銀の冒険者は最弱スキルで成り上がる。

ダックン

神のガチャ

今日は今年15歳をむかえ新たに『冒険者』になるもの達がドロス神殿に集い神のご加護を受ける日。

僕、アラン・アルトもその一員である
これから、神のご加護(スキル)を手に入れ新たに冒険者になるという事もあり少し浮ついた空気が流れている。

次の瞬間その空気はピリピリとした緊張感へと変わった。

「静まれ!」

そう切り出したのはベテラン冒険者であり、これから1年間、新米冒険者である僕達の先生になる セレン・ハイドだ

そして彼は続けて言った

「今から君たち新米冒険者には神のガチャを引いてもらう。これを引いたからには生涯、そのスキルを使い人々を救う義務を果たしてもらう。さぁ皆の者準備は出来ているか!」

「はいっ!」

僕ら新米冒険者一同はこれから冒険者になるという実感を噛み締めながら、大きく返事をした。

「1番ラクト・ツゲン前へ」

名前を呼ばれた者から神のガチャを引くことになる。

「おい、アルト。お前は何番だ?俺は22番だ!」

少し浮ついた声で話してきたのは幼なじみであるセルス・ガーダニックだ。

「僕の番号は23番。セルスの次みたいだね。セルスは何の紋章を狙っているんだ?僕は一応虹の3角なんだけど。」

「俺も一応は虹の3角を狙っている。」

どうやらセルスの狙いは僕と同じらし
い。

3角や虹というのは神のガチャでのスキル判別の見方である。

神のガチャはガチャとはいえ中に通貨を入れて回す訳では無い。
神台と呼ばれる台に手をのせるだけである。
そして手に浮かび上がった紋章の色と形によりスキルを判別する。

色は三種類
色はスキルの強さを示す

虹、金、銀の順にスキルの強さが決まっており排出率は98%が金 1%が虹 残り1%が銀のスキルだ。

虹のスキルは汎用性や実用性が高くとても強い能力である。そのため名を残す英雄達はほとんどがこの虹の紋章である。 

金のスキルは虹には及びはしないが魔獣倒しには申し分ないほどの力である。

そして銀のスキル
銀のスキルは言ってしまえば最弱スキル。虹、金とは違い完全にハズレである。

次に形。
形はスキルの系統を示す。
判別の仕方は紋章の外斑そとぶちの形でする。
種類は4種類
〇は回復などの補助系
△は攻撃系
□は防御系
◇は特殊系
となっている。
中でも◇はレアであるが、扱いにくくあまり強いとはされない。

「22番セルス・ガーダニック。前え」

とうとう自分の一つ前の番号まで来てしまった。
ドクドクと胸打つ鼓動は止むことを知らないようらしい。

「お、おぉー!よっしゃー!」
セルスの大きな喜ぶような声が聞こえてきた。
手には虹の三角形の紋章。
彼は狙い通りの紋章を手に入れたのだ。
そして気になるスキルの能力は
「(虹)ヨルムンガンド 基本四属性魔法の威力を極みup。」
一見シンプルな能力だが、これは明らかに最強の部類である。
極みupというのは通常状態の100倍近くの力を出せる事になる。

次は僕の番だ。遅れをとるわけにはいかない。せめて虹のスキルは出しておきたい。

そうこう思っているうちに僕の番号が呼ばれた。
「23番アラン・アルト。前へ」
僕は緊張で震えているこの右手に全ての祈りを捧げた。
そして、神台に手を乗せそっと目をつぶった。
緊張しすぎて今にも倒れそうだ。
次の瞬間、周りは笑いに包まれた。
恐る恐る自分の紋章を見ると銀の菱形
そう、僕は最弱スキルを引いてしまった。
能力は「(銀)ライト&ダーク 基本四属性に光属性と闇属性を追加する。」

どうやら僕の冒険者人生は波乱からスタートらしい。
そして、僕には「銀菱ぎんびしの最弱冒険者」という二つ名がついた。









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