転生王子は何をする?
第107話 学園モノといえば、やはり転校生ネタですね 5
翌朝、未だに分からないフロレンティーナの謎に悶々としながら学園に着いたトリス達は、困惑するような出来事にあってしまっていた。
「えっと、これは一体何事でしょうか?」
「はい?何事、とは?私には分かりかねますが。」
「と、トリス…。」
「え?いや、俺に言われてもな…。」
現在トリス達が困惑している理由とは、それはホルスの隣の席になったフロレンティーナによるものであった。
「フロレンティーナ様。ち、近くないですか?」
そう。昨日までは普通であったのに、今朝トリス達よりも少し遅く登校してくると、途端に席をびっちりとホルスの方に寄せ、横向きとはいえほぼゼロ距離という脅威のスキンシップをとってきたのだ。
「いえ、普通の距離であると私は認識しておりますが。それともホルスト様は、私から距離をとりたいのですか?」
「いえ、そんな事は…。しかし婚前前の女性が、何の関係もない男に対して、このように近付くのは如何なものかと。」
「私は、ホルスト様に対する距離は、これが普通であると言ったのですよ。」
「え、そ、そうなんですか?」
「はい、そうでございます。」
「…(トリスに助けを求める視線)。」
ニッコリと有無を言わせないフロレンティーナの微笑みをくらってしまったホルスは、情けない表情でトリスに助けを求める。
それを見たトリスは実に嫌そうするが、意を決してフロレンティーナに話しかける。
「お、おはようございます、フロレンティーナ様。今日もいい天気ですね。」
「はい、おはようございます。…何方でしたっけ?」
「ぐっ…。わ、私はトリスと申します。そちらのホルスとは、まだ短い間ですが親友をやらせてもらってます。」
昨日は覚えられていたのだが、暗に『お前なんか眼中に無い』と言われたトリスは、心が折れそうになったが何とか耐えて会話を続ける。
「あ〜、確か昨日もいらっしゃった気がしますね。何か用でしょうか?」
-コイツ…。喧嘩売っとんのか?…いや、落ち着け俺。この位でキレてるようじゃ、人間終わりだぞ。-
実に興味無さそうな言い方に、トリスはイラッとするが、ここでキレても何の得もないので必死に心を落ち着かせる。
「いえ、席も近くですので、そちらに居るホルス同様、仲良くして頂ければと。何ならホルスの情報も、定期的に流しますよ?」
見事な営業スマイルを顔を貼り付けて気を惹こうと頑張ってみる。
「いえ、結構です。私が直接ホルスト様から聞き出しますので。ですので何処かに行って下さい。目障りですので。」
しかしフロレンティーナには冷たい目でバッサリと切り落とされてしまう。
「…(ガクッ)。」
『ザワッ』
フロレンティーナのあまりに酷い言い方に、怒る気力もなく膝をつくトリス。そしてトリス達の様子を見守っていた生徒達が一斉にざわめく。
 
「い、いくら優しい人とはいえ、規格外の片割れに喧嘩を売った…。大丈夫なのかしら…。」
「何を言われても動じないトリスが、膝をついただと!?フロレンティーナ様凄いな…。」
「トリスさんが行って無理なら、我々じゃどうする事も出来ない…。くっ!ホルスト様ばかりモテやがって…。」
「あの視線…。あぁ、罵られたいわ。お姉様…。」
今のやりとりに三者三様の反応を示しているようだ。
ここ1ヶ月で、トリスは普通の成績上位者とは違い、威張ることもせず穏やかな気性である事はクラス中で理解されていた。そして他クラスの貴族から、平民である事で目を付けられて馬鹿にされた際、笑顔で聞き流すほどの忍耐力を持ち合わせているという事も知られていた。
因みにその、他クラスの貴族は笑顔のトリスの背後から更にホルスが笑顔で現れ、謎の威圧感を醸し出して何度も追い払っている。
「ちょ、トリス!?…フロレンティーナ様、少し言い過ぎでは?」
膝から崩れ落ちたトリスに慌てて近寄るホルス。そしてフロレンティーナに責めるような視線を向け、少し問い詰める。
するとフロレンティーナは『はてな?』という表情で、更にトリスの心を抉りにくる。
「いえ、これが正しい対処かと思いましたので。彼の様な平民の方々は、大抵私達身分の高い者に擦り寄り、己の益のためにゴマをすります。事実彼の言葉遣いや態度、表情は、明らかに何かを狙っていました。つまりは下心が透けて見えたという事です。」
「そ、そんなに分かりやすかったか、俺?結構演技は得意だと思ってたんだけどな…。」
フロレンティーナの言う事は、若干被害妄想が入っているものの、トリスの『現状をどうにかしたい』という心境を、何か狙いがあると感じ取り、にべも無く切り捨てたというのだ。
トリスタン・ラ・トゥール、冒険者トリス、平民トリスをを演じ分けてきたトリスにとって、少々ショックだったようだ。
「と、トリス?諦めないで!トリスで駄目なら他の人でも無理だから!」
「お、俺の事高く買ってくれてありがとう。でも、10分ほど落ち込んどくわ…。」
ホルスに慰められるも、ガックリと項垂れたまま巫山戯た事をぬかすトリス。
「10分!?短くない!?」
「な〜んてな!冗談だよ。」
「落ち込んで無かったの!?」
「そりゃ勿論。あれくらいでへこたれてたら、何回自殺してるか分からんわ。…ところでホルス。」
「うん?何?」
さっきまで項垂れていたのが嘘のように元気よく言い放つと、唐突に話題を変えるトリス。
そんなトリスに呆気に取られながらも、ホルスは聞き返す。
「どうだ?一応は離れられたんじゃね?」
「あ〜、うん。確かにそうだけど、根本的な解決にはなってない気が…。」
「仕方ないだろ?どうせ俺じゃ、取り合ってもらえないんだからよ。…あ、そうだ。ちょっとこう言ってみれば?」
「え?何て言えばいいの?」
トリスに解決策があるのかと、嬉しそうに耳を寄せてくるホルス。
しかしその内容を聞いて少し顔を赤くする。
「え?マジで言うの?」
「おう、マジっすよ。天然ジゴロのホルスならいけるってば。」
「な!?何でその称号を知ってるの!?」
「え?見てれば分かる?」
「ってこのやり取り2回目!」
「…ホルスト様?一体何の話をしてらっしゃるのですか?」
くだらないやり取りをしていると、フロレンティーナが怪訝そうに眉を顰めながら聞いてくる。
「…ほれ。」
「はぁ〜。分かったよ。」
トリスから急かされたホルスは、ため息をつきながら思い口を開くのだった。
「えっと、これは一体何事でしょうか?」
「はい?何事、とは?私には分かりかねますが。」
「と、トリス…。」
「え?いや、俺に言われてもな…。」
現在トリス達が困惑している理由とは、それはホルスの隣の席になったフロレンティーナによるものであった。
「フロレンティーナ様。ち、近くないですか?」
そう。昨日までは普通であったのに、今朝トリス達よりも少し遅く登校してくると、途端に席をびっちりとホルスの方に寄せ、横向きとはいえほぼゼロ距離という脅威のスキンシップをとってきたのだ。
「いえ、普通の距離であると私は認識しておりますが。それともホルスト様は、私から距離をとりたいのですか?」
「いえ、そんな事は…。しかし婚前前の女性が、何の関係もない男に対して、このように近付くのは如何なものかと。」
「私は、ホルスト様に対する距離は、これが普通であると言ったのですよ。」
「え、そ、そうなんですか?」
「はい、そうでございます。」
「…(トリスに助けを求める視線)。」
ニッコリと有無を言わせないフロレンティーナの微笑みをくらってしまったホルスは、情けない表情でトリスに助けを求める。
それを見たトリスは実に嫌そうするが、意を決してフロレンティーナに話しかける。
「お、おはようございます、フロレンティーナ様。今日もいい天気ですね。」
「はい、おはようございます。…何方でしたっけ?」
「ぐっ…。わ、私はトリスと申します。そちらのホルスとは、まだ短い間ですが親友をやらせてもらってます。」
昨日は覚えられていたのだが、暗に『お前なんか眼中に無い』と言われたトリスは、心が折れそうになったが何とか耐えて会話を続ける。
「あ〜、確か昨日もいらっしゃった気がしますね。何か用でしょうか?」
-コイツ…。喧嘩売っとんのか?…いや、落ち着け俺。この位でキレてるようじゃ、人間終わりだぞ。-
実に興味無さそうな言い方に、トリスはイラッとするが、ここでキレても何の得もないので必死に心を落ち着かせる。
「いえ、席も近くですので、そちらに居るホルス同様、仲良くして頂ければと。何ならホルスの情報も、定期的に流しますよ?」
見事な営業スマイルを顔を貼り付けて気を惹こうと頑張ってみる。
「いえ、結構です。私が直接ホルスト様から聞き出しますので。ですので何処かに行って下さい。目障りですので。」
しかしフロレンティーナには冷たい目でバッサリと切り落とされてしまう。
「…(ガクッ)。」
『ザワッ』
フロレンティーナのあまりに酷い言い方に、怒る気力もなく膝をつくトリス。そしてトリス達の様子を見守っていた生徒達が一斉にざわめく。
 
「い、いくら優しい人とはいえ、規格外の片割れに喧嘩を売った…。大丈夫なのかしら…。」
「何を言われても動じないトリスが、膝をついただと!?フロレンティーナ様凄いな…。」
「トリスさんが行って無理なら、我々じゃどうする事も出来ない…。くっ!ホルスト様ばかりモテやがって…。」
「あの視線…。あぁ、罵られたいわ。お姉様…。」
今のやりとりに三者三様の反応を示しているようだ。
ここ1ヶ月で、トリスは普通の成績上位者とは違い、威張ることもせず穏やかな気性である事はクラス中で理解されていた。そして他クラスの貴族から、平民である事で目を付けられて馬鹿にされた際、笑顔で聞き流すほどの忍耐力を持ち合わせているという事も知られていた。
因みにその、他クラスの貴族は笑顔のトリスの背後から更にホルスが笑顔で現れ、謎の威圧感を醸し出して何度も追い払っている。
「ちょ、トリス!?…フロレンティーナ様、少し言い過ぎでは?」
膝から崩れ落ちたトリスに慌てて近寄るホルス。そしてフロレンティーナに責めるような視線を向け、少し問い詰める。
するとフロレンティーナは『はてな?』という表情で、更にトリスの心を抉りにくる。
「いえ、これが正しい対処かと思いましたので。彼の様な平民の方々は、大抵私達身分の高い者に擦り寄り、己の益のためにゴマをすります。事実彼の言葉遣いや態度、表情は、明らかに何かを狙っていました。つまりは下心が透けて見えたという事です。」
「そ、そんなに分かりやすかったか、俺?結構演技は得意だと思ってたんだけどな…。」
フロレンティーナの言う事は、若干被害妄想が入っているものの、トリスの『現状をどうにかしたい』という心境を、何か狙いがあると感じ取り、にべも無く切り捨てたというのだ。
トリスタン・ラ・トゥール、冒険者トリス、平民トリスをを演じ分けてきたトリスにとって、少々ショックだったようだ。
「と、トリス?諦めないで!トリスで駄目なら他の人でも無理だから!」
「お、俺の事高く買ってくれてありがとう。でも、10分ほど落ち込んどくわ…。」
ホルスに慰められるも、ガックリと項垂れたまま巫山戯た事をぬかすトリス。
「10分!?短くない!?」
「な〜んてな!冗談だよ。」
「落ち込んで無かったの!?」
「そりゃ勿論。あれくらいでへこたれてたら、何回自殺してるか分からんわ。…ところでホルス。」
「うん?何?」
さっきまで項垂れていたのが嘘のように元気よく言い放つと、唐突に話題を変えるトリス。
そんなトリスに呆気に取られながらも、ホルスは聞き返す。
「どうだ?一応は離れられたんじゃね?」
「あ〜、うん。確かにそうだけど、根本的な解決にはなってない気が…。」
「仕方ないだろ?どうせ俺じゃ、取り合ってもらえないんだからよ。…あ、そうだ。ちょっとこう言ってみれば?」
「え?何て言えばいいの?」
トリスに解決策があるのかと、嬉しそうに耳を寄せてくるホルス。
しかしその内容を聞いて少し顔を赤くする。
「え?マジで言うの?」
「おう、マジっすよ。天然ジゴロのホルスならいけるってば。」
「な!?何でその称号を知ってるの!?」
「え?見てれば分かる?」
「ってこのやり取り2回目!」
「…ホルスト様?一体何の話をしてらっしゃるのですか?」
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コメント
小説書いてみたいけど内容が浮かばない人
擦り寄ってくる…トリスも一応王子なんだよなぁ…www