転生王子は何をする?
第122話 事後ですね(事件のって意味です) 1
あれから一悶着あったものの、無事にフロレンティーナの封印を解くことが出来たホルス。その詳しい描写は、彼の心が死にかねないのでここでは触れない事とさせていただく。
十数分後、意識を取り戻したフロレンティーナ。そのフロレンティーナの話によると、彼女が封印がかけられている間の事は、物語を読むかのように頭の中に残っているらしく、精神の成長や記憶が幼少期で止まっているという事は無かった。
そのため、流石に眠らされている間のことは覚えていなかったが、キスをされた時の事は眠りが浅かったのか朧気ながら覚えているようで、現在はホルスとベッドの上で正座しながら向かい合っていた。
「ホルスト様。此度は、私の封印を解いていただき、誠にありがとうございます。その…。方法はあれ、でしたけど、その事に関しては、不問と致しますので、その、…。」
「は、はい。と、解けたのは、トリスと、トートの協力があったからでして、その、方法については、はい、すみませんでした!」
「ぷっ。」
ガチガチに固まって、顔を真っ赤にしながら話す2人に、トリスは思わず吹き出してしまう。
因みにトートは、『色々と手続きがある』と言い残し、フロレンティーナが意識を取り戻す前に部屋を出ていた。
「トリス!笑うことないじゃないか!」
『失礼な』とトリスに文句を言うホルス。
「トリス?」
ホルスがトリスの名を出すと、額に手を当て考え込むフロレンティーナ。
「え?あ、記憶に無いですか?ほら、自己紹介しないと。」
その様子を見て、トリスが思い出せないのかと思ったホルスは、自己紹介を促す。
「お、おう。…コホン。初めまして。私が、先程ホルスの話に出ていた協力者の、トリスです。以後お見知り置きを。」
フロレンティーナに対して跪くトリス。しかし、フロレンティーナはトリスの自己紹介ではなく、その名前と容姿が気になったようだ。
「黒髪黒目…。トリス…。見覚えのある顔つき…。トリスさん、どこかでお会いした事はございませんか?私、貴方に見覚えがあるのですが…。」
どうにもハッキリしない感じで、既視感があると伝えるフロレンティーナ。
「え?学園では私はフロレンティーナ様の席の2個右隣ですから、恐らく見覚えがあるのでしょう。それに、ホルスとは大体何時も一緒に居ますので。」
トリスは驚くが、取り敢えず差し当たりのない返答をする。願わくば、これで終わってくれと思いつつ。
「いえ、そうではなく、もっと以前。それこそ封印を受ける前には、既に貴方を知っていたような気がするのです。」
「え?私は、トゥール王国の平民ですよ?」
しかしフロレンティーナの疑問はトリスの答えでは解決しなかったようで、更に衝撃的な事を口にする。
そのためトリスは、平静を装いながらも必死に頭の中で考える。
-フロレンティーナと俺が面識ある?そんな馬鹿な、とは言えないか。
彼女と俺の共通点と言えば、やはり王族であるという事か。となると昔会った事がある?しかし、そうなると俺の自意識が芽生える前の話になるのか?-
今は封印の副作用か、フロレンティーナは昔の記憶が曖昧になっているようであるが、時間の経過ともに思い出し、トリスの覚えのない事で正体がバレる事もありうる。
そのためトリスは、一刻も早く何かしらの打開策を打つ必要ができた。
「まぁ他人の空似という事もありますし、重要な事なら時が経てば思い出すかもしれないですよ?」
「そう、ですわね。今はそういう事にしておきましょうか。」
キラッとフロレンティーナの目が光ったような気がしたトリス。どうやら彼女には、トリスが何らかの秘密を抱えている事が、知られてしまったようであった。
「そ、それよりも、この一件、どうやって後始末をしようか?」
2人の会話に謎の緊張感を感じたホルスは、慌てて空気を変えようと口を挟む。
「そうですわね。このまま公にするには、少々民の不安を仰ぐことになってしまいそうですわね。敵の正確な正体が分からない今、王族が操られていたなどと知られれば、大きく信頼を失う事になるでしょうし。」
「はい、そうですね。私も、公にすべきでは無いと判断します。」
「ならば暫くは、まだ操られているという設定でやるしかないようですわね。」
「つまり、敵が気付かない内に、後ろからガツッとやるわけですね?」
「言い方はあれですが、つまりはそういう事ですわね。」
するとホルスの狙い通り、現状解決の方法について意識が向いたのか、案外まともな話し合いになる。
「そうですね。王族全員の封印を解いてから、密かに反撃ののろしを上げるしかないですね。では、ティー…フロレンティーナ様。」
そんな2人の会話に入ろうとするホルスだが、フロレンティーナの呼び方について思わず以前のように呼びそうになり、慌てて訂正する。
しかし、フロレンティーナはにこやかな笑顔でホルスにお願いする。
「ホルスト様。私の事は、ティーナとお呼び下さいまし。」
「は、はい!」
フロレンティーナの顔には、『キスを不問にしてやるから』と書かれていたため、ホルスは全力で頷く。
「あ、それから、その口調は、トリスさんとお話する時のようにしてください。お願いしますね。」
「は…う、うん。分かったよ、ティーナ。」
この人には一生勝てない。そう思ったホルスであった。
十数分後、意識を取り戻したフロレンティーナ。そのフロレンティーナの話によると、彼女が封印がかけられている間の事は、物語を読むかのように頭の中に残っているらしく、精神の成長や記憶が幼少期で止まっているという事は無かった。
そのため、流石に眠らされている間のことは覚えていなかったが、キスをされた時の事は眠りが浅かったのか朧気ながら覚えているようで、現在はホルスとベッドの上で正座しながら向かい合っていた。
「ホルスト様。此度は、私の封印を解いていただき、誠にありがとうございます。その…。方法はあれ、でしたけど、その事に関しては、不問と致しますので、その、…。」
「は、はい。と、解けたのは、トリスと、トートの協力があったからでして、その、方法については、はい、すみませんでした!」
「ぷっ。」
ガチガチに固まって、顔を真っ赤にしながら話す2人に、トリスは思わず吹き出してしまう。
因みにトートは、『色々と手続きがある』と言い残し、フロレンティーナが意識を取り戻す前に部屋を出ていた。
「トリス!笑うことないじゃないか!」
『失礼な』とトリスに文句を言うホルス。
「トリス?」
ホルスがトリスの名を出すと、額に手を当て考え込むフロレンティーナ。
「え?あ、記憶に無いですか?ほら、自己紹介しないと。」
その様子を見て、トリスが思い出せないのかと思ったホルスは、自己紹介を促す。
「お、おう。…コホン。初めまして。私が、先程ホルスの話に出ていた協力者の、トリスです。以後お見知り置きを。」
フロレンティーナに対して跪くトリス。しかし、フロレンティーナはトリスの自己紹介ではなく、その名前と容姿が気になったようだ。
「黒髪黒目…。トリス…。見覚えのある顔つき…。トリスさん、どこかでお会いした事はございませんか?私、貴方に見覚えがあるのですが…。」
どうにもハッキリしない感じで、既視感があると伝えるフロレンティーナ。
「え?学園では私はフロレンティーナ様の席の2個右隣ですから、恐らく見覚えがあるのでしょう。それに、ホルスとは大体何時も一緒に居ますので。」
トリスは驚くが、取り敢えず差し当たりのない返答をする。願わくば、これで終わってくれと思いつつ。
「いえ、そうではなく、もっと以前。それこそ封印を受ける前には、既に貴方を知っていたような気がするのです。」
「え?私は、トゥール王国の平民ですよ?」
しかしフロレンティーナの疑問はトリスの答えでは解決しなかったようで、更に衝撃的な事を口にする。
そのためトリスは、平静を装いながらも必死に頭の中で考える。
-フロレンティーナと俺が面識ある?そんな馬鹿な、とは言えないか。
彼女と俺の共通点と言えば、やはり王族であるという事か。となると昔会った事がある?しかし、そうなると俺の自意識が芽生える前の話になるのか?-
今は封印の副作用か、フロレンティーナは昔の記憶が曖昧になっているようであるが、時間の経過ともに思い出し、トリスの覚えのない事で正体がバレる事もありうる。
そのためトリスは、一刻も早く何かしらの打開策を打つ必要ができた。
「まぁ他人の空似という事もありますし、重要な事なら時が経てば思い出すかもしれないですよ?」
「そう、ですわね。今はそういう事にしておきましょうか。」
キラッとフロレンティーナの目が光ったような気がしたトリス。どうやら彼女には、トリスが何らかの秘密を抱えている事が、知られてしまったようであった。
「そ、それよりも、この一件、どうやって後始末をしようか?」
2人の会話に謎の緊張感を感じたホルスは、慌てて空気を変えようと口を挟む。
「そうですわね。このまま公にするには、少々民の不安を仰ぐことになってしまいそうですわね。敵の正確な正体が分からない今、王族が操られていたなどと知られれば、大きく信頼を失う事になるでしょうし。」
「はい、そうですね。私も、公にすべきでは無いと判断します。」
「ならば暫くは、まだ操られているという設定でやるしかないようですわね。」
「つまり、敵が気付かない内に、後ろからガツッとやるわけですね?」
「言い方はあれですが、つまりはそういう事ですわね。」
するとホルスの狙い通り、現状解決の方法について意識が向いたのか、案外まともな話し合いになる。
「そうですね。王族全員の封印を解いてから、密かに反撃ののろしを上げるしかないですね。では、ティー…フロレンティーナ様。」
そんな2人の会話に入ろうとするホルスだが、フロレンティーナの呼び方について思わず以前のように呼びそうになり、慌てて訂正する。
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