ELDERMAN(エルダーマン)

小鳥 遊(ことり ゆう)

エピソード10:エルダー

西園寺豪はユーゲントから人間を守るためエルダーマンとして力を使っていた。だが、その力はどこからきているのだろう。その疑問は少なからずとも西園寺自身も感じていた。

「なあ、一つ目。あんた一体何者なんだ?」

「私は、一連の騒動を止めるためGX機関同盟を組んでいた ギャラクシーエージェント ベガ。そして今はグランドオーダーの脅威を取り払うべく、機関とは別に行動している。」

「何を言っているのかさっぱりなんだが。」

新がさらにベガに問いただしていく。

「順を追って説明しよう。まずGX機関は隕石が落ちる前から我々のような地球外生命やその技術について研究をしていた。その中で地球を箱庭として実験してきた神に近い存在を特定した。それが“グランドオーダー(始まりのもの)”だった。グランドオーダーを発見した彼らはコンタクトを取りさらに大きな技術を得ようとした。だが、グランドオーダーの最終目的は全てを無に帰することだった。そのことを伏せて手を組み、今のように混乱を招いた。隕石もその一つだ。隕石の中は人間、いや怪人化した人類を抹殺する殺戮マシンだった、そのために今機関とグランドオーダーが「全人類ユーゲント化計画」を目論んでいる。初めはコンタクトでの仲介役だった私は地球とこの人間を物のように捨てる彼らを嫌悪し、今では単独でグランドオーダーを追っている。」

「その、ぐらんどおーだー? って誰なんだ?」
少しマルコが興味を持ちだして顔をのぞかせた。
「さっき会ったホルスが中心として5体いるとされているが1体は行方不明、もう1体は私が処理した。現在活動しているのはホルスを入れてサーターン、マヒナの3体。」
「サーターンってイタリアのあいつか? だが、マヒナっていうのには会ってないな。」
マルコがおどいた表情で話していたが新が付け加えるように
「マヒナは僕がもう出会っている。あの女のような奴だろう?」
淡々と語るのをベガが相槌をうち
「そうだ。彼女は光を扱う冷酷で可憐な戦士だ。そしてサーターンは自己武装、改造を得意としている。ホルスは太陽のような炎を纏うことのできる宇宙最強の拳をもっている。」
現行で活動しているグランドオーダーはなんにせよ西園寺豪、石動新、マルコ・ロッソに何かしら運命的な出会いを感じるのは彼らがお互いに感じていることでもあった。

「そして、なによりお前の存在がこの星にとってあってはならないものなのだ。」
ベガは西園寺を指さした。そこにいた全員、言われた本人でさえ驚愕した。
「お前の名前は?」
「西園寺豪だけど・・・」
「いや、変身した時だ。」
「エルダーマンだけど?」
「その名前の意味は?」
「仮面騎士エルダーだよ。 テレビ番組の」
 
「テレビ番組? そんなもの知らないぞ。」
同じく日本にいた新が口を挟んでいた。
「知らないってどういうことだよ。」
「知らん。というか過去にもそんなもの聞いたことない。お前の妄想だろ」
「このメガネの言う通りだ。ということは西園寺豪は何らかの要因で”人間として生まれたんだろう。”」
「情報が多すぎてついていけないし!訳分からん! 急に俺が人間じゃねえって言われても寝耳に水ってやつだわ!」
わちゃわちゃと揉めているとベガが唐突に時計のようなものを見出しては
「私はそろそろ、他にも用事があるので失礼する。どうやらマヒナがロシアのGX機関本部を急襲しているらしい。 君たちも真相が知りたければそこに来い。」
と言い放って突然に消えた。
「あいつ、言いたいだけ言って帰りやがった。」
「だが、西園寺次の目的地ができたな。 おそらくスペインの国王の言っていた脅威は去ったと言って過言ではない。それを報告次第僕らも行こう。」
「ぼくも、いや俺もつれていってくれ。そこにサーターンもいるかもしれん。あいつの借りは俺が返す。」
「良いだろう。西園寺もいいな。」
「分かったよ。俺も俺自身の事を知る必要ができた。世界を救う鍵になるかもしれんからな。」
全く調子のいいやつだとマルコも新も思ったが突っ込みもせずに国王お抱えのプライベートジェットの方へと戻った。プライベートジェットで待っていた人に報告しスペインへと戻っていった。

スペイン帝国 帝室内:
「二日ぶりくらいか。いや仕事が早いな。どうだった?」
コルト四世に西園寺達はであったユーゲントの事そしてこれから行かなければならない場所の事を話した。コルト四世は名残惜しそうに
「そうか、君たちには帝国騎士団に任命しようとしたがそういう訳にはいかんだろうな。だが、お前らの仲間はどうするんだ。まだ、彼の意識は戻っていないんだぞ。」
「そうなのか、どうする?石動。」
石動新は少し悩んだ。これまでもずっと彼自身の右腕として活躍していた獅童をどうするのかを。だがもう腹のうちは決まっていた。
「申し訳ないが、彼が回復するまでここに置いてもらいたい。そして、回復したら故郷に戻れと言っといてください。」
「良いだろう。君たちへの報酬は彼を無事送り届けるということにしよう。」
「どうやって、ロシアに行くんだ?」
国王の問いに石動が
「僕とて車の一つ運転できる。それで向かうさ。」
「なんとも壮大な旅だ。 仕方がない、ロシアまでさっきのジェットを手配してやる。出血大サービスだ。よきにはからえ。」

国王 コルト四世の計らいによってロシアへと楽々と行けることになった西園寺豪、石動新、マルコ・ロッソの三人。この三人に待ちうける壮大な運命はすでに廻り始めているのかもしれない。

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