転生王子は何をする?
第135話 とある休日のドタバタ 10(リア編)
時は遡り、トリスがマルティナに連れ去られて行った頃、ホルスはリアと待ち合わせをしていた。
時刻にして午前10時。この国の人間は皆朝が早いので、人混みが少し引いてきていたのだが、そんな中ホルスは非常に困った様子で、言葉を詰まらせていた。
「…えぇっと。」
「良いじゃない〜。お姉さん達と、イイことしようよ〜。」
「そうよ〜。お姉さん達、今日は何でも奢ってあげちゃう!いっぱい精のつくもの食べて、夜も楽しみましょうよ!」
「うふふふ。可愛い坊や。…あぁ、想像しただけで、堪らないわ!」
トリスがこの場に居たら、腹を抱えて大笑いしていた事間違い無しの、何ともホルスらしいトラブルに巻き込まれていたのだ。
「そ、その、ごめんなさい。今日はもう先約が入ってまして、今はその方と待ち合わせをしてるんですが…。」
ホルスは遠慮がちに言う。
因みに今日も黒ずくめで、トリスの意見を聞き入れて、庶民が着ていても全くおかしくない服装になっている。そのため3人の女性達は、まさかホルスが侯爵家の子息であるとは、夢にも思っていないだろう。
目立って、折角のデートが台無しになるのはあれだろうという、トリスの気遣いが仇となったのだ。
「えぇ〜?その人は男性?」
女性の1人から質問がくる。それは恐らく、ホルスとつるむような男なら、レベルは高いのだろうという魂胆であったのだろう。
「えっと、女性なんですが…。」
そんな女性の質問に、馬鹿正直に答えるホルス。まぁ、男性と言ってもダブルやらトリプルデートなどと言い出したのは目に見えているので、どうしようも無いのだが。
「あら。その娘とデートなのかしら?」
「坊やと一緒ぐらいの年齢の娘より、私達の方がよっぽどイイ体験が出来るよ?」
確かに彼女達は十人並み以上の器量と、それなりのプロポーションをしているだろう。
しかし下心丸出しのアプローチに慣れているホルスには、一切の効果もなさずににべも無く断られてしまう。
「お姉さん方。少し強引ですよ?…いい加減に、してもらえませんか?」
流石にイラッとしたホルスは、若干の威圧を加えた笑顔で、静かに諭すように言う。
「な、何よ!?折角誘ってあげてるんだから、アンタは素直に頷いてれば良いのよ!!」
だが逆効果であったようで、1人が逆上して喚き散らす。
だが他の2人はそれにより、若干冷静になったようで、逆上している女性を宥めようとしている。
「ご、ごめんなさいね。君みたいな子、滅多に見ないから躍起になっちゃったみたい。」
「この、子は責任もって回収するから、デート楽しんできてね?…さて。大人しく、してちょうだい!」
『ゴスッ』と勢いよく頭突きを繰り出し、騒いでいる女性を静かにさせる様子に、ホルスの表情は引き攣る。
「は、はい。ありがとうございます。えっと、お大事に…。」
ホルスは、気を失い襟元掴まれて引き摺られていく女性を見送りつつ、小さく手を振る。
「ほ、ホルス君?さっきのは何事?」
ちょうどそこに、リアが現れる。シンプルな淡い水色の半袖シャツ、ジーンズ風の短パンに、機能性を重視したのか動きやすそうな運動靴を履いている。
「あ、リア。…。」
ホルスはトリスに相談して、昨日に引き続き、まずは服装を褒める事にしていたのだが、私服登校である学園の時と、あまり変わらない服装だったので、どうしようかと悩んでいるようだ。
「え?どうしたの?私、普段と変わらないよね?おかしなところ無いよね?」
じっと見てくるホルスに、何かおかしなところがあるのかと、あちこち確認するリア。
「え?あ、うん。いつも通り、リアらしくて、可愛いよ。」
そんなリアを安心させるべく、『いつも通り!』と伝えようとするが、褒めようとする頭があったのか、つい要らんことまで言ってしまう。
「にゃ!?か、可愛い!?私が!?お姉ちゃんならまだしも…。」
顔を真っ赤にして、リアはショートカットの茶髪をクルクルと指に巻き付けて呟いている。
「ご、ごめん!いきなり変な事言って。でも、そう思ってるのは、本心だから。」
どんどんドツボに嵌っている気もしなくはないが、ホルスは平然と恥ずかしい事を言ってしまう。
「…。」
そんなホルスの言葉に、リアは恥ずかしさからか、完全に言葉を失っている。
「…こ、コホン!…行こうか?」
この微妙な空気を払拭すべく、ホルスは咳払いをし、リアに左手を差し出す。
「…うん!行こう!」
ホルスの手を数秒見つめるリアだったが、折角のデートを台無しにする訳にはいかないと、恥ずかしさを無理矢理払い、その手を取るのだった。
時刻にして午前10時。この国の人間は皆朝が早いので、人混みが少し引いてきていたのだが、そんな中ホルスは非常に困った様子で、言葉を詰まらせていた。
「…えぇっと。」
「良いじゃない〜。お姉さん達と、イイことしようよ〜。」
「そうよ〜。お姉さん達、今日は何でも奢ってあげちゃう!いっぱい精のつくもの食べて、夜も楽しみましょうよ!」
「うふふふ。可愛い坊や。…あぁ、想像しただけで、堪らないわ!」
トリスがこの場に居たら、腹を抱えて大笑いしていた事間違い無しの、何ともホルスらしいトラブルに巻き込まれていたのだ。
「そ、その、ごめんなさい。今日はもう先約が入ってまして、今はその方と待ち合わせをしてるんですが…。」
ホルスは遠慮がちに言う。
因みに今日も黒ずくめで、トリスの意見を聞き入れて、庶民が着ていても全くおかしくない服装になっている。そのため3人の女性達は、まさかホルスが侯爵家の子息であるとは、夢にも思っていないだろう。
目立って、折角のデートが台無しになるのはあれだろうという、トリスの気遣いが仇となったのだ。
「えぇ〜?その人は男性?」
女性の1人から質問がくる。それは恐らく、ホルスとつるむような男なら、レベルは高いのだろうという魂胆であったのだろう。
「えっと、女性なんですが…。」
そんな女性の質問に、馬鹿正直に答えるホルス。まぁ、男性と言ってもダブルやらトリプルデートなどと言い出したのは目に見えているので、どうしようも無いのだが。
「あら。その娘とデートなのかしら?」
「坊やと一緒ぐらいの年齢の娘より、私達の方がよっぽどイイ体験が出来るよ?」
確かに彼女達は十人並み以上の器量と、それなりのプロポーションをしているだろう。
しかし下心丸出しのアプローチに慣れているホルスには、一切の効果もなさずににべも無く断られてしまう。
「お姉さん方。少し強引ですよ?…いい加減に、してもらえませんか?」
流石にイラッとしたホルスは、若干の威圧を加えた笑顔で、静かに諭すように言う。
「な、何よ!?折角誘ってあげてるんだから、アンタは素直に頷いてれば良いのよ!!」
だが逆効果であったようで、1人が逆上して喚き散らす。
だが他の2人はそれにより、若干冷静になったようで、逆上している女性を宥めようとしている。
「ご、ごめんなさいね。君みたいな子、滅多に見ないから躍起になっちゃったみたい。」
「この、子は責任もって回収するから、デート楽しんできてね?…さて。大人しく、してちょうだい!」
『ゴスッ』と勢いよく頭突きを繰り出し、騒いでいる女性を静かにさせる様子に、ホルスの表情は引き攣る。
「は、はい。ありがとうございます。えっと、お大事に…。」
ホルスは、気を失い襟元掴まれて引き摺られていく女性を見送りつつ、小さく手を振る。
「ほ、ホルス君?さっきのは何事?」
ちょうどそこに、リアが現れる。シンプルな淡い水色の半袖シャツ、ジーンズ風の短パンに、機能性を重視したのか動きやすそうな運動靴を履いている。
「あ、リア。…。」
ホルスはトリスに相談して、昨日に引き続き、まずは服装を褒める事にしていたのだが、私服登校である学園の時と、あまり変わらない服装だったので、どうしようかと悩んでいるようだ。
「え?どうしたの?私、普段と変わらないよね?おかしなところ無いよね?」
じっと見てくるホルスに、何かおかしなところがあるのかと、あちこち確認するリア。
「え?あ、うん。いつも通り、リアらしくて、可愛いよ。」
そんなリアを安心させるべく、『いつも通り!』と伝えようとするが、褒めようとする頭があったのか、つい要らんことまで言ってしまう。
「にゃ!?か、可愛い!?私が!?お姉ちゃんならまだしも…。」
顔を真っ赤にして、リアはショートカットの茶髪をクルクルと指に巻き付けて呟いている。
「ご、ごめん!いきなり変な事言って。でも、そう思ってるのは、本心だから。」
どんどんドツボに嵌っている気もしなくはないが、ホルスは平然と恥ずかしい事を言ってしまう。
「…。」
そんなホルスの言葉に、リアは恥ずかしさからか、完全に言葉を失っている。
「…こ、コホン!…行こうか?」
この微妙な空気を払拭すべく、ホルスは咳払いをし、リアに左手を差し出す。
「…うん!行こう!」
ホルスの手を数秒見つめるリアだったが、折角のデートを台無しにする訳にはいかないと、恥ずかしさを無理矢理払い、その手を取るのだった。
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コメント
ノベルバユーザー438963
ホルス回だけコメントないんだよなぁwやっぱりみんなトリスが大好き❤