人は明らかに弱そうだったのだが、ここに集まっている人達は歴戦の戦士のように見えるな。

『マスター?』

『ん?どうした?』

『ドラゴン討伐ならマスターだけでも大丈夫じゃないのー?』

『お前達がそう言ってくれるのは嬉しいんだが、万が一ってこともあるからな』

 レベル5だし万が一が起こらない方がおかしいんだけどね?

『主様は心配しすぎだと思われますが…』

『そ、そうか?でも今回は俺の力量を測る意味もあるからな?俺は無理をするのは良くないと思うんだよ、うん』

『なるほど。そんな事を考えていたのですね』

『ま、まぁな!』

 なんかすごく買い被られた様な気がしなくもないが大丈夫だと思っておこう。

「お、おい!あれ見ろよ!Aランクパーティ牛若丸だぞ!」

 不意にそんな声が聞こえた。

 というか牛若丸ってなんだよ。なんで日本の歴史に出てくるような名前がここで出るんだよ。

「こ、こっちは最近Aランクパーティになって波に乗ってるって言われてる片翼の翼だぞ!」

 ……片翼の翼って、頭痛が痛いと同じ感じがするんだが。大丈夫なの?まぁ波に乗ってるって言うし強いんだろう。

 するとそこに完全武装したエルシャさんがきた。

「あ、あれはギルドマスターの完全武装!?こんな所で鬼人が見られるのか!?」

 鬼人?なんだそれ?

 同じく分からなかった人がいたようでなぜ鬼人なのか聞いている。俺も聞きたい。

《聞き耳を獲得しました》

 まさかこんな所で聞き耳を獲得するとは……。これってただの盗み聞きだよね。

 獲得したものはしょうがない。有効活用するだけさ。

 俺は聞き耳をたてる。

「鬼人ってなんなんだ?」

「そうかお前知らないのか。ギルドマスターはな最年少でSSランクになった人だ。その戦いはまさに鬼。どんな相手にも一歩も引かず、むしろ強敵には自分から挑んでいくような人だ。それを見たやつらがいつからか鬼人と呼び始めそれが浸透してったんだ」

「なるほどな。それで鬼人って呼ばれてるのか」

 ただの戦闘狂じゃねぇか!自分から強いやつ倒してったらそりゃ強くなりますわ。

 ちなみにエルシャさんが持っている武器は槍だ。かなりいいものであることがわかる。ギルドにいた時は剣だったはずなんだがな。剣は護身用か何かだったのだろうか?

 防具は槍を扱うためだろうか?全体的に軽めになっている。エルシャさんの実力が気になるところだ。

「諸君!!準備は出来たか!!!」

 エルシャさんが討伐隊のみんなに問う。

「「「「おっす!!!」」」」

「今から森で暴れているドラゴンの討伐に向かう!!各自魔物に注意しながら森へ向かえ!!森に着き次第指示を出す!!!」

「「「「おっす!!!」」」」

 森へは各自で行くことになるのか。まぁ団体で行ってもめんどくさいだけだしいいか。

 ちなみに俺はゼロを頭の上に乗せ、レンを腰に携えている。防具なんていいものはないが、レンに合わせて黒い服を来ている。見てくれは駆け出し冒険者ってとこか。

 俺も森に向かおうとした時、声をかけられた。

「ちょっと君!待ってくれ!」

「なんですか?」

「俺は牛若丸のリーダーをしているトミーというものなんだが、君のランクをおしえてくれないか?」

「Dですけど」

「Dなら住民達を護るように言われてるよ」

「そうですね。まぁ言いたいことはわかりますよ」

「だ、だったら……」

「討伐隊には自分からドラゴンの情報と引き換えに討伐隊に入りたいとギルドマスターに頼んだので心配無用ですよ」

「し、しかしその格好では……」

「死んだ時は自己責任って言われてるので。実際俺も死んだ時はその時だと思ってるんで」

「そ、そうか。ならいいが…」

 俺はトミーとの会話を終わらせる。まぁ多少は言われるだろうと思っていた。だが実際にいわれるとムカムカするわ。

 ちなみに片翼の翼の人達もこっちをちらちら見ている。やっぱり心配なのだろう。

 そして、そうこうしているうちに森の前につく。

「諸君!!少しの休憩を挟んだ後、ドラゴンの捜索にはいる!!パーティを組んでいないものは私に付いてこい!!パーティを組んでいるものは私達からあまり離れないようにしながら各自捜索をしてもらう!!もし発見した時は合図を送れ!!そこに私が向かうまで決して戦闘は始めるな!!」

「「「「うっす!!!」」」」

「では10分ほど休憩!!!」

 ふぅ。この後ドラゴンと戦うのか。初めてのちゃんとした戦闘になる。あ、ボアは戦闘に含みません。

『ゼロ、わかっていると思うが俺にもしものことがあったら、レンと一緒に住民達を護ってくれよ?』

『うん。わかった!』

『レンも頼んだぞ』

『はい。かしこまりました』

 そして、各々休憩をして時間がすぎる。

「休憩終了っ!!!これからドラゴンの捜索を開始する!!先程言ったことを守り行動しろ!!」

「「「「うっす!!!」」」」

 そして俺はこの世界に来て2度目の森に入る。

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