to be Continued ~ここはゲームか異世界か~

秋乃ヒダマリ

10話 『情報屋』





 宿に帰った秋山は、これからどうするかを考えていた。
 当初は気ままに狩りをしながら帰る方法を探すつもりだったが、“さい果ての場所”が何なのかが気になっていた。
 目的も無く退屈だった秋山からすれば、それは願ってもない情報だった。
 それに、この世界はいったい何なのか知りたくなってきた。ゲームと似ているけど、同じではない。

 ゲームと異世界が混ざっているような……

 とにかく、当面は“さい果ての場所”について調べる必要がありそうだ。


 と、そこまで考えて、お腹も空いたし取り敢えず、夜ご飯を食べる事にした――


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 美味いな。米が欲しくなる……

 今日は、宿屋の食堂で日替わりセットを頼んだ。
 本日は黒パンと肉野菜炒め、スープのセットだ。疲れているのもあるが、かなり美味いと思う。

「ところでエリアさん。ちょっと聞きたいことがあるんですけどいいですか?」

 何故か目の前の席に座って食事風景を眺めている店主、エリアさんに尋ねる。

「あら?恋人なら募集してないわよ?」

 ……さいですか。聞いてませんけどね。

「さい果ての場所って知ってますか?」

「サイハテノバショ?」

 やっぱり知らないか。

「ごめんねー。きいたことないわ」

 申し訳なさそうに謝って来るエリアさん。嘘を言っているようには見えないし、これ以上聞いても無駄だろう、と判断して食事を続けることにした――

「で、なんでずっといるんですか?」

「おいしいかな?って心配なのよ」
 ジ――――

……

…………

………………。


「美味いですよ」




 

――早く部屋に戻ろ。

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 それから二週間程、朝と昼は街の外でこの身体に慣れる為に狩りをして、夜は酒場やギルド酒場で情報を集めた。
 集まった情報はどれも役に立たないものばかりだった。まず、“さい果ての場所”と言う言葉を知っている人が少ない。
 知っている人も、言葉は聞いたことがあるけど何かは知らない、と言う人ばかりで結局ギルドマスターから聞いた話以上の情報は無かった。

 ギルドマスターは、不干渉と言った通り何も仕掛けて来ることもなく、何度かギルドを音連れた時は直接対応してくれた。根はいい人なのだろう。
 そのせいで、ギルドマスターと対等の立場の冒険者がいる……と噂になっていたが。

 そんなわけで、オレは近い内に街を出ようと思っている。
 この街で得られそうな情報はもうないからだ。

 どこに行くかはまだ決めていないが、ゲームの順番的には“イスカンドの街”だったはずだ。
 目的地は追々決めるとして、まずは準備を整える必要がある。

 移動手段は……徒歩かな。

 馬車は存在するのだが、せっかくだから歩いて行くことにした。この身体は肉体的に疲れる事は殆どない。HPがスタミナの代りになっているらしく、徐々にHPが減っていくが自動回復スキル〔リジェネ〕ですぐに元に戻るのだ。

 それに、狩りもしたい。
 慣れ、とは不思議なもので、二週間魔物を狩り続けた結果、魔物に関しての殺傷は抵抗がなくなっていた。
 いい事なのか、悪い事なのか、心境は複雑だが……




 なんにせよ、準備を整えなければ。


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 宿の部屋。秋山は考え事をしながら旅の準備をしていた。


コンコン 


 部屋のドアをノックされ、手を止める。

 エリアさんかな?何の用だろう。

 訝しく思いながらもドアを開ける。

「ッ! お前……何しに来た」

 パッと下がって戦闘態勢を取る。二週間でこの反応速度と身のこなし、さすがは秋山と言った所だろう。

 目の前にいるのは、忘れもしない……あの女――アズ=ナ=ブールだった。

「――私に敵意はないよ。どうか武器を引いてくれないかな?」

「……信じられると思ってんのか?」

「私ではアナタには勝てない。それに、今は暗殺の依頼は受けていない――ただ話をしに来たんだよ」

 そう言って手をヒラヒラしている。
 オレは、警戒を解かずに銃を構えたままだ。これ以上近づかれると銃で対応するのが難しくなる。無言で、近づくなと伝える。
 それを汲み取ったのか、その場から動かずにアズ=ナ=ブールは喋りだした。

「アナタの知りたいことは、“カトレアの王都”に行けば何かわかるかもしれないよ。王都には古い文献が残っているって噂だからね」

 こいつ、なんかキャラ変わってないか?こっちが素なのか?

「それをオレに教えるメリットは?まさか善意な訳はないだろ?」

 オレがそう言うと、アズ=ナ=ブールはクスッと笑った。
 改めて見るとやっぱり、綺麗な顔してるな。とか余計なことを考えてしまう。

「んー、お礼…かな? 私も依頼を受けただけだから謝りはしないけど、白金貨を貰ったからそのお礼の代りね」

 Oh、そう言えば下心を練りこんで渡したんだった……忘れたいぜチクショー!

「……分かった、情報は感謝する」

 完全に信じたわけではないが、わざわざ危険を冒してまで嘘を言いには来ないだろう。
目的地は“カトレア王都”にしよう。

「それから、アナタにこれからも情報を売りたいのだけれど、買ってもらえるかな?」

「必要なものなら買ってやるが、旅に出るつもりだがどうやって売りに来るつもりだ?」

 付いて来られるのは勘弁だぞ。

「それについてはアナタの場所を把握するために、どこかの街に着いたらギルドに顔を出してほしいんだ。うちのギルドマスターが各ギルドに話を通しているはずさ。……“監視”も兼ねてね」

 断ったら面倒くさそうだし……付いて来られるよりましか。

「分かった。そうしよう」

「じゃあ、私の仕事はそれを伝える事だから――また会おうね!」

 と言うだけ言って消えていった。と言う訳で、何故か専属の情報屋が誕生した。

 もう会いたくねえぇぇぇ!!

 これから何だか色々面倒が起こりそうな気がして、頭を抱えたくなった。





――早いとこ準備して寝よう。



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